FEAUTURE特 集
小さな驚きカンパニー
"漆100%"の〇〇〇
18.01.11
伝統工芸、名古屋仏壇に
漆を塗る塗り師が、
その技術を守るため
新たな商品開発に挑戦しました。
漆を使った
世界で初めての商品とは?
深みのある光沢が
美しいこちらの器。
持ってみると・・・
「わぁ!軽~い!これなんだろう?」
(岡田アナ)
弥富市の武藤仏壇漆工は
漆工芸の会社だ。
「お邪魔しまーす」
(岡田アナ)
作業場で出迎えてくれたのは・・・
「今日はよろしくお願いします」
(岡田アナ)
「よろしくお願いします」
伝統工芸士、
武藤久由さんだ。
この地方の伝統工芸、
名古屋仏壇に漆を塗るのが本業なのだが、
1年程前に仏壇以外の「ある商品」を開発した。
「ここで仏壇以外の物を
作っていると伺ったんですけども」
(岡田アナ)
「はい。
これです。
まだ制作途中ですけど」
(武藤仏壇漆工 武藤久由社長)
「これなんですか?」
(岡田アナ)
「漆だけで作った、漆100%の器です」
(武藤仏壇漆工 武藤久由社長)
「そんなこと出来るんですか?」
(岡田アナ)
一体なぜこんなコップを作ったのか?
「大きい仏壇が特に売れなくなって、
仏壇自体が売れなくなってきてる状況です。」
(武藤仏壇漆工 武藤久由社長)
核家族化や生活様式の変化で
仏壇・仏具の売り上げは、
この20年でおよそ半減。
漆を使った豪華な仏壇も少なくなった。
衰退する伝統の技法を守るため
新たな挑戦が必要だったのだ。
そんなコップは一体
どうやって作っているのか?
手にしているのは・・・
「紙コップ?へ~」
(岡田アナ)
「これに漆を塗っていきます。
中にこう...。」
(武藤仏壇漆工 武藤久由社長)
「あっ。中に塗るんですか?」
(岡田アナ)
「薄く薄く塗りたいので、
伸ばすように塗っていきます。」
(武藤仏壇漆工 武藤久由社長)
漆を紙コップの内側に
うす~く塗り伸ばしていく。
乾くのに時間がかかる為、
塗れるのは1日1回。
その薄さたるや・・・
「お~!こんなに薄いんだ」
(岡田アナ)
この作業を20回繰り返したものがこちら
さらにその紙コップを・・・
「ははは~破るんだ!
こんなに簡単にペリって剥がせるんですね」
(岡田アナ)
防水の紙コップが漆を弾くのを
逆手にとったこの作り方。
アイデアのきっかけは・・・
「カップの内側に漆を塗り重ねたら
漆だけの器ができるんじゃないかと思ったんです」
(武藤仏壇漆工 武藤久由社長)
さらに表面をきれいに研いで
そのうえから漆を5、6回塗り重ねる。
「最後の仕上げの上塗りをします。
全体を赤く塗った後に、
この透けの漆を塗る塗り方を溜塗り(ためぬり)
と言って、下の赤が透けて見えるんですね」
(武藤仏壇漆工 武藤久由社長)
その上から赤や黒の漆を塗り重ねると...
「きれいな黒ですね~」
(岡田アナ)
「仏壇で使ってた技法プラス自分で勉強して
覚えたことを組み合わせながら、
人がやってないことを漆でやりたい」
(武藤仏壇漆工 武藤久由社長)
こちらが、漆100%のコップ。
完成までに、約2か月かかるという。
下地がないのでとにかく薄い。
器の厚みはわずか1ミリで、
重さは32グラム。
持ってみると、しなやかで、
プラスチックのコップより丈夫だという。
そのコップでお茶を飲んでみた。
「んー。器の主張が無い!」
(岡田アナ)
「器自体が軽いので、
飲み物の重さを感じると思う」
(武藤仏壇漆工 武藤久由社長)
価格は1個10,800円から。
この1年で、約150個が売れている。
「今まで見たことの無いものだから
驚いてもらいたいとプレゼントとして
購入してくださる人も多いです」
(武藤仏壇漆工 武藤久由社長)
さらに今後は?
「漆の技術を継承しながらどんどん
新しいものを作ってより多くの
人に漆を知ってもらいたい。」
(武藤仏壇漆工 武藤久由社長)