FEAUTURE特 集

ザ特集

明治時代の大おけを再生

19.04.11

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武豊町のみそ蔵が
100年以上前の巨大なみそ桶を
再生するプロジェクトの後編です。

最後の仕上げも、
伝統の技が光りました。

老朽化した味噌おけを解体し、再生するプロジェクト。

武豊町の創業140年の味噌蔵「中定商店」に眠る、
明治時代のおけを組み直します。

請け負ったのは、
今や全国で1軒だけという大おけ専門の職人です。

しかし、古いおけの状態が思ったより悪く、
再生に必要な部材が集まらないことが分かったんです。

「最終的に選別して仕分けしたら、
 1本~1.3本くらいしかできない。」
(藤井製桶所 上芝雄史さん) 

「2本作ろうと思ったら
 小さくなっちゃうということですよね。」
(中定商店 中川安憲代表)

2つのおけを作ってもらうのが希望だった中川さんですが、
1つ分の材料を取るのも危うかったとのこと。

それでも、おけは組み立てられていきます。

上下逆さまに板を組みます。

おけの直径は6尺=1メートル82センチ。

板と板は10センチほどの長さの竹の釘でつながれます。

46枚の板を合わせると、筒状に・・・。

藤井製桶所には、
今でこそ全国から大おけの修理依頼が相次いでいますが、
おけは修理すればそのあと50年はもつため、
仕事がない期間も長かったといいます。

「20年ぶりとか30年ぶりに1回仕事があるんですよ。
 伊勢神宮の遷宮みたいなもんです。」
(藤井製桶所 上芝雄史さん)

藤井製桶所でも、職人が高齢になったことで、
2020年限りで大おけづくりを止めるそうです。

すでに無くなりつつある技術も。

かつては専門の職人がいた、おけに巻くタガ。

現在では職人がいないため、これもおけ職人が作ります。

おけを逆さまに組んだのは、
大きいタガから順番にはめるため。

力仕事のタガはめは、5人掛かりで。

「こういう状態です。もともとの底板です。」
(藤井製桶所 上芝雄史さん)


元々の底板を削った分、
高価な、新しい吉野杉の材木を貼り合わせています。

一番重さがかかる真ん中の3枚は、
新品の吉野杉だけを使い、なんとか底板を作りました。

古いおけの底板だけでは、
味噌の重さを支えきれないためです。

ここから、最後の仕上げです。

見慣れない道具が運ばれてきました。

「胴突き」というそうです。

その重さ、約100キロ。

底板を慎重におけにはめ込みます。

「これでええわ。OK!」
(藤井製桶所 上芝雄史さん)

2つのおけを再生したいと依頼した中川さんでしたが、
できたのはなんとか1つ。

それでも、このあと50年は活躍してくれる
新しいおけに生まれ変わりました。

「リフォームすれば次の代まで
 (木のおけを)残せると思ったので、(再生を)やった。
 みそをちゃんとこのまま作って、
 次の代にもつなげていければいいと思う。」
(中定商店 中川安憲代表)


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