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FEAUTURE特 集

ザ特集

ワクチンを"打てない理由"

19.02.21

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豚コレラの拡大を防ぐ"切り札"として
期待が高まるワクチンですが
国は飼育する豚への投与には
依然、慎重です。
実は、こんな理由があったんです。

愛知県田原市の養豚場が密集する
"養豚団地"を襲った豚コレラ。

養豚団地では、約1万6千頭の豚が
飼われていましたが、
すべて殺処分されました。

家畜伝染病の豚コレラ。
人間にはうつりませんが、
豚に対しては、伝染力が強く、
ほぼすべての豚が死に至る恐ろしい病気です。

養豚農家の間には、不安が広がっています。

「時間の問題で広がると思う
 愛知県と岐阜県はワクチンを打ってほしい」
(養豚農家)

豚コレラのワクチンは、1969年に開発され、
豚やイノシシに接種すると感染を防げるといいます。

国は、野生のイノシシに
ワクチンを投与する方針は決めたものの
飼育している豚への投与については、
慎重姿勢を崩していません。

なぜなのでしょうか?

国は『「清浄国」への復帰に時間がかかる』と説明します。

「清浄国」とは、豚コレラを撲滅できた国にだけ
国際機関が与える、いわば、ブランドのようなもの。

世界的にも、わずか34カ国しか認定されていません。

ちなみに、日本は2018年9月の豚コレラ発生で、
一時的に認定が停止されています。

「清浄国であれば外国の安い豚肉が
 入ってくるのを阻止できる
 日本が清浄国のステータスを失った状況にあって
 周りの韓国や台湾が
 今の日本の状況を見ながら
 清浄国のステータスを(先に)確保すると
 台湾や韓国からの豚肉を拒めなくなる」
(北海道大学微生物学教室
          迫田義博教授)

ワクチンを使わなければ、
最後の発生から3カ月で
「清浄国」の要件を満たせますが、
ワクチンを1回でも使ってしまうと、
1年以上かかってしまうといいます。

「安い豚肉が入り込むと
 最終的には養豚農家の首が締まる」
(北海道大学微生物学教室
        迫田義博教授)

迫田教授は、今、ワクチンを打たないことについて、
次なる脅威への"備え"でもあると指摘します。

その脅威とは、アフリカ豚コレラ!

豚コレラと同様、強い伝染力を持ち、
致死率も高いですが、大きな違いが...

「最大の違いは豚コレラには
 切り札としてワクチンがあるが
 アフリカ豚コレラについては
 世界中探しても切り札のワクチンがない」
(北海道大学微生物学教室
          迫田義博教授)

2018年夏、ついにお隣・中国に
上陸したアフリカ豚コレラ。

日本でも、中部空港などで、
中国からの旅行客の手荷物から
アフリカ豚コレラに感染した豚の生肉が
見つかっているといいます。

「豚コレラには最後の頼みのワクチンが
 イノシシにも豚にもあるが
 アフリカ豚コレラにはない
 今、白旗を上げてしまう
(ワクチンを打つ)と
 アフリカ豚コレラ対策で
 白旗を上げることになるので
 国としてもやすやすとワクチンで
 収めるわけにはいかない」
(北海道大学微生物学教室
          迫田義博教授)

今は、まず、消毒など衛生対策の徹底。
養豚関係者たちの闘いが続いています。

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