FEAUTURE特 集

ザ特集

蒲郡の"下町ロケット"

19.03.06

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探査機"はやぶさ"の活躍が話題になっていますが、
愛知県蒲郡市にも、宇宙に挑む人達がいます。

打ち上げようとしているのは
手のひらサイズの小さな小さな人工衛星。

でも、秘めたる可能性は、
とても大きいといいます。

2月22日、ニッポンの探査機「はやぶさ2」が、
地球から、遠く離れた小惑星への着陸に成功。

初代「はやぶさ」が失敗したサンプルを採取するための
弾丸発射にも成功、まさに、「リベンジ」を果たした。

「はやぶさ2」の成功に勇気づけられた人たちが、
愛知県蒲郡市にいる。

蒲郡製作所。

社員12人の小さな会社だが、
アルミの精密加工で独自の技術を持ち、
航空宇宙の分野に参入している。

「人工衛星の部品やロケットの部品、
 JAXAの内部で作る治具の部品を作っている」
(蒲郡製作所 伊藤智啓社長)

そんな伊藤社長のもとに、新たなプロジェクトの
話がもたらされたのは、2017年春。

宇宙航空研究開発機構、JAXAの公募で選ばれた、
"蒲郡で人工衛星を作る"プロジェクトだ。

提案したのは、
地元・愛知工科大学の西尾正則教授。

「(蒲郡には)実際に技術を
 磨いている人がたくさんいるので
 そういう人たちと一緒にやることで
 未来につながる衛星ができると思った」
(愛知工科大学工学部 西尾正則教授)

開発には、伊藤社長をはじめ、
地元の7つの町工場が手を挙げた。

金属の切削加工を得意とする
「加藤カム技研」の加藤社長も、その1人。

「私たちが作ったものが
 (宇宙へ)飛んでいくことに
 魅力をすごく感じた
 伊藤社長から連絡をいただき即答した」
(加藤カム技研 加藤誠紀社長)

2017年5月 開発はスタート。

「材料の選定や設計は
 大学の西尾先生に指導してもらった
 その設計に忠実に物を作る」
(蒲郡製作所 伊藤智啓社長)

7つの企業が技術力を結集した
"超小型"衛星がこちら、愛称「がまキューブ」。

1辺10センチの立方体で、
搭載したLEDを遠隔操作で光らせ
蒲郡市民に観測してもらう計画だった。

2018年10月29日、
H2Aロケットに載せられ、打ち上げられた。

「ロケットが打ち上がる瞬間は
 非常にわくわくして毎回感動を覚える」
(蒲郡製作所 伊藤智啓社長)

しかし・・・

「期待した衛星からの信号は今受かっていない」
(愛知工科大学工学部 西尾正則教授)

打ち上げの後、
「がまキューブ」と通信を試みているが、
これまで成功していないという。

制御回路に何らかの不具合があったとみられ、
西尾教授は、次を見据えた改良を始めた。

あの「はやぶさ」のように、リベンジを狙う。

「はやぶさも1号が上がって
 2号がその経験を使って
 今すごくうまくいっている
 それも最初にやった時にいろんな
 困難だった所を分析している
 僕らも同じように
 なぜそういうことが起こったか
 一生懸命分析して
 次にはそうならないようにということをやる」
(愛知工科大学工学部 西尾正則教授)

それにしても、こんな手のひらサイズで
何ができるというのか?
7日は、"超小型"衛星の大きな夢。

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