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FEAUTURE特 集

ザ特集

ゾウ列車 運行から70年

19.06.20

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終戦後、国内の動物園で唯一生き残った
東山動物園のゾウを見せるために
各地から子どもたちを運んだ「ゾウ列車」。

その運行開始から6月で
70年を迎えました。

戦争中、国は猛獣が空襲で
逃げ出す恐れがあるとして
各地の動物園に対し殺処分を命じました。

東山動物園でもやむなく
トラやライオンを殺しました。

しかし、当時の北王英一園長は
「ゾウは危険ではない」と
国の命令を拒み続け
2頭のゾウを守り抜きました。

終戦後、このゾウを見てもらうために
名古屋市などが企画したのが「ゾウ列車」です。

各地から大勢の子どもたちが
ゾウ列車に乗って動物園にやってきました。

中村区に住む小出隆司さんです。

小学校の教師だった小出さんは
子どもたちにこの出来事を伝えようと
1975年、すでに退職していた北王さんを
探し当て当時の話しを聞こうとしました。

しかし・・・

「北王園長は額の方をじっと見て
 何もしゃべられない 目が凍っちゃった
 横にいた(北王さんの)奥さんが
 『あなたうなされないようになったね』っと言った
 『お父さん(北王さん)は
  夜中に突然"うぉー"と
  動物を処分した時の幻に
  うなされて立ち上がるんです』と言った
 北王さんは
 『小出さんは私の心を引っかき回しに
  みえたんですね』とおっしゃった」
(小出隆司さん)

それでも、小出さんは北王さんに毎週、招かれ
話しを聞くことができました。

この話しを元に小出さんが書き上げたのが
「ゾウ列車がやってきた」です。
この絵本は83年に出版され
「ゾウ列車」の話しを全国に広げました。

「『二度と戦争してはいかんぞ』と
 『あんたは学校の先生だから
  ちゃんと伝えないかん』と
 『それをあんたの仕事としてやってくれることを
  約束してくれるなら出版を認める』と
 そういう(北王さんの)話だった」
(小出隆司さん)

小出さんは、今でも全国で講演し
「ゾウ列車」の話しを伝え続けています。

また、絵本は日本に来た
留学生などによって
英語やフランス語などにも
翻訳されました。

「じわっと平和を大事にしようという
 気持ちになってもらえる
 だから広がる これからも広がると思う」
(小出隆司さん)

16日東山動植物園では
ゾウ列車70周年を記念した
シンポジウムが開かれました。

動物園では「ゾウ列車」の出来事を
これからも伝えていきたいとしています。

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