FEAUTURE特 集

ザ特集

医療ツーリズムで赤字脱却へ

18.04.12

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4月11日に続いて、赤字に苦しむ
名古屋のある病院を取り上げます。

この病院が生き残りを賭けて
挑んだのは「中国」でした。

日本の病院の4割が
赤字にあえいでいる。

名古屋共立病院もその1つ。

経営者の川原弘久(かわはら・ひろひさ)さん。

「毎月1億円を越す赤字ですよ。
 病院が潰れますよ、
 やっていけなくなって。」
 (医療法人偕行会 川原弘久理事長)

診療報酬の改定で、
収入の7割を占めていた入院費が減少。
かといって、人件費は削れない。


「(資金がなく)
 新しい医療技術があっても
 導入できなければ、
 患者さんが恩恵を受けられない。
 医者として生きる限りは、
 医療技術を駆使して、
 患者を助けたいという夢がある。」
 (川原弘久理事長) 

医療の質を落とさずに、
経営を立て直す方法はないか?

そこで、川原さんが目をつけたのは
海外から外国人を受け入れる医療ツーリズムだ。

「保険診療だけでは限界。
 自由診療を取るなら医療ツーリズムしかない。」
  ( 川原弘久理事長)

健康診断のため上海から来日した女性。

外国人に対する診察や検査の料金は、
病院が自由に決めることができる。

そのため、日本人の倍の料金にした。

それでも・・・

「中国と比べるともちろん高いですが、
 治療の質の良さや細かさ、
 丁寧さを比べると、高くても
 納得して受診したい。」
           (中国人患者)

医療ツーリズムのターゲットは、
中国人の富裕層。

北京での商談会には、
世界中から多くの医療機関が参加し、
中国人の争奪戦を繰り広げた。

「私の病院も
 中国市場にはとても注目している。」
         (UAEの医療関係者)

はげしい国際競争。

実際、2017年に名古屋共立病院が、
医療ツーリズムで受け入れたのは42人。

収入は目標の1割にもみたない。

「医療ツーリズムは口では簡単にいますが、
 並大抵のことではない。
 スタッフも用意しなくてはいけないし、
 四六時中、海外に行って集客してこないといけない。」
    ( 川原弘久理事長)

競争に勝つには、体制の整備が不可欠だ。
そこで、中国人看護師も積極的に採用。
案内表示も中国語だ。

しかし、受け入れは簡単ではない。

2016年に立ち上げた「国際医療部」。

ここに、川原さんの姿が。

「一番大事なところだから、経営的には。」
     ( 川原弘久理事長)
従業員は・・・

「(今度来る)
 中国人患者の情報を確認しています。
 糖尿病の薬の情報です。」
患者の情報をチェック。
その資料は膨大。間違いも多い。

医療ツーリズムで赤字を脱却するには、
まだまだ時間がかかる。

それでも川原さんには信念がある。

「10年、15年かけて切り開いていく。
 日本の医療をよくしていこうという課題に
 取り組んできたので、それを止めるわけにいかない。
 医療者として。医療経営者として。」
  (川原弘久理事長)

医療ツーリズムには
愛知県も積極的で、
2018年11月には中国での商談会に
ブースを出展する方針です。

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