FEAUTURE特 集

ザ特集

避難所で必要なのは?

19.03.13

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こちらは東日本大震災の避難所の様子です。
たくさんの人がプライバシーのない、
狭い空間、固い床の上での生活を余儀なくされました。

震災から8年。
避難所の改善に必要なことは何か、取材しました。


地震発生の直後に動かなくなった時計、
転覆した船や脱線した電車の写真・・・

名古屋では、今、震災当時の
福島県の様子を伝える催しが開かれています。
この催しを企画した福島県の職員、藤田博道さんです。


「これは避難所の方に飾られていただるまで、
 復興の願いを込めて贈られました。
 皆さんこれを見て、希望を持って、
 日々過ごされていたんではないかと思います」
   (福島県 名古屋事務所・藤田博道さん)


藤田さんは、震災当時、
避難所の運営を手伝っていました。
その様子をこう振り返ります。


「皆さん突然の出来事で、
 ほぼ何も持ってこない状態で、
 非常に寒い中、学校の体育館の床に
 毛布を敷いて過ごしていた。
 体調を崩す人も多かったという認識です」
            (藤田博道さん)


長期にわたる避難生活の疲労や
精神的ストレスなどが原因で死亡する「震災関連死」。
東日本大震災では、3701人が
「震災関連死」と認定されています。
避難所の課題について、
被災地支援に取り組んでいる人はこう指摘します。


「まずはトイレ、寝床、食事、
 衛生環境が最低限整っている状況が
 今までの被災地で少なかった。
 生活環境を整えるのがまずは第一段階になる」
    (NPO法人 レスキューストックヤード
              浦野愛常務理事)


この日、名古屋市の小学校に運び込まれたのは、段ボール製のベッドです。
その特徴は、3分程度で簡単に組み立てられること。
この部分は他人の目を遮るパーティションです。
実はこのベッド、名古屋市にある紙製品の製造会社が開発。
名古屋市に1000台、寄付しました。


「高齢者、私も80を過ぎていますが、
 床に寝て起き上がることも難しい。
 1日も早く、その場でできるように、
 備蓄をしてほしいと名古屋市へ寄贈した」
           (OMK・岡部昌明社長)


名古屋市は、災害用の食料や
トイレの備蓄などに力を入れるとしています。


「間仕切りを一部避難所に置いたり、避難所の質の向上。
 生活環境の確保にも力を入れて取り組んでいる」
    (名古屋市 防災危機管理局・前野徹さん)


一方で名古屋市では「指定避難所」の運営方法などを映像化。
3月から動画サイトで配信しています。

名古屋市が強調するのは、避難所は、あくまで避難者による
「自主運営」が基本である、ということです。


「被災して、避難所に行かなざるを得ない場合にも、
 自分が出来ることをやるだけで結構ですので
 避難所運営に関わって、皆さんで協力して、
 再建に向けて動き出すのが重要」
              (前野徹さん)


浦野さんも、住民同士の心配りが重要と指摘します。


「専門家じゃなくても、
 知っていればやれたことが被災地にはいっぱいあった。
 1人でぽつんといる人に声を掛けたり、
 フラットな床で立ち上がりが大変そうな人に
 段ボールベッドを優先的に使っていただくとか、
 そういう視点をしっかり持つことが大事」
              (浦野愛さん)


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