FEAUTURE特 集

金スぺ

新しい地図記号を防災に

19.06.21

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こちらは地図上で建物の種類などを示す「地図記号」です。
左側は、おなじみの「寺院」。
右側は「老人ホーム」を表しています。

そして、こちらは
「自然災害伝承碑」というものを表しています。
19日13年ぶりに登場した新しい地図記号で、
災害対策に活かそうという狙いがあります。

三重県木曽岬町。
ここに住む服部法雄さんです。
60年前の9月、伊勢湾台風を経験しました。
当時、小学3年生でした。


「唯一大きい屋根の家があるでしょう。
 あそこだけ残って、こちらはずっと、
 みんな流されちゃったの。家ごとね。
 残っていたのはうちは松の木1本と土台石だけ。」
               (服部 法雄さん)


服部さんは洪水で流されたと言います。
ふたりの弟は亡くなりました。

「3キロとか4キロとか流されて、朝方寒くて気がついて。
 材木ががーっと流れ着いているところにいて、
 箱みたいなものを探して、その中に寝ていて。」
               (服部 法雄さん)

木曽川の堤防の脇には、今、記念碑が建っています。
台風による甚大な被害状況などが記されています。
記念碑は1963年に建てられました。

国土地理院がネット上で公開している地図です。
19日、13年ぶりに新しい地図記号が登場しました
過去の災害を今に伝える「自然災害伝承碑」を示す地図記号です。

きっかけとなったのは、2018年7月の西日本豪雨。
大きな被害を受けた広島県坂町には
明治時代の水害を伝える石碑がありましたが、
あまり知られていませんでした。

これを教訓に、制定された新たな記号。
全国で158か所あり、東海地方では、
木曽岬町の記念碑のほかに、
1968年に岐阜県白川町で発生した土石流で、
104人が犠牲となった「飛騨川バス転落事故」の
モニュメントも掲載されています。
それぞれの伝承碑の詳細も確認できます。

こうした取り組みの意義について専門家は・・・。

「慰霊碑でも復興碑でも
 一般の方が建てられる場合が非常に多い。
 一般の方がどういう気持ちで建てるかというと
 『後世の人に伝えたい』という気持ち。
 自分たちの考えている本音を後世の人に伝えたい、
 今度逆に後世のわれわれとしては
 きちんと受け取らなきゃいけない。
 きちんと受け取るということが
 結局防災対策なんですよね」
(名古屋大学・武村 雅之 客員教授)

武村さんは、伝承碑に刻まれた先人の思いを
しっかりと理解することが防災につながると指摘します。

「いろんなことにかまけて、
 災害があることを忘れてしまっていることで
 災害をこうむる。
 生活が大変だということもあるでしょうけど
 歴史的なことに目を向けられるかが、
 災害を軽減できるかどうかのベースになる。」
(名古屋大学・武村 雅之 客員教授)


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