FEAUTURE特 集
小さな驚きカンパニー
伝統の技 ますます光りマス!
17.10.05
お酒を飲んだり、
お米を量ったりする
道具として約1300年前から
使われていたという日本の升。
その伝統の技術で
新たな挑戦に打って出た
会社がありました。
日本伝統の升、
中をのぞくと・・・光った!
この升、一体何に使うのか?
岐阜県大垣市の大橋量器は
60年以上続く老舗の会社だ。
社長の大橋博行さんに話を聞いた。
「変わった升があると
聞いて来たんですけど」
(岡田アナ)
「はい、こちらなんです」
(大橋量器 大橋博行社長)
「一見ふつうの升ですよね」
(岡田アナ)
「光った!!」
(岡田アナ)
「底板の中に基盤が入っているという仕組み」
(大橋量器 大橋博行社長)
その名も「光枡(ひかります)」。
LEDライトの光が底板を透けて見える。
「なぜ光る升を作ったんですか」
(岡田アナ)
「升は海外でも少しずつ使われ始めている」
(大橋量器 大橋博行社長)
海外で升!?
実は今、日本の升が海外で人気だという。
こちらは9月に
サンフランシスコで行われた
日本製品の展示会。
大橋量器のブースを見ると大混雑!
人気の理由は、
ただ光るというだけではない。
「液体を漏らさないという技術も驚かれた。」
(大橋量器 大橋博行社長)
釘や接着剤を使わない精密な加工が人気のヒミツ。
光る升は海外のカクテルパーティー用に作られた。
日本人には当たり前の技術だが、
その作り方はあまり知られていない。
そこで工場を見せてもらった。
「木のいい香りがしますね!」
(岡田アナ)
材料はヒノキ。
よく乾かしてから切りそろえ・・・
次の機械へ。
「溝を掘る工程に移ります。」
(大橋量器 大橋博行社長)
板を組み合わせるためのデコボコとした溝を作る。
よく見ると、
出っ張っている部分が少し細くなっている。
板と板とを奥までしっかりと差し込むための
工夫だという。
しかし、ここで問題が・・・
細くなった部分には、当然隙間ができる。
このままでは水が漏れてしまう。
解決の方法は、この歯にあった。
歯の側面に、わずかな膨らみがもたせてあり、
溝を削る際に、先端を押し広げているのだ。
桧は一度押しつぶされても
大気中の水分を吸って元に戻ろうとする。
0.2ミリほどあった隙間が、
1日たつと小さくなっているのがわかる。
「削っていなくて、
潰しているからこそ元に戻る」
(岡田アナ)
「ヒノキなどの柔らかい材料は
つぶしても水分で元に戻るんです」
(大橋量器 大橋博行社長)
さらに数日経てば、ぴったりと隙間がなくなり
緻密に組み上げた「升」の完成だ。
大橋量器では、この技術でジョッキや
コーヒーカップなど、様々な商品を開発。
海外での売り上げも順調だという。
さらに、ニューヨークのアパレルショップが、
注目したことで、日本でも人気に火が付き、
その売り上げは、今や年間2億円以上に伸びている。
「逆輸入じゃないですけど、そのような形で、
逆に日本でそういう製品が売れ出した。
面白いと思って升の世界に入ってきてもらう、
そういったところを目指したいと思っています。」
(大橋量器 大橋博行社長)
この会社では、
スマートフォンをかざすと
動くイラストが画面に映る升を開発中です。
今後はこうした
IT技術を使った商品で
欧米での販売を
増やしていきたいということです。