FEAUTURE特 集
ニュースWHY?
ニュースWHY?なぜ竜巻情報が急増!?
17.08.04
台風5号が接近中ですが、台風が接近すると
「竜巻」の危険度が高まるといわれます。
竜巻の危険度が高まると、気象庁は、
「竜巻注意情報」を出して、注意を呼びかけますが、
その「竜巻注意情報」が、2017年急増しているんです。
2017年東海3県に発表された
「竜巻注意情報」の数は、なんと2016年の8倍。
なぜ、発表回数が急増しているのか?
取材してみると、
意外な理由が明らかになりました。
竜巻とは、発達した積乱雲が発生させる
"激しく回転するうず"のこと。
竜巻の被害を減らそうと、気象庁は、2008年から
「竜巻注意情報」を発表しているが、
その数が、2017年、急激に増えている。
2016年と比較すると、一目瞭然。
とくに、7月に発表された数は、8倍にのぼった。
たしかに、7月は大気が不安定だったが、
だからといって、この1年で急に
竜巻が発生しやすくなるものなのか?
竜巻に詳しい名古屋大学の坪木教授に聞いた。
「竜巻の数や強度が急激に変化するかというと、
年単位では、考えにくい。」
(名古屋大学宇宙地球環境研究所・坪木和久教授)
では、急増した理由は、何なのか?
気象庁に直撃すると、意外な答えが返ってきた。
「設定がちょっと低かった。
低かったために、多少、発生の可能性が低い状態でも
竜巻注意情報が出されていた。」
(気象庁・中里真久予報官)
気象庁によると、2016年12月、
竜巻注意情報を出すための技術的な改善を行った際、
情報を出すかどうか判断する基準を
例年に比べ低く設定してしまっていたため、
発表数急増につながったという。
「(12月の改善で)竜巻注意情報を発表するときの基準
みたいなものが、それまでの特性と随分変わっている
ということになって、今年のような積乱雲の活動が
活発な状況に対して、うまく対応できていない。」
(気象庁・中里真久予報官)
気象庁は、7月中旬に基準を修正、
今後の発表回数は、
これまでの2分の1から3分の1に減る見込みだ。
逆にいえば、それだけ発表回数が多かったといえるが、
気象庁は、「発生する可能性が全くないところに
出したわけではないので、ミスではない」としている。
「予報技術として竜巻の予測は難しい状況なので、
実際に運用してみると、今回のような結果になることもある。」
(気象庁・中里真久予報官)
2017年の竜巻注意情報の的中率は、現時点で約2%。
100回発表して実際発生するのは2回程度と決して高くはない。
なぜ、出し続けるのか?
「ひと度竜巻に遭遇して被害を受けた場合
局地的だが甚大な被害を受ける可能性がある。」
(気象庁・中里真久予報官)
ひと度発生すれば、甚大な被害をもたらす竜巻。
この地方でも、1999年、
豊橋市で国内最大級の竜巻が発生、
400人以上の負傷者を出した。
当時の被害の様子を記録した写真から、その破壊力が分かる。
「分譲マンションのドアが曲がったんですよ。
あっという間ですよ。」
(竜巻被害にあった岡田泉さん)
被害が大きかった豊橋市立中部中学校。
当時、この中学校で教員をしていた谷野さんも、
竜巻の被害にあった1人だ。
「もう二度と遭いたくない。」
(当時、教員で被災した谷野功始さん)
竜巻の被害を減らすための「竜巻注意情報」。
大雨などの"注意報"と異なり、
行政機関から避難などの行動を求められることはない。
未だ的中率も低いこの情報に、
我々は、どう向き合えば良いのか?
「竜巻注意情報のとらえ方というのは
それ(情報)が"当たったかどうか"ということではなくて、
"危険な状態がそこにあったかどうか"が、より重要な点。」
(名古屋大学宇宙地球環境研究所・坪木和久教授)
気象庁は、「竜巻注意情報」が
発表されたら、まずは空を確認し、
黒い雲が近づいてきたり、
雷が鳴り出すなど
積乱雲が近づく兆候が見られた場合は、
頑丈な建物に避難するなど、
安全を確保してほしいと呼びかけています。