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愛知のアサリ 激減の理由は?

17.04.14

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今週、この番組でも
県内の潮干狩り場が
オープンしたニュースを
お伝えしましたが、
全国一の漁獲量を誇る
愛知のアサリが不漁続きで激減し、
今シーズンは潮干狩りの
中止に追い込まれている
浜もでてきています。

一体愛知のアサリに
何が起きたのでしょうか?

県内最大のアサリの生息地と
いわれる豊橋市の六条潟。
しかし潮干狩り客の姿はあまりない。

「どこへ行ってもアサリない」
「少なくなったとみんな言いますね
実感としては全然。採れる個数が少ない」
(潮干狩り中のお客さん)

全国一のアサリの漁獲量を誇る愛知県。
ところがその量は7年前から減り続け、
2015年はついに9000トンを割り込んだ。

浜によっては
潮干狩りの中止に追い込まれるところも・・・
そこで。

【WHY】
なぜ愛知のアサリが激減したのか?

愛知のアサリ激減の原因として
二枚貝に寄生して体液を吸う
「カイヤドリウミグモ」や
貝に穴を開けて肉を食べつくす
「ツメタガイ」といった
天敵の存在も指摘されているのだが、
それらが突然大量発生したという話はない。

そんな中、水産試験場の研究員から
気になる話を聞いた。

「これが苦潮の発生件数を示した図ですが
最近は少し減少傾向にあったんですが
2016年は14件と件数が増えた」
(愛知県水産試験場 蒲原聡さん)

  「雨が降って西の風が吹く日、乳白色で臭い」
(三河湾で50年土木作業している 丸山庸光さん)

その苦潮がこちら。
白く濁った水が、海岸に押し寄せている。

夏場、大量発生したプランクトンの
死骸が海底にたまって分解される際、
大量の酸素が消費され、
貧酸素水塊という水域が生まれる。

雨や風などで海面の温度が下がると、
その塊が海面に浮上し、
浜に押し寄せる。
それが苦潮だ。

これは、苦潮に襲われたアサリの様子。
酸素をもとめ、水管と呼ばれる管を
一杯に伸ばしている。
「這い出し」と呼ばれる現象だ。
この状態が続くとアサリは死んでしまう。

蒲原さんによると、
三河湾はもともと苦潮が
発生しやすい環境にあるという。

「しゅんせつくぼ地といって
埋め立て用に砂を取り上げたところや、
航路や泊地といった、深く掘ってあるところ、
水深が10メートル近く掘ってあるのですが、
そういうところは、貧酸素水塊が発生しやすい」
(愛知県水産試験場 蒲原聡さん)

三河湾の海底には、港を整備するために
しゅんせつして深く掘り下げた
「くぼ地」が点在している。

ここにはプランクトンの死骸がたまりやすく、
2016年におきた苦潮のうち8件は、
いずれも、このくぼ地付近で発生していた。

さらに発生時期は秋の産卵期の
直前に集中していることから、
苦潮が、産卵前のアサリを
壊滅させた可能性があるのだ。

「一度減ってしまった資源(アサリ)が
なかなか復活しないのは次の世代につなげる
産卵量が減っているということも考えられる。
三河湾の東の奥については苦潮は
アサリが復活しない原因の一つ」
(愛知県水産試験場 蒲原聡さん)

This is the Answer!

愛知のアサリが
激減している原因の一つは
三河湾の海底のくぼ地が
引き起こす苦潮でした。

現在は、この「くぼ地」の
埋め戻し作業が
進められているものの
港周辺の航路など埋め戻しが
できない所もあり、
環境改善がなかなか
進まないということです。

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