FEAUTURE特 集

ザ特集

タヌキの赤ちゃん成長見守る

18.08.09

たぬちゃん.jpg


けがをした野生動物や
行き場をなくした飼育動物を保護している
三重県の大内山動物園に
新たにタヌキの赤ちゃんが加わりましたが、
実はある問題を抱えていました。


三重県大紀町にある大内山動物園は
全国でも珍しい個人経営の動物園です。

園内には交通事故で後ろ足をケガしたニホンジカや
東日本大震災の翌年に福島で保護されツキノワグマ。

動物園の閉鎖で殺処分される恐れのあったベンガルトラなど、
けがをした野生動物や殺処分を免れ保護された動物が展示されています。


6月5日に、新たに保護された動物がやってきました。

タヌキの赤ちゃんです。

千葉県の住宅街で
水路に落ちているところを見つかり保護されました。

生後2週間ほどでした。


タヌキの赤ちゃんは自分で排便が出来ません。

マッサージでお尻を刺激します。

「この子(タヌキ)のお母さだと
 おしりを舐めて排便させるので、
 それに似たようにタオルにお湯をかけて、
 それで排便を促しています」
     (大内山動物園 居城椋子飼育員)

タヌキの赤ちゃんを展示するのは1年ほど先。

それまで3人の飼育員が交代で成長を見守ります。

大内山動物園には
野生動物の赤ちゃんが多く持ち込まれます。

各地で行われる有害動物の駆除が原因です。

野生動物による農作物の被害額は年間176億円。

駆除される有害動物の数も年々増えていて、
その数はシカ、イノシシ、サルなど年間86万頭に上ります。

ところが駆除の際、赤ちゃんだけ生き残る場合があるといいます。

「みんな駆除された子供たち。
 子供までよう殺さないので、子供を放っておく。
 それを誰かが拾う。ここに届けられる。」
      (大内山動物園 山本清號園長)

駆除を免れた動物たちを受け入れてきた山本さんですが、
個人経営だけに限界もあります。

「おり1個作るのは500万円ぐらいかかる。
 20年30年生きるニホンザルもいる。
 それまでの餌と掃除をしないといけない。
 1頭でも1羽でも1匹でも、
 助けてあげられればいいかなあと思って今やっているけど、
 自分のできる範囲でね、余力があればいいけど、
 なかなかそこまでの力がまだない」
      (大内山動物園 山本清號園長)


大内山動物園に保護されて2カ月、
タヌキの赤ちゃんは順調に大きくなっていました。

200グラムだった体重も1700グラムまで増えました。

ところが...

かみつく癖が治らなければ人前に出すことができません。

「この子(タヌキ)には兄弟がいないので、
 かみ癖がなかなか直りにくくて。
 かむことが痛いということを知らないので、
 私たち飼育員がさわって、
 かんだ時は怒って、
 それをどういう風に教えるかが大変でした。
 お母さん代わりとして
 成長を見守っていきたいと思います。」
       (大内山動物園 居城椋子飼育員)


園には年間4万人が訪れますが、経営は毎年赤字。

それでも可能な限り、動物たちを受け入れる考えです。


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