FEAUTURE特 集
ザ特集
奥三河 害獣と猟師の戦い(後編)
18.07.27
7月27日の後編では、
高齢化が進む猟師たちの苦悩に迫ります。
新城市作手地区。
山あいのこの地域が抱える深刻な問題。
それは...
獣害だ。
「トウモロコシとかカボチャとか全滅」
(女性)
「まだ二つしかなっていなかったんですけど
その二つとも食べられてしまって悔しい」
(男性)
食べられたのはスイカ。
獣害の被害額は全国で年間170億円以上。
県内だけでも4億円を超える損害が生まれている。
さらに地元猟友会の鈴木康弘さんによると、
タケノコを食べるイノシシやシカが斜面に無数の穴をあけているという。
その穴に雨水が入り込み土砂崩れが起きやすくなっていた。
「人命の危険にさらされる土砂災害に。」
(新城市猟友会 鈴木康弘さん)
害獣を駆除しているのが猟友会の猟師たちだ。
この日行ったのは囲み猟。
山の西側から犬を放ってシカを追い込み、
鈴木さんたちが8カ所で待ち伏せする作戦だ。
害獣駆除で市から支払われるのは、1頭につき1万円。
猟にかかる経費は、ほとんどが自前だ。
「獲れると良いですね」
(ディレクター)
「がんばろう!」
(新城市猟友会 鈴木康弘さん)
猟犬が放たれ、いよいよ猟が始まった。
銃を構えじっと待つ鈴木さん。
すると...
山に乾いた銃声が響き渡った。
果たして結果は?
「小川さん獲れた?」
(無線)
「抜かれちゃいました」
(無線・小川さん)
「当たらなんだ...」
(無線)
どうやら失敗したようだ。
獲物が逃げてしまったため、
一旦、自宅に戻って時間を置く事にした。
割のあわない猟を続ける鈴木さんについて
妻の良子さんに話を聞いた。
「最初から賛成はしてなかったけど
やる人がいないと困るかなと思っているから
好きでやってるならしょうがないかな」
(鈴木良子さん)
ボランティアのようなものだと2人は話す。
再び猟へ
「まちがいない、(シカが)出るよ」
(新城市猟友会 鈴木康弘さん)
猟を再開して5時間。
日も暮れはじめたその時...
「出たでね、出たよ、気をつけて」
(無線)
見つけたのは4頭のシカ。
親子のようだ。
「人間の都合でケモノを駆除するのはかわいそう」
という意見もある。
鈴木さんにも葛藤はある。
「死んでいく動物を見て、今でも慣れません。
心の奥が痛いです。
ただね、やっぱり義務感なんです。
駆除しないと、人間が死ぬ。
一歩間違えれば、本当に死につながる。
人間の生活圏まで来ないで。それだけなんです。」
(新城市猟友会 鈴木康弘さん)
危険にさらされる人がいる以上、誰かがやらなければならない。
鈴木さんは今後も猟を続ける。