FEAUTURE特 集
小さな驚きカンパニー
世界遺産を守る "カビバスター"
17.06.01
梅雨入りが近づくと気になるのがカビ。
木造の建物の劣化を早める
カビの被害から世界遺産を
守っている驚きカンパニーがありました。
6月に入り梅雨の季節が
近づくと気になるのが"カビ"
そのカビの被害から、
大切な建物を守る会社があった。
西区にある「株式会社せら」
出迎えたのは、
自らを"カビバスター"と名乗る、
世良秀雄社長。
「こちらはどんな会社なんでしょうか?」
(岡田アナ)
「建物のカビ対策をする会社になります」
(世良秀雄社長)
そのカビを見せてもらった。
「シャーレに培養したものなんですけど」
(世良秀雄社長)
「うわぁ・・気持ち悪い・・」
(岡田アナ)
見せてもらったのは、実験のため培養したカビ。
木材だけではなく、コンクリートや石にも繁殖するという。
「建物は全て有機物で
栄養源になるので、
どんなところでも
カビは生えてしまいます」
(世良秀雄社長)
これは、カビを拡大した映像。
カビ本体から菌糸(きんし)と呼ばれる根が伸びている。
この根が木材の奥まで入り込み、建物を侵食するのだ。
「せら」は、この菌糸の細胞組織を分解する
独自のカビ取り液を開発。
まわりの木材を傷めず、カビだけを死滅させことができるという。
培養したカビを、この液体に浸してみた。すると・・
「解けたような感じですね、カビが」
(岡田アナ)
さらに時間をおくと、カビはどんどん分解され、
最後には消えてしまった。
この独自の技術を使い、
せらではこれまで、
京都の清水寺など、
100件以上の神社・仏閣のカビを退治してきた。
この日世良社長が訪れたのは・・
滋賀県にある比叡山・延暦寺。
約1200年の歴史をもち、
500ヘクタールの敷地の中に、
約150の仏堂が点在。
ユネスコの世界文化遺産にも登録されている。
世良社長が向かった先にあるのは、
厄除けの不動尊が祀られている社(やしろ)
よく見ると、いたるところがまだら模様に黒ずんでいる。
「カビが発育段階に酵素や酸を出すので
(建造物の)劣化スピードがはやくなります」
(世良秀雄社長)
早速、"カビバスター"の作業開始。
まず、表面の埃を、
圧縮空気やハケで丁寧に取り除く。
そして、カビ取り液を噴霧器で、
まんべんなく吹きかける。
こすったり磨いたりしないため、素材は傷つかない。
およそ2時間の作業の結果・・・
全体に広がっていた黒ずみが
なくなりひのき本来の色が蘇っている。
蘇ったのは、見た目だけではない。
「木の香りが戻ってきてますね。
すごいですね。
ここにまた仏様に入っていただいたら、
お喜びになると思います」
(比叡山延暦寺 赤松光仁主事)
このほか、
国宝、根本中堂へとつながる中庭の階段も施工。
見違えるような外観を取り戻した。
「文化財を守るという観点からお願いをしております
美観はお参りするにあたって重要で、
気持ちよく拝観、お参りして頂けるよう勤めています」
(比叡山延暦寺 今出川行戒参拝部長)
「復元処理という言い方をしています。
カビを取るというよりは、
復元して木材を健康な状態にする
せっかく何百年と経って、
現代に残っているものを、
少しでも長くもたせて、
後世に(残し)、
皆に見ていただけるようにしたいと思います」
この会社への依頼は年々増えていて、
個人の家のカビ退治も受注しています。
現在は、全国約30件の施工代理店と契約し、
全国から集まるカビとりの依頼に対応しています。