FEAUTURE特 集
ザ特集
怪獣に人生を捧げた男
19.07.31
映画やマンガのキャラクターの
人形を制作する原型師という仕事があります。
映画「ゴジラ」に魅せられ、現役を退いてもなお
怪獣作りに人生を捧げる元原型師が岐阜市にいました。
「手とか足の指に力がどれだけ入ってるかという表現。
こういう表現とか足をニューっとか。それをやるんですよ。」
(原詠人さん)
2019年誕生65周年を迎える「ゴジラ」。
ハリウッドでリメイク作品が公開されるなど
令和に入り再び注目を集めています。
ブームの兆しを感じ取り
ひとり怪獣への情熱を燃やす人が岐阜市にいました。
原詠人さん。63歳。
かつては、
精巧な模型作りで知られる玩具メーカー「海洋堂」の
原型師として数々の作品を生み出し、
業界にその名を知られる存在でした。
原さんが作るのは怪獣。
手足の指の曲がり具合、体のひねり具合など、
まるで生きているかのような躍動感が
原さんの作品の特徴です。
「手とか足の指に力がどれだけ入ってるかという表現。
こういう表現とか足をニューっとか。それをやるんですよ。
こういう風に丸げてしまう。グッと力が入ったみたいに。
着ぐるみではこんな形はしてけん。」
(原詠人さん)
こだわりはまだまだあります。
「粘土細工は針金で芯を作ってそこへつけていく。
僕絶対それやりません。」
(原詠人さん)
突然立ち上がった原さん。
「芯をいれずにひねる。ひねりを入れることによって
どっちに動こうとしてるかわからないところに
今にも動き出しそうな動きを作ることができる。」
(原詠人さん)
話しだしたら止まりません。
たしかに、原さんの作ったゴジラは、
今にも動き出しそうです。
原さんが怪獣に魅せられたのは小学3年生のときでした。
プラモデルの箱に描かれたゴジラを見て以来怪獣のとりこです。
「寝てもさめても怪獣ですわ。頭の中99.9%が怪獣のこと。
飯が食べたいとか思わない。怪獣が見たいだけ。
生きたかのごとく動き回る着ぐるみが・・・俺にとっての芸術。」
(原詠人さん)
高校卒業後、
趣味で作った作品が雑誌にとりあげられて話題を呼び、
海洋堂からスカウトされました。
怪獣模型の原型師として活動を始めると、
瞬く間にその名が広まりました。
そして、業界で「怪獣の原」の名前を
確固たるものにしたのがこの作品。
シリーズ16作目のポスターに
このゴジラのシルエットが使われたのです。
「これを見たときに震えました。天に昇るほどうれしかった。
だって僕、ゴジラのポスターずっと集めてるじゃないですか。
その1枚に僕のゴジラが加わるわけですよ。
これ以上のゴジラはない。また一歩ゴジラに近づいた。」
(原詠人さん)
怪獣に人生を捧げ、
原型師の頂点に登りつめた原さんでしたが...
勤めていた海洋堂を10年で去ることになってしまいました。
一体何があったのでしょうか??
「海洋堂には悪かったけど、どうしても出来なかった」
(原詠人さん)