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愛知が"小麦の産地"に

17.09.22

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愛知で生産される農作物と聞いて、
何を思い浮かべますか?
小麦を挙げる方はまずいないでしょう。

10年前、愛知の小麦の収穫量は8位!
それが、なんと、今は4位に
急上昇しているんです。

なぜ、愛知で、小麦なのでしょうか?

県内のうどん店で、愛知県産の
小麦を使うところが増えている。

「ちょっと冒険だったんですけど、
思い切って替えて良かったです。」
(うどん店店主)

何か味が違うのか?

豊明市のこちらのうどん店も、
愛知県産の小麦に切り替えた。

「愛知県で小麦なんか作ってるの?
っていう方が多かったですね。」
(うどん店店主)

県内で一番小麦を生産しているという
西尾市の農家を訪ねると、
今は、コメが収穫期を迎えていた。

「2年3作といって、米を作って、
 麦を作って、大豆を作って、次の年にまた水稲で
 ローテーションをかけて、
 土地を効率的に使っています。」
(農家 倉内裕二さん)

もともとは稲作がメインで、小麦は脇役だったが、
今では逆に、小麦が収入の柱になっているという。

「やっぱり、多収品種というのが
出てきたから、それも愛知県で出てきた。」
(農家 倉内裕二さん)

倉内さんが言う"多収品種"とは、
愛知で生まれた小麦の新品種、
「きぬあかり」のこと。

県の試験場が、8年かけて品種改良に
取り組み、大敵である湿害を克服し、
多くの収穫量を得られるようにしたという。

「(きぬあかりは)湿害に強いので、
収量や品質が悪くなりにくい。今までの品種に比べ
収穫の時期が早く梅雨前に収穫できるので、
雨に当たって品質が悪くなってしまうリスクを 避けることができます。」
(県農業総合試験場 荒川みずほさん)

愛知県内の小麦の収穫量は、2008年に
「きぬあかり」が誕生したことで増加傾向となり、
愛知県は国内4位の小麦の産地になった。

それにしても、品種改良をしてまで、
なぜ愛知で小麦なのか?

「愛知県ではきしめんや味噌煮込みうどん
といった独自の麺文化があるが、
今までは外国の小麦が多く使われてきた。
そんな中で、地元の小麦を使って
うどんやきしめんを作りたいという声と、生産者の
両方のニーズに応える品種を作ろうと開発が始まった。」
(県農業総合試験場 荒川みずほさん)

こうして誕生した「きぬあかり」は、
国産小麦の新品種総合評価で3年連続トップと、
品質も高いものとなった。

その「きぬあかり」を使ったうどんは、
いったい、どんな味がするのか?

香川のさぬきうどん店で修業をした
加納さんが、19年前に始めたこちらのお店。

以前は外国産と九州産をブレンドした
小麦を使用していたが・・・

「(きぬあかりに)替えたのは、4年前です。
どうしても自分の作りたいうどんが作れず、
いろんな粉を試してみたいと思って、
きぬあかりの仕様書をもらった。すごい数値が良くて
これはおいしいうどんができるんじゃないかと。」
(讃岐うどん十四明 加納雄二さん)

今では、うどんに使う
すべての小麦が、「きぬあかり」だ。

客の中には、
1週間に5回も足を運ぶという人も―、

「甘みが独特で、しっかりこしがあって
もっちりしていて
口の中にまとわりつくというか
ねっとりした感じがとてもおいしい。」
(常連客)

評判が評判を呼んで、、、

「売り上げは伸びました!
一番悪い時から比べれば1.4倍くらいになりました」
(讃岐うどん十四明 加納雄二さん)

実は、愛知では、
これまでも小麦は生産されてきたが、
外国産と混ぜないと使えない品種だったため、
単独で使える「きぬあかり」の誕生は、
農家にとっても、大きな意味をもつという。

「今回の"きぬあかり"は
地元でうどんやきしめんになる。
(農家にとっては)"自分の作った小麦が
こう使われている"と、
消費者が喜んで食べるのを見て"作ったかいがある"
ということで(農家の)モチベーションが上がる。」
(農林水産政策研究所 吉田行郷企画広報長)

愛知の小麦生産は、地産地消の輪を広げながら、
今後も、増加を続けていきそうだ。

愛知県は、パンに使う小麦の新品種も
開発していて、愛知の小麦生産を後押ししそうです。


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