FEAUTURE特 集
ザ特集
"超小型"衛星の大きな夢
19.03.07
蒲郡の『下町ロケット』後編です。
町工場の技術を集めた人工衛星は、
手のひらサイズの小さなものですが、
可能性は大きいんです。
2019年2月、小惑星への着陸に成功、
初代のリベンジにも成功した
探査機「はやぶさ2」に、
勇気付けられた人たちがいる。
蒲郡の7つの町工場が挑む
"がまキューブプロジェクト"
がまキューブとは1辺が10センチの
まさに"手のひらサイズ"の超小型人工衛星だ。
搭載したLEDを遠隔操作で光らせ、
蒲郡の人たちに観測してもらう計画だった。
2018年10月、
H2Aロケットに搭載して打ち上げたが、
未だ、光らせる計画は実現していない。
あれから4カ月、
がまキューブを設計した西尾正則教授を訪ねた。
西尾教授は、打ち上げのあと、
がまキューブが日本上空を通る
予定の時間に通信を試みてきたが・・・
「期待した衛星からの信号は今受けられてない」
(愛知工科大学工学部・西尾正則教授)
何らかの不具合で未だ「がまキューブ」と通信ができないのだ。
電気系統のトラブルの可能性が高いという。
「やっぱり一番怪しげだった電子回路を
見直して新しく設計しているところ。
まだ試作、検討している段階」
(西尾正則教授)
西尾教授は、すでに、次の計画に向けた準備を始めていた。
「宇宙の環境は変わってきている。
打ち上げる環境も、実験する環境も。
いつでも(打ち上げが)できるような態勢にして待つ」
(西尾正則教授)
西尾教授は、名古屋大学大学院を経て、宇宙の研究者に。
鹿児島大学に赴任し、天体を高精度で
観測する装置作りに取り組んできた。
その中で注目したのが、超小型衛星だ。
「小さな衛星にはいろんな人が関わっている。
小さな会社でも作れるような衛星。
蒲郡のような町工場の多い所の人が
実際に作ることができる衛星だと思う」
(西尾正則教授)
実際、がまキューブプロジェクトは、
それまで航空宇宙分野に縁がなかった
蒲郡の町工場に、チャンスをもたらした。
"てのひらサイズ"の「がまキューブ」、
1体だけでは、単に光を発する程度だが、
2体、3体と打ち上げると、
こんなこともできるようになるという。
「空に編隊飛行をさせて、
光でさらに造形物を作る 光で絵を描く
宇宙に電光掲示板を作って
そこからコマーシャルを流す」
(西尾正則教授)
気象観測のできる超小型衛星を数多く打ち上げれば、
局地的なゲリラ豪雨などの予測が、
より確かなものになるという。
「これを経験にして宇宙に乗り出す企業が
いっぱい出てくるんじゃないか、
出てきてほしいなというのが
一番期待するところだし僕の意義かなと思う」
(西尾正則教授)
"超小型"人工衛星で描く大きな夢。
西尾教授は"ぜひ次の世代に引き継ぎたい"と意気込んでいる。
"超小型"衛星は、ロケットに"相乗り"して
打ち上げてもらいやすいというメリットもあるようです。