社会人になって以来、ずっと番組作りの現場で働いています。現在は『千原ジュニアの愛知あたりまえワールド』という番組でチーフディレクターを担当しています。簡単に言えば、どのようなお店や人を取材し、どのように見せていくかを考えてまとめる仕事です。ディレクターに指示を出してロケ取材や編集をしてもらい、VTRにしていきます。この番組は愛知県内のあらゆる情報をリサーチして「ある地域の人にとってはあたりまえ、それ以外の地域の人にとっては驚き」という基準を満たした物をより深く取材します。決断は直感が大事だと思います。“子どもが市場で競りに参加している”“休日を発電所で過ごす”といったテーマを放送した時も単純に「何が起きているのか見てみたい!」と思っただけですから。
『千原ジュニアの愛知あたりまえワールド』のもとになった特別番組を担当した時のことです。その時のMCが、現在もご一緒させていただいている千原ジュニアさん。学生時代にテレビにかじりつくほど観ていたジュニアさんと仕事がしたい!というミーハー心でこの業界を志した自分にとっては夢のような話です。“やっとジュニアさんの番組ができる!”と嬉しさ半分、“もし面白くない番組と思われたらどうしよう”と不安半分で収録に臨みました。あれからジュニアさんと仕事ができている今こそが、印象深い出来事になると思います。
多くの人に視聴してもらうことが目的で番組作りをしていますので、何をどのように放送したら視聴してもらえるのか、面白がってもらえるのかが感覚的に分かる必要があります。それは超能力ではなく「普通の感覚」があるか、ということだと思います。とは言っても、顔の見えない不特定多数の人を相手に「普通」を考えるのは難しいので、自分の家族や友人の顔を思い浮かべながら、彼らが番組を観てどう思うかを考えて番組作りをしています。
温かく見守りつつ、困ったときには手を差し伸べてくれる先輩や上司なので、変に気負い過ぎずにやりたいことができています。放送後にも「よかったよ!」と声をかけてくれるので自信になります。
「なんでも自分でやるのがあたりまえ」人数が少ないので、やれることはすべて自分でやります。ディレクターであっても、他局ならプロデューサーが行う業務を任せてもらえたり、ADの雑務をこなすこともあります。タレント事務所への出演交渉をディレクターでありながら経験できたのは、テレビ愛知ならではだと思います。その一方で会議に向けて資料を大量コピーすることもありますが…笑
まずは、現在担当している番組を長寿番組にしたい。まだまだ知られていない愛知県の“あたりまえ”を掘り出し、愛知ローカルの番組を突き詰めて視聴者を驚かせたい。これまでテレビで散々流れた景色であっても、次の世代にとっては、初めて見るもの。時代に合った見せ方を模索して永く求められる番組にしていきたいです。
大人しそうに見えるけど、実は“これがやりたい!”という明確な意思がある人が多いと思います。
普段生活している中で「すごい!」や「なぜ?」と心が動いたことが、企画につながります。瞬間の心の動きに付箋を貼って、いつでも取り出せるように意識しておくと、アイデアが豊かになると思います。