FEAUTURE特 集
ザ特集
新型レーダー 実用化への課題
18.09.06

特集の後編です。
ゲリラ豪雨からの被害を未然に防ごうと、
短時間で予測できるレーダーが開発されました。
突然の局地的な大雨で地域に大きな被害をもたらすゲリラ豪雨。
豪雨をもたらす雲は短時間で形や場所を変えてしまうため、
予測が難しいとされてきました。
そんなゲリラ豪雨を予測しようと研究を続けているのが、
名古屋大学の高橋暢宏(のぶひろ)教授です。
950本のアンテナで、電波を広角に発射し、
ゲリラ豪雨の雲を30秒で立体的に観測するレーダーを開発しました。
取材した8月27日の夜に、関東地方をゲリラ豪雨が襲いました。
実は、その約4時間前にこのレーダーシステムは、
その兆候とみられる怪しい雨雲を捉えていました。
高橋教授のグループは現在、モニター2000人を対象に、
メールで雨の情報を配信する実験を行っています。
予測した情報をわかりやすく伝えるためです。
こちらがメール。
「15時51分、バケツをひっくり返したように降る」
表現も分かりやすくしています。
さらに、こちらの雲の形をスマートフォンで見ることもできます。
画面を動かすと、
雨雲の高さも知ることができます。
「立体構造をいかにわかりやすく、気象とかを専門にしていない人にも、
直感的にわかりやすく、受け入れてもらえると思うので、
そういうところにも取り組むべきだなと思っています。」
(名古屋大学 高橋暢宏教授)
2020年までに実用化したいと話す高橋教授。
そのためには、レーダーに対する理解を広める必要があります。
8月24日に、名古屋市科学館に高橋教授の姿がありました。
前の日に上陸した台風を例に、新型レーダーの性能を説明しました。
「今回の台風の一番外の部分で、線状の降水帯ができた。
フェイズドアレイの立体構造で見ると、ある程度背の高い(雲が)次々とやってきて。
赤色が強いと、背の高い雲ができている様子とか、断片的ですけど見て取れる。
例えば普通の主婦の方ですと、洗濯物を取り込むタイミング、
雨が降るので早く取り込んだほうがいいですよとか。
幼稚園にお迎えに行かれる時に、雨が来るので今はちょっと出掛けるのをやめて、
少し待ってもらって迎えにいくとか、そういうの(活用)も考えられます。」
(名古屋大学 高橋暢宏教授)
ゲリラ豪雨の予測は、生活に密着した情報だけに、来場者の関心も高かったようです。
高橋教授も講演に手ごたえを感じていました。
「やっていること自体は楽しいので、そういうのをみんなに聞いてもらえればと。
特にゲリラ豪雨みたいな、生活に密着するもので、
新しい技術が役に立つというのが、少しでもわかってもらえれば・・・。」
(名古屋大学 高橋暢宏教授)