番組審議会
第423回テレビ愛知放送番組審議会
| ◇開催日時 | 11月12日(水) 午後3時~4時10分 |
|---|---|
| ◇開催場所 | テレビ愛知本社 5階特別会議室 |
| ◇出 席 者 | 新田委員長ら8委員と当社関係者 |
| ◇議 事 | 当社から、社業、視聴率、視聴者センター対応について報告した。その後、事前視聴したテレビ愛知制作特別番組『自然と育つ』[2025年9月20日(土)深夜24時55分から25時55分放送]について、合評した。主な意見は次のとおり。 |
- 派手な演出やテロップがなく、淡々とした映像と日常の音が、生活のリアリティと命の循環を深く伝えていた。匠眞くんは魚や鳥、鹿を捌いていたが、普通の大人でもなかなかできないこと。このシーンにモザイクをかけずに放送していた点に感銘を受けた。
- ハチの巣の除去や木登りなど危険な体験を放っておいたり、否定しないという育て方は、過保護社会の視聴者の大半には考えられないことだろう。親の「やりたいことをやれるのは幸せ」「遭難してもどこかにいそうな気がする」というコメントと、少年の「ゲームより楽しい」「遭難しても生きて帰ってきたい」という発言は、双方の信頼関係の構築につながっている。一方で、学校生活など狩猟・食事以外の多様な情報もあるともっと良かった。
- ナレーションを排した構成は、視聴者に多くの解釈を委ね、自らの感性で咀嚼し考える余地を与えており、現代的かつナラティブなアプローチとして評価できる。一方で、この思い切った手法は、ユニバーサルデザインとしての対応力に課題を感じる。健常者であっても、背景の情報や文脈の把握が困難な場面もあったかもしれない。
- 小6の子がカワセミを「青い宝石」と表現したり、鹿の解体時に「これは1歳だと角で分かる」など、知識も経験も豊富な子供だと感じた。素材(匠眞くん)の強さをそのまま出すという、テレビ番組の「これからの生き方」を問うような番組作りをされた意図について伺いたい。ローカル民放局として、まだ日本に残るこういう素材(場所、人、教育)を発掘してきたことは素晴らしい。
- 恵那市の中野方地区は日本の里山の風景が広がりとても美しい所。音楽が最小限で、自然環境の音がよく出ていた点が良かった。ヒヨドリを処理して食べる映像はなかなか衝撃的。羽をむしり内臓を出す残酷な作業を平気で行い、骨までバリバリと食べるのは、彼にとっては当たり前のこと。獣や鳥の処理の様子を、テレビでここまでリアルに見せた映像はなかったので個人的には衝撃的だったが、魚→鳥→獣の順で見て、さらにそれを食べるという「循環」であれば受け入れられると感じた。
- 川魚、ヒヨドリ、鹿を捌くシーンは、現代の我々の食卓に並ぶ肉には必ず犠牲になっている命があるという、忘れていた当たり前を痛感させた。意見の分かれるシーンだが、一歩踏み込んだところに強く共感する。
- 子育て、家庭教育のあり方に一石を投じる素晴らしい番組。AIが答えを出してしまう現代において、こういった人材は日本に必要かもしれない。共働き家庭が多く、親が背中を見せて育てるのが難しい環境の中で、このような子育てのあり方もあることを示した素晴らしい番組だった。
- タイトル「自然と育つ」について、2つの意味合い(自然と共に、自然に)があると感じ、子どもらしい遊びと逞しさの両方に感動した。匠眞くんの知識の蓄え方、学校生活の様子、撮影の苦労なども知りたいと思った。ご両親の信頼と子育ての在り方、覚悟には驚いた。


