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FEAUTURE特 集

金スぺ

みそ蔵の危機 伝統の味が!?

19.03.01

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愛知県の特産品の一つにあげられる「豆みそ」。

県民に愛されている伝統の味ですが、
明治から続く老舗の蔵で今、
困った問題が起きています。

その問題とは...。

古い扉を開けると、
そこには高さ2メートルを超える
大きな木桶がずらりと並ぶ。

昔ながらの製法で、
愛知伝統の味噌やたまりを作る蔵だ。

3年間熟成させた味は、
地元で長く愛されている。

武豊町で140年続く醸造元。
中定商店。

この蔵の主人、中川安憲さんは
今、大きな悩みを抱えている。

「このような木おけ醸造をいつまで
 続けていけるのかなという悩みがある」
(中定商店 中川安憲代表)

悩みは木桶の老朽化だ。

明治時代から100年以上
使われているものもある。

材料は樹齢100年以上の吉野杉。

年輪が詰まった硬い材料だが、
長年使われると、
古い桶は木の繊維が綿のようになってしまう。

味噌の塩分が少しずつ木を傷めるのだ。

新調しようにも、
材料が高価で1桶数百万円もする。

木桶の多くはもう寿命だ。
それでも木にこだわるのにはわけがある。

「木のおけの繊維の中に
 昔からの菌が住み着くことができる
(菌によって)みそにコクが出る
 それがあるからそれぞれの蔵の味が違う」。
(中定商店 中川安憲代表)

この日、大阪からやってきた人がいた。
大桶作りの職人、上芝雄史さんだ。

「一番大事なのは"底持ち"です
 底を維持しているやつ(輪)です
 底を維持している輪が
 ゆるんでしまうと底が下がりやすい」
(藤井製桶所 上芝雄史さん)

「このおけに関してはおけとして
 再生するだけの値打ちがない
 もう寿命を超えてきてる」
(藤井製桶所 上芝雄史さん)

上芝さんが代表を務める藤井製桶所
大桶を専門につくる製作所は、今や全国でここだけだ。

桶に底板を付ける作業は3人がかり。

技術と体力が要る仕事だ。

上芝さんは全国の蔵から
桶の修理を引き受けている。

中川さんも、古い桶を壊して
リニューアルしてもらうため、
上芝さんを蔵に招いたのだ。

「おけとして使えるやつ
 材木としての力のあるやつ それを選びたい」
(藤井製桶所 上芝雄史さん)

物置には15本ほど桶があったが、
どれも傷みが激しい。

「とりあえずそれ」
「あ、やっぱり わしもこれやなと」

この桶は明治42年、110年前に蔵にやってきた。

戦後50年ほど使っていなかったとみられる、
3つの桶を壊して部材を取る事になった。

ところが。

「まだこれが一番生かせる部分が多いが、
 3番目に壊したこれは無理だなと
 もちろん使えるものも一部あるけど」
(藤井製桶所 上芝雄史さん)

「おけはだいたい外から見てこれはダメ
 これはいけるという判断はつける
 やっぱりそこから先は
 バラしてみないと(分からない)」
(藤井製桶所 上芝雄史さん)

板は表面を削り、使える部材だけをあらためて選ぶ。

再び桶として組み立てられるだけの
材料は揃うのだろうか。

「今後どうなるのか期待もありますけど
 やや不安も残ったという感じですね」
(中定商店 中川安憲代表)

3月末には職人の腕で蘇った桶が、
中川さんの元に帰ってくる予定だ。

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