放送内容
2010年12月24日(金)放送分
「臓器移殖法の改正と移殖医療」
日本移植学会常務理事 藤田保健衛生大学病院 病院長 星長清隆先生
どんな病気?
改正臓器移植法が今年の7月17日、全面施行されました。この改正法で一番大きく変わったのは、これまで脳死と診断された時、臓器提供の条件だった本人の意思表示がなくても家族の同意だけで臓器提供できることです。
これからは本人の「提供しない」という意思表示がないかぎり、家族の承諾だけで臓器を提供することができます。これにより、これまでは不可能だった15歳未満の子どもからの臓器提供が可能となりました。
そして、8月10日、この改正法に基づいて脳死後、家族の同意だけで実施された国内初の臓器提供による移植が、ここ藤田保健衛生大学病院でも行われました。
今回は、「臓器移植法の改正と移植医療」をテーマに、意欲医療の現状と問題点などについてお話しを聞きます。
※ かかりつけの医師または専門医にご相談下さい。
2010年11月26日(金)放送分
「転ばぬ先の予防接種~こんなにある防げる病気~」
おおにしこどもクリニック 大西正純先生
どんな病気?
予防接種とは、あらかじめその病原体からつくられたワクチンを体内に入れることで、事前に免疫をつけておく予防法です。予防接種は感染症が流行することを防ぐとともに、病気にかからないようにするものです。また、感染したとしても軽症で済む確率が高くなります。
感染症は人から人へと伝染する病気です。病気が大流行するのを食い止めるためにも、予防接種は大きな役割を果たしています。
予防接種は、まず、予防接種法によって、「定期接種」と「任意接種」の2種類に大きく分けられています。
「定期接種」というのは、一定の年齢になったら受けることが望ましいと定められた予防接種です。三種混合(ジフテリアと百日咳、破傷風の3種類のワクチンを混合して作られ、DPTと略します)やBCG、ポリオ、MR(麻疹・風疹混合ワクチン)、日本脳炎がこれに当てはまります。
「任意接種」とは、周囲の環境や家族の状況などを考慮して、受けるか受けないかを保護者が任意に選択できる予防接種です。
おたふく風邪や水疱瘡、インフルエンザ、B型肝炎、新たにヒブ、7価肺炎球菌、などが対象となります。
今回は、「転ばぬ先の予防接種」をテーマに、予防接種の種類や、受ける前に知っておかねばないことについてお話しを聞きます。
※ かかりつけの医師または専門医にご相談下さい。
2010年10月29日(金)放送分
「(美容)皮膚科で治すシミ治療」
藤田保健衛生大学 皮膚科 准教授 秋田浩孝先生
どんな病気?
シミができるのは肌の老化を表す一つのサインだといわれています。
若い頃、無防備に浴びた紫外線のつけが肌の老化とともにシミとなって現れてくるのです。
一概にシミといってもその種類は様々で、正確な診断をうけ、症状にあったシミの治療法を選ぶことが重要です。
シミの原因を大きく分けると、皮膚を作っている角化細胞の異常で出来るシミと、メラニンという肌の色素を作っている細胞の異常で出来るシミの2つに分かれます。
皮膚を作っている角化細胞の異常でできるシミの代表的なものは、「老人性色素斑」(ろじんせい・しきそはん)と老人性のイボです。
一般的にシミと呼ばれるのは老人性色素斑のことです。
また、メラニンという肌の色素を作っている細胞の異常でできるシミには、
「肝斑(かんぱん)」と「雀卵斑(じゃくらんはん)」=ソバカスがあります。
この他には、ニキビや化粧品などによる炎症のあとにできるシミもあるそうです。
シミの治療には、レーザー治療、内服薬や外用薬による治療、光治療などがあります。
また、シミの治療で、保険が適用されるのは、先天的なアザの治療の場合です。後天的にできたシミのレーザー治療などは、基本的には、保険が適用されません。まず、治療する前に皮膚科の医師に話を聞いて納得してから治療を受けることが大切です。
※ かかりつけの医師または専門医にご相談下さい。
2010年09月24日(金)放送分
「病気の原因となる肥満~減量外科~」
藤田保健衛生大学 板文種報徳会病院 准教授 川辺則彦先生
どんな病気?
