FEAUTURE特 集
ザ特集
資格生かす"介護"タクシードライバー
19.09.09
高齢化社会が進む中、
外出したいお年寄りの日常の足になろうと
ドライバーの育成や送迎サービスで
独自の取り組みを続けている
タクシー会社が名古屋にあります。
2017年に登場したジャパンタクシー車両。
車いすのまま乗ることができると、話題を集めている。
このタクシーの乗務員・芦原麻衣さん。
以前はデイサービスの施設で働いていた転職組だ。
訪問介護の資格を持っているため、
介護タクシーとしても活躍している。
この仕事を選んだのは、
施設入所者以外の人にも自分の経験を生かし、
介護サービスを行いたいと考えたからだという。
「資格を生かせる仕事として
転職に選んだのが介護タクシー。
自分に合って、運転も好きだったので
ちょうどいいかも知れないと思って」
(乗務員・芦原麻衣さん)
この日は利用者を病院に送る。
芦原さんの仕事は、介護保険が適用されるサービスで、
車いすや車への乗り降りなどの介助も含まれる。
移動中は、会話が弾む。
「定年で辞めたんですか」
(乗務員・芦原麻衣さん)
「72歳まで勤めた」
(高木さん)
「体壊したりしなかったですか」
(乗務員・芦原麻衣さん)
「何回もあるわー
ガンなったりさ、
死にかけたこともある
戦後のどさくさを生き抜いた人間だから
強いよね」
(高木さん)
「ドライブ感覚で楽しんでる人います
おしゃべり楽しいし
私たちもお話しを聞くのが
仕事みたいなところがある」
(乗務員・芦原麻衣さん)
病院に着いたら再び手際よく車椅子に乗せる。
介護の仕事は1日に5〜6件入ってくるという。
ベッドに寝かせるまでが仕事だ。
芦原さん、
利用者への目配りにも介護士だった経験が生きる。
「声や顔色を見て元気そうだと思っても
意外と足に力が入ってなかったりする時も
勝手な思い込みで油断しないことは
とても気を付けています」
(乗務員・芦原麻衣さん)
芦原さんが働く名古屋市内の会社は、
市内の大手タクシー会社の中では際立って、
介護士の資格を持ったドライバーが多い。
この営業所で資格を持っているのは17人。
就職してから資格を取るドライバーもいるという。
望月裕子さんも資格を持つひとり。
この日の仕事は介護保険が適用されない
付き添いサービス。
客の中嶋(なかじま)さんは、最近車の運転を止めた。
「車も無しにしました
あれば乗りたくなるから」
(客の中嶋禮子さん)
ここ数年で運転免許の返納者が増えているのも、
高齢者のタクシー利用につながっているという。
2人が向かった先は...、スーパーだ。
転んだりしないよう、望月さんが買い物をサポートする。
このサービスは介護保険がきかないが、
資格を持つドライバーが
必要に応じて介助することもある。
中嶋さんは、夫婦2人暮らし。
タクシーを使って用事を済ませることで、
夫婦の貴重な時間を作り出している。
「夫を施設に入れなさいと言う人もいるが
夫は唯一夜に(ビールを)飲むのが楽しみだから
だけど施設でビール出してくれる所は
ないだろうと思って
で私が(夫の施設入居を)
お断りしているんです」
(奥さん)
「介護は直接"ありがとう"と
言ってもらえる仕事です
(介護から)離れたくないような業種だが
介護をしながらタクシー業務ができるのがうちの特徴」
(あんしんネットなごや 鳥飼昭宏営業部長)
頼れる介護のプロが、
高齢者の暮らしやすい社会を手助けしている。