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ザ特集

IR誘致 市長発言のナゼ? 後編

18.12.06

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名古屋市の河村市長が、
カジノを含む統合型リゾート
いわゆる「IR」誘致の候補地として、
市外の三重県桑名市も入れたいと
発言したことで波紋が広がっています。
発言の背景には、こんな事情がありました。


2018年7月、カジノを含む統合型リゾート、
IR実施法案が可決成立し、
国内各地で本格的にカジノの誘致合戦がスタートした。
政府が設置許可を出すのは最大3カ所。

大阪府をはじめ、複数の自治体が、
誘致にむけて検討を始めている。

名古屋市もその1つなのだが、
河村市長からこんな発言が飛び出した。

「名古屋の中心部、まず1つ。
 それから名古屋港。
 ナガシマスパーランド近辺。」
(名古屋市・河村たかし市長)

この発言の背景には、一体何があるのか。

静岡大学の鳥畑教授は、
IRの誘致にはカジノ事業者の思惑が
大きな影響を与えると指摘する。 「進出する側が念頭に置いているのは、
 日本の既存のギャンブラーなんです。」
(静岡大学 人文社会科学部・鳥畑与一教授)

経済効果は年間1兆円から6兆円とも。
しかし大阪府の試算では、年間の利用者のうち、
海外からの観光客は全体の約2割。
のこりの8割は、地元周辺の住民だという。
名古屋地区は、カジノ事業者にとっての
好条件がそろっていると鳥畑教授は話す。

「愛知は公営ギャンブルの数は一番多い。
 パチンコの台数も有数。
 そういった意味では、カジノ事業者から見れば、
 横浜・山下ふ頭か愛知が一番おいしいマーケット。」
                 (鳥畑与一教授)

IRの誘致には、もう一つ大きな問題がある。
それは...用地の広さだ。

「国際会議展示施設、
 少なくとも20万平方メートルのものが必要です。
 それにこういう巨大なMICE(=国際会議展示場)施設を作るためには、
 カジノが必要なんだという議論を繰り返しているわけなんですよね。
 そういったものがまず確保できるのか...。
 自治体としては最終的に判断をしないといけない。」
                 (鳥畑与一教授)

名古屋市内では熱田区の中央卸売市場や
名古屋港などの名前もあがっているが、
いずれも20万平方メートルもの土地を確保するのは難しい。

名古屋市内に候補地はないのか、河村市長に聞いても歯切れが悪い

Q.市内は?
「名古屋市内でも探す。一応。」
       (河村たかし市長)

市長の本命は、やはりナガシマスパーランド周辺なのか?

ただ国は、既存の観光施設があるところに
IRを建設しないという方針を打ち出している他、
三重県の鈴木英敬知事も、県内に
IRを誘致するつもりはないと表明している。

カジノ施設の誘致をめぐっては、
治安の悪化やギャンブル依存症を助長するという指摘もあり、
鳥畑教授は総合的な判断が必要だと話す。

「カジノ事業者としては、愛知に進出したい、
 そういう思いはあると思う。IR事業者が儲かった、
 雇用が生まれました、税収が生まれました、
 めでたし、めでたしじゃなくて、その結果、
 地域経済のどれぐらいの消費力が奪われたのか、
 依存症が生まれて、どういう否定的な影響が
 生まれたのかを総合的に評価しないといけない。」
                (鳥畑与一教授)