肥満が進み内臓脂肪が蓄積されると様々な健康障害を生じます。
肥満が原因で起こる病気は、糖尿病、高血圧、心臓病、脂質代謝異常、関節炎、睡眠時無呼吸症候群、うつ病などさまざまです。肥満になるとかかりやすくなる「ガン」もあるそうです。
また、体重が標準体重の2倍を越える、高度肥満の患者さんの死亡率は、一般の人の2倍、糖尿病や心臓発作による死亡の危険率は5~7倍といわれています。 日本肥満学会では、体重(㎏)を身長(m)の二乗で割った数、BMIが35以上を「高度肥満」と定義しています。「高度肥満」になると、内科治療だけでなく外科治療も必要になってくる場合があります。
高度肥満の治療は、まず、食事療法、運動療法、行動療法などを組み合わせた内科的治療が進められ、それで効果が得られない場合に、外科治療が検討されます。
しかし、減量外科手術は、腹腔鏡という内視鏡を使った手術ですが、胃にベルトをつけたり、小さくするため、大きな効果が期待できるものの、患者さんの負担もあり、簡単に選択できる治療法ではありません。
まずは、専門の医師と相談の上、患者さん自身で選択することが大切です。
※減量外科の手術は、健康保険は適用されません
※ かかりつけの医師または専門医にご相談下さい。
2010年08月27日(金)放送分
「おしえてよ!子宮頸がんワクチン」
名古屋大学 医学部 産婦人科 教授 吉川史隆先生
どんな病気?
子宮頸がん(しきゅうけいがん)予防ワクチンが、一般の医療機関で接種できるようになったことをご存知でしょうか?
この予防ワクチン、実は海外ではすでに100カ国以上で使用されています。
子宮頸がんは、その他のがんと異なり、原因が解明されています。
その原因は、ほぼ100%がヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染であることが明らかになっています。
また、子宮頸がんは、正しい知識をもっていれば、自分で予防できるがんだと言われています。
しかし、子宮頸がんは遺伝などに関係なく、性交経験がある女性なら誰でもなる可能性のある病気です。
近年では20代後半から30代に急増、若い女性の発症率が増加傾向にあります。
子宮頸がんは、女性特有のがんの中では乳がんに次いで第2位を占めており、特に20代から30代の女性においては、発症するすべてのがんの中で第1位となっています。
※ かかりつけの医師または専門医にご相談下さい。
2010年07月30日(金)放送分
「運動とヒザの話~スポーツ傷害~」
名古屋市立大学病院 整形外科 病院教授 小林 正明先生
どんな病気?
歩く、走る、ジャンプする。ヒザは私たちの体の動きを支える重要な部分です。スポーツなどで、激しい動きをするときには、たくさんの負担がかかりやすく、最もケガをしやすい部分でもあります。スポーツによるケガには、大きく2種類があります。
スポーツ外傷は、瞬間的に強い力が加わることによって発生するケガのことです。また、スポーツによる「障害」は、骨や筋肉などが疲労して起こるケガです。
スポーツの時には、普段使わない関節を、使わない方向で、何度も使ってしまいます。また、競技スポーツなどでは、関節などの能力を超えて使用してしまうことがあります。これが、スポーツ傷害を起こす大きな原因となっています。
※ かかりつけの医師または専門医にご相談下さい。
2010年06月25日(金)放送分
「原因不明の下痢・腹痛」
愛知医科大学 消化器内科 准教授 佐々木 誠人先生
どんな病気?
単純な腹痛や下痢と考えられて、見過ごされがちな病気に「潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)」と「クローン病」があります。
潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜がただれたり、潰瘍が出来たりする病気です。
クローン病は、潰瘍性大腸炎が大腸だけに起こるのに対して、食べ物の通り道、消化管のあらゆる場所に発生します。
この2つの病気は、20歳代の若者に多く、難病に指定された1970年代には珍しい病気でしたが、最近急増しており、現在では、全国でおよそ13万人の患者さんがいると報告されています。
※ かかりつけの医師または専門医にご相談下さい。