FEAUTURE特 集
ザ特集
豚コレラ 農家の苦悩
19.06.25
豚コレラに感染した野生イノシシが見つかった地域の養豚場に対し
農水省は消毒を徹底するためにブタを
「早期出荷」して農場をいったん
空にするよう要請しています。
経営を中断する事になる農家の間には
大きな不安が広がっています。
「もう寝れない
(豚コレラが)どこからどう入ってきて
あすの朝起きて農場へ行った時に
どういう状況になっているか ビクビクです」
小牧市の養豚農家、舟橋幸正さん66歳。
市内の農場で約300頭のブタを飼育しています。
2018年12月、犬山市内の山林で豚コレラに感染した
野生のイノシシが見つかりました。
舟橋さんの農場の10キロ圏内でした。
その後も農場の近くで感染したイノシシが次々と見つかり、
目に見えない豚コレラの脅威にさらされてきました。
「ネズミだろうがカラスだろうが
リスクはずっとあるものですから
いつどこでどういう風に
かかっても不思議じゃない」
(舟橋幸正さん)
そんな舟橋さんの農場に、
5月、県をつうじて、
農水省からある打診がありました。
早期出荷の要請です。
豚コレラに感染するまえに、
ブタを売ることができますが
その後は、感染の恐れがなくなるまで、
経営を中断しなければなりません。
舟橋さんは、早期出荷の要請に応じることにしました。
「豚コレラが出れば親も子ブタも
全部殺さなければならない
計画的にやっていけば殺さなくて済む
本来の家畜としての生き方をできる形で利用できる」
(舟橋幸正さん)
21日、舟橋さんは、名古屋市内で開かれた
早期出荷に関する検討会に出席しました。
早期出荷の実施にあたり、
行政担当者と養豚農家が意見を交わすのが目的です。
舟橋さんは、経営再開がいつになるのか
という不安を抱えていました。
「1年たっても2年たっても
いつまでたっても
(経営を再開)できない
国とか県とかがそれなりの指針を
出していただけるのかどうか」
(舟橋幸正さん)
「イノシシをゼロにすることはできない
ごめんなさいですけど
なので(再開するかどうかは)
最後は農家に判断していただく」
(県の担当者)
「その判断を生産者がやるのは非常に怖い」
(舟橋幸正さん)
出荷作業の際に出入りする外部の業者が、
豚コレラを持ち込む恐れもありました。
「出荷作業中に感染するのでは?」
(養豚農家)
「早期出荷してる間に豚コレラが発生したら?
途中で豚コレラが発生すると
そこからは発生農場の扱いになる
その時にどういう支援のしかたが
あるかは検討事項」
(県担当者)
国や県の担当者からは、
早期出荷の担当者に対する舟橋さんの不安を
払しょくするだけの回答は得られませんでした。
「ショックですよ
だから絶対それだけは防ぎたい
早期出荷の途中で(豚コレラが)
発症することだけは絶対避けたいが
わからないですよね」
(舟橋幸正さん)
国や愛知県は、早ければ7月から、
舟橋さんたちの農場の早期出荷を実施したいと考えです。