テレビ愛知

Vol.006 文:相澤伸朗  
イタリアで知恵熱 その4 ローマ編「イタリア語で知恵熱」
写真01 イタリア語は難しい。動詞は不規則に変化するし、名詞には男性形と女性形があって、形容詞、冠詞、所有格までもが、それに合わせて変化する。さらに厄介なことに、その変化する冠詞と所有格が両方いっぺんに使われたりするのだ。ささいなことかもしれないが、私はこれにとても違和感を覚える。
 例えば「私の家」はイタリア語では「la mia casa」であるが、これを英語でいえば「the my hause」ということになる。変でしょ?いうなれば「ザ・私の家」ですぞ。自分のものに「ザ」をつけるなんて何だかとても偉そうというか、おこがましいというか 、とにかく、とても謙虚で知られる私にはとても気になるのだ。なんか傲慢な感じだ。それにそもそも冠詞と所有格両方いっぺんに使う必要があるのか。「欲張るんじゃありません。どっちかになさい」とママになって怒りたい気持ちでいっぱいだ。
 私の主張があまりピンとこないという人のために、わかりやすい例として小柳ルミ子さんのヒット曲をあげてみよう。「ザ・私の城下町」・・・とても変でしょ?まだピンとこないという人、歌ってみて下さい。「誰が歌うのか子守唄 ザ・私の城下町~」ね、変でしょ?字あまりだ もん。

写真01 今回はそんな一筋縄ではいかないイタリア語をものにするために知恵熱をだしてみた。15年ぶりに「相澤式ビジュアル記憶術」を使ってみたのである。自分でいうのもなんだが、これはすごい記憶術である。自分のものではあるが「ザ・相澤式記憶術」と、「ザ」をつけてもいいぐ らいだ。
 なにしろ大学受験にことごとく失敗し、すっかり「負け犬」となっていた私が、浪人後この記憶術をあみだしてからというものグングン成績を伸ばし、それが楽しくてしかたなくなり、ウヒウヒ言いながら模試の結果を見るようになって、「この偏差値の犬め!」と罵倒されるまでに なったのである。「負け犬」から「偏差値の犬」へ。まさにジャンプアップと言っていいのではあるまいか。それほどの劇的な効果を発揮したぐらいなのだ。

 このおそろしく効果的な「ビジュアル記憶術」をイタリア語に応用するとどうなるか?例えば、「メラヴィッリオーゾ(素晴らしい)」という言葉の場合はこうである。まず、映画「猿の惑星」(ティム・バートンバージョン)の猿たちが人間を追いかけている場面を思い浮かべ、さ らにそのシーンに日本の誇るカウンターテナー、米良美一さんを逃げ惑う人間たちの最後尾を走っている役で特別出演させて頂きたい。そこでその米良さんを指差して、ティム・ロス演じる狂暴なチンパンジーの将軍が「メラヴィッリオーゾ(米良ビリ追うぞ)」と言うのである。
 囚われた米良さんは、その晩、猿たちの勝利の宴に引きずりだされ、歌うことを強要される。米良さんは静かに、やがて力強く「もののけ姫のテーマ」を歌いあげる。すると、それまで大騒ぎしていた猿たちが静まり返り、息をのんで米良さんの天上の美声に聞き入り始めるのだ。感動のあまり、ゴリラの軍人も、オランウータンの長老も涙を流し始める。中には「ウッキッキー」と嗚咽をもらすものもいる。そしてついに、ティム・ロス演じるチンパンジーの将軍が「素晴らしい」とつぶやくのだ。いかがですかな?これで「メラヴィッリオーゾ(素晴らしい)」がしっかりと頭に叩き込まれましたね。
 「メラヴィッリオーゾ」これだけの言葉を覚えるのに、世界にはばたく宮崎アニメとハリウッド映画を競演させてしまうわけであるが、それぐらいインパクトのあるイメージを持ってくることが、この「相澤式」、もとい、「ザ・相澤式ビジュアル記憶術」のポイントである。みなさんも是非おためし頂きたい。

 ではイタリア編最終回、ローマでの写真をお楽しみください。
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トレビの泉の周りはご覧のように大混雑。ここで、お先にどうぞと道を譲られた私は、「グラツィエ(ありがとう)」と言おうとして、どういうわけだか「プレーゴ(どういたしまして)」と言ってしまう。道を譲ってもらっておいて「どういたしまして」・・・とっても愉快 なコントを演じてしまった私・・・。コントのタイトルは「おまぬけ日本人」だ。 トレビの泉は夜にはライトアップされる。でもって夜も大混雑。ちなみにトレビとは三叉路のこと。コインを一枚投げ入れるとまたここに来ることができるというのはよく知られた言い伝えだが、さらに、二枚投げ入れると結婚できる、三枚で離婚できる、4枚で子供を授かる ともいわれている。泉の水は毎週月曜日に抜かれ、コインはすべて集金される。したがって二枚目以降の言い伝えはお金をより多く集めるため作為的に流されたものではないかと指摘する声もある。私はまんまと二枚投げてきたけど。

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レストランでカンツォーネの熱唱を聴く。せっかく「メラヴィッリオーゾ」覚えたのに、内気な私は声をかけることができなかった。最後に我々日本人観光客のために、しっかりした日本語で「上を向いて歩こう」を歌ってくれたのだが、さびのところは「涙がこどれないよう に」と間違えて歌っていた。しかもうっとりと目を閉じて。涙がこどれないようにしているのだろうか?内気な私はやはり間違いを指摘することができなかった。 ローマから日帰りで行ったカプリ島。「とても美しいですね」=「コメ エ ベッロ」は、テレビチャンピオン・手先器用選手権で、チャンピオンが、米粒にとても美しいローリングストーンズのマークを描いたところをイメージして覚えよう。つまり「米 絵 べろ」だ。

Nobuo Aizawa

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