FEAUTURE特 集
小さな驚きカンパニー
プロ選手が愛用 "究極の中敷き"
18.02.01
自動車部品の金型をつくってきた町工場が
その技術を生かしたある商品で
多くのスポーツ選手を
足元から支えています。
その商品とは?
トヨタ自動車のラグビーチームヴェルブリッツ、
プロゴルファー上井邦裕選手。
勝負の世界に生きる彼らの足元を
犬山市の金型メーカーが支えていた!
犬山市、名古屋特殊鋼。
この会社で作っているのは、
靴の中敷、「インソール」だ。
岡田アナウンサーも作ってもらうことに。
実は岡田アナ、歩き方で悩みがあるという。
「よく負荷がかかるみたいで、
小さい頃魚の目が
できたことがあるんです」
(岡田アナウンサー)
一体どこが悪いのか、調べてみると...
「左のほうに少し重心が
寄っているような形で
体重が乗りやすいですね」
(名古屋特殊鋼従業員 斎藤さん)
左肩にばかりバッグをかけていたせいで、
重心が左足のかかとに集中している。
このバランスの悪さが
魚の目や靴擦れの原因だ。
そこでまず、足の裏をスキャン。
起伏を調べてインソールを設計する。
製作するのはこちらの機械。
スイッチを入れると...
材料はウレタンに似た発泡性の樹脂。
機械の中でものすごいスピードで削られていく。
作業開始から約20分。
すると...
「なだらかに作るようにしています」
(名古屋特殊鋼従業員 斎藤さん)
「滑らかですね」
(岡田アナウンサー)
実はやわらかい素材を精密に削るには
特別な技術が必要だという。
「削っている刃は
自社で作った刃なんです。
うちで刃物も作ってます」
(名古屋特殊鋼従業員 斎藤さん)
元々自動車部品の金型を作っているこの会社。
金属相手なら精密加工は自由自在だ。
試しに金型用の刃物で
インソールを削ったところ、
ご覧のとおり、表面はボロボロ。
そこで開発したのがこちら。
鋭い刃がびっしりとならんだ特製のドリル。
約2年かけて完成した。
厚さ0.2ミリの刃が樹脂の表面を
ヤスリのように削り取り、
あの滑らかな加工面を生み出すのだ。
しかしなぜ、
金型工場が靴の中敷きを
作ることになったのか?
「私の父、会長が
ゴルフのラウンド中に
足の痛みを感じたのが
インソールを作り始めた
きっかけです」
(名古屋特殊鋼 鷲野敦司社長)
日常のちょっとした悩みを
解決しようとした結果、
ヒット商品につながったのだ。
そして、岡田アナの
インソールが完成した。
「触ってもらうと
ボコボコしてると思います」
(名古屋特殊鋼従業員 斎藤さん)
「ほんとだ。
この真ん中の部分と内側の部分」
(岡田アナウンサー)
履いてみると...
「(足の)アーチにぴったり
当たってますよ!」
(岡田アナウンサー)
問題だった重心のずれも...
「ちゃんと前にも重心がいってる!」
(岡田アナウンサー)
足の裏全体に圧力が
分散しているのがわかる。
この会社では、
専用トラックによる
出張オーダーも展開。
選手たちの細かい要望に
その場でこたえるスピード感も、
支持される理由の一つだ。
今後はスポーツ選手以外の
足元も支えたい考えだ。
「当社の現場の作業者にも
履いてもらっているんですけど、
そういった立ち仕事の方にも
広げていけたらと思います」
(名古屋特殊鋼 鷲野敦司社長)
このインソール、
現在はインターネットで
個人からの注文も
受けつけています。
価格は1足17000円から
ということです。