FEAUTURE特 集
金スぺ
30年ぶり 大須に"銀幕"
19.02.22
かつて、多くの映画館でにぎわった
中区の大須商店街に、3月、
ミニシアターがオープンします。
実に30年ぶりとなる『銀幕』復活を仕掛けた
78歳の元商店主の男性の思いとは?
幅広い年代の客で賑わう「大須商店街」。
工事が行われているこちらの建物は...?
「ここからはチケットを売ったり
そういう場所になるわけです」
(大須シネマ支配人・中川健次郎さん)
Q.ここがブースになるんですか?
「はい」
(中川健次郎さん)
実はここ、大須で唯一の映画館となる場所なのだ。
その名も「大須シネマ」。
映画館を立ち上げようと活動しているのは
中川健次郎さん、78歳。
なぜ大須に映画館を作ろうと思ったのか?
それは中川さんが大須で生まれ育ったことに理由がある。
「(映画館の)看板を見てね、小学校に通ったという
その中を通らないと学校に行けなかったからね
一番大事なことだね、残していくというか、歴史をね、
お伝えしていくと 映画の街だったということを」
(中川健次郎さん)
今でこそ映画館は1つもないが、
大須は明治から大正、そして昭和をまたいで、
多い時で23もの映画館がひしめく、
映画娯楽の中心地だった。
それが時代の波にのまれ、
平成元年、最後の映画館も姿を消した。
映画から様々なことを学ばせてもらったという中川さん。
映画館を復活させるのは育ててもらった
大須の街と映画への恩返しでもあるのだ。
オープンは3月30日、
42席を備えたミニシアターが出来あがる。
30年ぶりに大須にできる映画館だが、
どんな上映プログラムで客を楽しませるか、
中川さんは頭を悩ませていた。
「みんなと同じように映画館をやって、
これだけでは映画館は難しいと思う。
「あ、これでも映画館か!!」というようなね、
方法を考えて...」
(中川健次郎さん)
オープンまで約1カ月。
この日、中川さんは
映画館復活に賛同する大須の人たちを前に、
プログラム内容の説明を行っていた。
「4本立てにしていきたいと思っています」
(中川健次郎さん)
中川さん、小さな映画館ということを逆手にとって
独自のプログラムを組もうというのだ。
午前中に名画とよばれる懐かしの作品。
お昼からは、公開から数カ月が経ち、
金額的にも比較的、仕入れやすい作品。
そして3回目に中高生でも
興味をもってもらえるアニメ作品を。
夕方からは大人も楽しめる
短編映画をセットにして上映するという。
「我々としては小さいからできるという、これしかないね」
(中川健次郎さん)
大手のシネコンとは一線を画した
中川さんの秘策を聞いた人は...
「バランスが良いかなと思います。
大須自体がシニアの人もいるし、
アニメが好きなオタクの人もいるし、
今、現状大須によく来ている客層の人に
すごく合わせたラインナップになっていると思います。
目玉になってくれると一番良いと思いますね」
(大須シネマ発起人の一人・新美達矢さん)
大須に映画館を復活させようとする中川さんには
街の人たちも大きな期待を寄せている。
商店街の23もの店が協賛金を出して応援。
老舗の造花店もそのひとつだ。
「僕が小さい時も映画館が色々あって。
僕の小さかった時の
いろんな大須を蘇らせてくれたので、
あぁすごいなぁと思って、
だからちょっと楽しみなんです、3月が」
(巴屋商店・堀場源一郎さん)
大須の人たちが待ち望む映画館。
復活する日は間もなくだ。
「大須は映画の街だよというものを
ちょっと残すことができたらなぁというのが一つ。
すぐ繁盛するとは僕は思いませんけど、
何とか続けられるようにできたらなと思っています」
(中川健次郎さん)
大須シネマのオープンは3月30日です。