番組表
10
2018.07

映画「未来のミライ」インタビュー後編

前編はこちら

pho-180709.jpg

宇野

いくつかのエピソードの連なりで全体が構成されていますが、

一番好きな場面はどれですか?

上白石さん

初めはよちよちの4歳の男の子が色んな冒険の中で色んな人と出会っていく中で

ぐっと男の子らしくというかお兄ちゃんらしくなる瞬間があるんですけど、

そこは1番好きですね。

自転車に乗れるようになったシーンは、

自転車ってやっぱり小さいときの1番の壁というか

それを超えたら大人になれるというか、

そういう思い込みがあったので

その頃を思い出したりとかして、

ああくんちゃんかっこいいなと思いながら演じていました。

宇野

くんちゃんも、お父さんもお母さんも

感情や行動がとってもリアルで、

どうやってこの家族を作り上げていったんですか?

細田監督

普通のアニメ映画ですと、子どもが中心に見ていると、

結構親って言うのはそこから一歩引いた感じでね表現するっていうのかな。

例えば見守る役割としてのお父さん、お母さんみたいな感じになることは多いと思うんですけど、

今回はそれよりも夫婦の仲で、赤裸々な、なんていうのかな、

そういう風にやっていこうか、みたいな話とかね、

そういうシーンも結構含まれていて、

やっぱりそういうのって子どもも含めて一緒に、

今不器用だけどもがきながら頑張って生きている家族、

そういうようなことが子どもたちにもわかるといいなあと思うんですよね。

で、そういうようなつもりで、今生きているリアルな、

不器用だけど何とか一生懸命やっていきたい家族っていうのを

自分たちで見つけたいっていうそういった人たちを

しっかり描いていきたいなあと思ったので、

自分の身の回りの家族とか

もちろん自分の家族のことの要素もいっぱい入れながら

現代の家族っていうのをちゃんと表したいなと思いました。

宇野

自分でこうだった、ってところもかなり盛り込まれた?


細田監督

そりゃあもう。

特にね、子どもの仕草だったり階段の降り方なんかも日に日に変わってくっていうのかな。

最初はお尻からそっと足を出して降りていたのが

一段ずつ前を向いて降りられるようになって

そこからさらに一段ずつじゃなくて互い違いに降りられるようになるっていうこともね、

いつの間にかできているっていう、子どもはね。

そういう瞬間を見逃さないようにしたいなって思いながらもなかなか見逃しちゃったりするんですよ。

あれ、いつできたのっていう風になってる。

だからそれくらい刻々と変化する子どもっていうのを

何とか映画っていう形にとどめてやっていきたいなっていう風に思うので、

すごく一生懸命観察して描きました。


宇野

最後に視聴者にメッセージをお願いします。

上白石さん

映画「未来のミライ」が7月20日に公開となります。

この物語は4歳の男の子が主人公の、その男の子が自由の象徴のようで、

思いっきり泣いたり笑ったり、むき出しの心でどんどん物語の中で成長していきます。

だからそこ新しい視点を与えてくれたりとか

今まであまり考えなかった自分の過去のこととか、これからのことについて

考えていただけるきっかけになるんじゃないかなと思います。

是非ご兄弟で、ご家族で、夏の冒険に、劇場に足をお運びください。よろしくお願いします。


細田監督

映画「未来のミライ」は4歳の男の子くんちゃんが

未来からやってきたミライちゃんと一緒に家族を巡る冒険の旅に出かけるお話です。

本当に家族の時空を超えた歴史みたいなものに触れたりするようなところが随所にありますので

是非、ご自分のご家族を思い浮かべながら観て頂くと、きっと昔の小さかった頃の自分に出会えるような

そんな体験が出来ると思いますので、

是非、この夏休みの映画らしいこの未来のミライっていう作品を皆さんでご覧ください。

よろしくお願いします。


この映画を通して、自分の過去も現在も未来も、

そして自分の大事な人のそれも、まるっと愛しく思える素敵な映画です。

映画「未来のミライ」は7月20日公開です☆

宇野 名都美 @ 2018年7月10日 17:45
09
2018.07

映画「未来のミライ」インタビュー前編

細田守監督の最新作、映画「未来のミライ」。

甘えん坊の4歳の男児くんちゃんと、

未来からやってきた成長した妹ミライちゃんの2人が繰り広げる不思議な冒険を通して、

さまざまな家族の愛のかたちを描いている物語です。

先日、くんちゃんの声を担当した上白石萌歌さんと細田監督にお話を伺いました。


image_67204353.JPG


宇野

作品をご覧になった感想は?

上白石さん

初めて観たのがカンヌの上映でした。

自分が出ているのを忘れる程引き込まれて、

くんちゃんと同じように自分の身長も1㎝伸びたような、そんな感覚になる、

自分も成長しているような気持になれる、勇気を貰える映画でした。

細田監督

3年間かけてやっとできて、皆さんに観て頂けるようにまでになったので、

そういう期間のことを考えれば本当によかったなあと。

すごく良い映画になったのもスタッフキャストの方々の力だと思うので、

本当に感謝したいと思います。

宇野
くんちゃんをどんな人に演じてもらうか迷っていたと伺ったんですが、

上白石さんのくんちゃんはいかがでしたか?


細田監督

オーディションを重ねながら誰がくんちゃんになるんだろうって。

時間をかけながらオーディションしてたんですけど、

その中で萌歌ちゃんが現れたときに演じてくれて「わ!いた!!」ってね。

僕はくんちゃんの声を18歳の女性が演じると思っていなくて、

もっと小さい子か大人の女性が演じると勝手に思っていたので、

本当にそれもびっくりしたし、

萌歌ちゃんの人間性っていうか表現力が

この映画に求めるくんちