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名古屋城木造復元文化庁の審議なぜ長期化?

17.05.12

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河村市長が推進し、
2022年の完成を目指す
名古屋城天守閣の木造復元。

復元工事には文化庁の
許可が必要となるため、
市ではこれから文化庁との
審議を進めていきたいとしていますが、
文化庁側はこの回数が長引く可能性を示唆しています。
それは一体、なぜなのでしょうか。

名古屋市では、
有識者との会議を重ね、
必要な資料作りを
進めていくということです。

名古屋城天守閣の木造復元を巡っては
2017年3月の市議会で、関連の予算案が可決。

5月9日には、設計から工事までを担う竹中工務店との間で、
包括的な契約に当たる基本協定書の締結式が行われ、
いよいよ2022年の完成へと本格的に動き出した。

「どえらいうれしいということに尽きますね。
本当にこれでぼくらの時代で名古屋の宝を
1000年後の子どもに残すことができた」
(名古屋市 河村たかし市長)

実はこれですんなりと進むわけではない。
この木造復元を進めるには、
文化庁の許可が必要となるのだ。

市は許可を得るための文化庁との
審議の回数を3回と想定しているが、
文化庁の調査官からこんな発言が...?
「何回で結論を出すというルールはない」
そのわけとは?

【WHY】
天守閣の木造復元
文化庁はなぜ審議の長期化を示唆したのか!?

そもそもなぜ文化庁との
審議の回数は3回なのだろうか。

「調査(期間)が1年半弱ぐらいあると想定しています。
その中で文化庁の復元検討委員会が
3回ぐらいあるだろうと想定していまして
資料提出はおおむね3回と考えている」
(名古屋市観光文化交流局 渡邉達也主幹)

本丸御殿を復元した時の審議が3回だったことから、
こう判断したのだろうか・・・?

この見方について、専門家は・・・。

「名古屋城全体の保存活用計画が
議論されていない。できていない。
単に技術的にはこういう事ができると

提案があったからといって
3回ほど議論していいですということにはどう考えてもならない」
(奈良大学・城郭考古学 千田嘉博教授)

国の「特別史跡」に指定されている名古屋城。
天守閣を支える石垣は、石が前面にせり出す「はらみ」という変形や、
空襲時の熱によって割れてしまっているものが数多くあるものの、
現状を変更する場合は史実に忠実な再現と遺構の保全が前提となっている。

特に文化庁が重視するのが、築城時の姿を残す石垣と堀。
これを傷つけるような計画は認めないというのが文化庁の見解だ。

市側は、石垣の周りに足場を組んだり、古い石を新しい石に積み直すなどの
再建方法を検討しているが、文化庁は「石垣や堀の調査が不十分なのに、
再建方法を決め、日程に組み込むのはおかしい」と批判する。

This is the Answer!

「文化財としての調査、あるいは修理
名古屋城の現状の計画というのは、
あまりにもそこは度外視して横に置いた上で
いかに期日までに建てられるかということに
焦点を当てた計画になってしまっていて、
その点は文化庁も非常に懸念しているというところだと思います」
(奈良大学・城郭考古学 千田嘉博教授)

総事業費505億円という一大事業にもかかわらず、
文化庁にほとんど相談してこなかった名古屋市。
本格交渉はこれからというが、2022年の完成に向けた
課題は多そうだ。


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