FEAUTURE特 集
ザ特集
シェアハウスからの"巣立ち"
18.07.05
母親ひとりで子どもを育てる、
いわゆるシングルマザーたちが
共同生活を送る『シェアハウス』。
後編の5日は、シェアハウスからの
巣立ちを目指す女性たちを取材しました。
「途方に暮れたというか
住むところが決まらなければ
仕事だって決まらないし
仕事が決まらないと
保育園も決まらないし」
(坂本佳奈さん・仮名)
1歳の娘を持つシングルマザーの坂本佳奈さん(仮名)。
専業主婦だった彼女は、離婚後、
住まいを借りることができなかった。
坂本さんを救ったのが、中村区にあるシェアハウス。
ここはシングルマザーの自立を目的とした施設だ。
シェアハウスを運営する神朋代さんもシングルマザー。
仕事が見つかりにくい彼女たちのために、
就職のあっせんもしている。
そのおかげで、坂本さんは、
住まいと仕事を同時に見つけることができた。
「前向きに生きていかなくてはいけない
子どもと という気持ちになった」
(坂本佳奈さん・仮名)
シェアハウスは、彼女たちの"自立"への一歩だ。
「住み続ける場所ではない
ここから巣立っていくことを
目標にしてもらいたい」
(神朋代さん)
5歳の息子とシェアハウスに暮らす
吉田弘美さんも、自立を目指す1人だ。
以前住んでいたところは、保育園から遠く、
延長保育もなかったため、フルタイムで働けず、
収入も少なかったという。
「(月の収入は)10万はなかったです
金銭面もなんですが自分自身に余裕が無い時に
子どもにあたってしまったり
どうせ無理 どうせできないって
ネガティブな考え方になっていた」
(吉田弘美さん・仮名)
シェアハウスに引っ越したことで、
フルタイムの仕事につけた吉田さんだが、
まだまだ不安は多い。
そんな時の相談相手は神さんだ
「夜なかなか眠れなくて」
(吉田弘美さん・仮名)
「(眠れない時)どんなこと考えてるの
不安な気持ちとか?」
(神朋代さん)
「とか...
仕事で疲れて反対に目がさえてしまって
物事とかイヤとか はっきり言えなくて
自分の気持ちをうまく伝えるのが苦手」
(吉田弘美さん・仮名)
「そういうときね
難しい本読むの 眠くなるから」
(神朋代さん)
「不安になるとマイナスな気持ちに行ってしまうので
子供のために元気になってほしい」
(神朋代さん)
6月、シェアハウスではコミュニケーション能力を
高めるための勉強会が開かれた。
これも自立支援の一環だ。
「"言っておけば良かったな"って
いうことはよくある」
(講師)
「よくあります」
(吉田弘美さん・仮名)
「じゃあやっぱり言った方がいいね」
(講師)
ここにきて前向きになれたという吉田さん。
仕事のスキルアップのため、
パソコンの勉強を始めた。
「他の入居者さんも一生懸命勉強している人もいて
目標を持っていてその中で自分も頑張っていきたいし
"肝っ玉かあちゃん"みたいな
(子どもが)悩んでいる時に大丈夫だと言える
肝の据わった 前向きな明るい親になっていきたい」
(吉田弘美さん・仮名)
この日、シェアハウスには引越しの準備を進める
坂本さんの姿が。半年間過ごしたここを出て行く、
それが本当の「自立」になるからだ。
「もう不安はここで消し去ったというか
新しい生活を始める
"ワクワク感"の方がある
娘にちゃんと働いている姿を見せたい
頑張って生活している姿も
育てながら見せて生きたい」
(坂本佳奈さん・仮名)
シングルマザーの自立の一歩がここから始まっている。