FEAUTURE特 集
小さな驚きカンパニー
"斬新"有松鳴海絞りが世界に
17.06.08
名古屋市緑区の伝統工芸、
有松鳴海絞りに
新たな技法を取り入れ、
ヨーロッパのファッション界に
発信している会社がありました。
名古屋市緑区に伝わる有松絞り。
その伝統の技が海を渡り、
ヨーロッパのファッション界で評価を受けている。
そのきっかけを作った会社とは?
その会社は緑区有松にある「スズサン」。
社長の村瀬史博さん。27歳だ。
「これが全部有松鳴海絞りの商品なんですか?」
(岡田愛マリーアナウンサー)
「はいそうなんです。」
(スズサン村瀬史博社長)
どれも知られている有松絞りのイメージとは程遠い。
これらはすべて、海外向けに作られた商品だ。
今や、パリやミラノなど20カ国のセレクトショップの
店頭に並んでいる。
さらにあのクリスチャンディオールも、
スズサンの有松絞りを高く評価。
コレクションにも使われた。
その理由とは・・・
「ちょっと生地が違いますけれど」
(岡田愛マリーアナウンサー)
「カシミヤの生地を使ったセーターです。
素材を変えて、絞りの技術を使って展開しています。」
(スズサン村瀬史博社長)
有松鳴海絞りは、涼しげな薄い木綿の生地を使うことが多い。
しかしスズサンは、ヨーロッパ人に好まれる毛織物のカシミヤで
有松絞りを実現しようと考えた。
作り方はまず、染めたくない場所に印をつけて布をまとめる。
次にそれを上から糸でくくる。
そして、筒状のビニールを被せて、
さらにその上から強く糸を巻きつけていく。
通常は1回しばれば十分だが、繊維の細い毛織物の場合、
わずかな隙間からも染料を吸い上げてしまうため、
3回に分けてしっかりと縛らなければならない。
3段絞りという技法だ。これにはかなりの力がいるようで・・・
「皮がめくれてきたりだとか、すごい手が痛くなったり」
(従業員)
本当にこれで、カシミヤに絞り染めが施せるのか?
およそ80度に熱した染料につける。
染色が終わって、あとは糸をほどいていくだけ。
果たしてカシミヤのセーターがどんな形で染まっているのか?
「じゃん!いい感じかな・・・ちょっと青くなってるかも・・・・
あ、綺麗に出てますね」
(スズサン村瀬史博社長)
「おお!全然滲んでませんよ。きっちりと綺麗に色が分かれています。」
(岡田愛マリーアナウンサー)
完成したセーターは、白と黒のツートンに染め分けられていた。
境目を見ても、染料が染み出しているところはどこにもない。
デザインも斬新だ。日本のセレクトショップが海外から
逆輸入している場合もあるという。
今月3日・4日に行われた有松絞り祭り。
スズサンのブースを見ると、商品を手にとっているのは、
10代や20代の客層がほとんどだ。
「伝統的な技術なんですけど
今私たちから見ても素敵だなと思うデザイン」
(スズサンを訪れた若者)
スズサンが今、新たに取り組んでいることがある。それは・・・
「凹凸をそのまま、絞りの形状を残して
生地にテキスタイルとして使われています」
(スズサン村瀬史博社長)
ポリエステルの生地に施した有松絞り。
立体的な造形を生かし、
インテリアに応用した。
「新しいもの、ファッションとかインテリアとか、
何かそういう商品をみて、魅力を感じてもらって
産地の活性化にもつながるようにということを、
目標にしています。」
(スズサン村瀬史博社長)
トゲトゲの加工は
縛ったポリエステルの生地に
熱を加えて形を維持する
独自の技法が使われています。
最近はこの絞りの技術を学ぼうと
ヨーロッパから留学生もやってきていて、
村瀬社長の元で修行をしていると
いうことです。