FEAUTURE特 集

ザ特集

ベトナム人の"駆け込み寺"

19.04.24

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こちらの方は15歳のときに出家して
名古屋の寺で僧侶になったベトナム人の女性です。

彼女の元には
故郷を離れて愛知で暮らすベトナム人たちが、
様々な悩みをかかえてやってきます。


天白区にある曹洞宗の寺、徳林寺。
この日は、お釈迦さまの生誕を祝う花まつりが行われ、
その中で、目立つのは外国人の姿...。
ベトナム料理の屋台まで登場していた。

僧侶の中にも外国人が。
ベトナム人の尼僧、トラン・トウィ・カンさん51歳。

ベトナム戦争中に生まれ、15歳で出家。
16年前、縁あって愛知の大学院に留学し、
その後、日本で仏門に入る道を選んだ。


「(トランさんは)博士になるために
 論文を書く研究者だった。
 ベトナムに帰るよりこちらで
(ベトナム人)信者に仏教を伝えたいと。
 ベトナム人が増えているのに
 自分たちの文化や仏教を学ぶ場が無い。
 そういう場として(トランさんは)
 何かできることはないかと言う。」
     (徳林寺・高岡 秀暢住職)


愛知県内で技能実習生として働く外国人のうち、
ベトナム人は最も多い42%を占める。
技能を習得し、母国に還元する目的で来日しているが、
現実は「安価な労働力」として利用されるなど、
その実態が問題視されてきた。

この日、屋台を手伝っていた
ハイさん(仮名)も技能実習生だが、
仕事への不満が募っているという。

Q.仕事は?
「仕事は溶接(工)。大変です、とても。
 重いとか暑いとか、溶接は。」
         (ハイさん)

Q.給料はどうですか?

「安い、時給898円です。」
       (ハイさん)


時給898円は愛知県の最低賃金。
ハイさんがたまらず相談したのがトランさんだ。


「(勤務時間は)午前8時から午後5時まで
 ある時は午後8時まで残業するが、
 3時間分の給料を全然払ってくれない。
 タダ働きみたい。」
    (トラン・トウィ・カンさん)


「毎日毎日頑張ってやろうとしているが、
 それに見合った対価がもらえない」
           (ハイさん)

「なんで一生懸命働くのに...。そういうことが多い」
          (トラン・トウィ・カンさん)


信心深いといわれるベトナムの人たち、
同胞の僧侶であるトランさんを慕う人は増え、
いつしかこの寺に小さな「ベトナム人コミュニティ」ができた。


「日本の仕事できたらうれしいし夢もあるが
 実際にはうまくいかない。
 私はまず話をに聞くことにしている、
 ゆっくり(相手の)心を落ち着かせる。
 少し我慢すれば・・・仕事はだれでも
 最初は困ることがいっぱいある。
 でも、時間をかけて困ることを
 頑張って乗り越えると大丈夫だからと」
     (トラン・トウィ・カンさん)
 

トランさんは今、僧侶人生をかけ、
新たな挑戦を始めている。

独立して、自分の寺を作るというのだ。
果たして、その目的は?


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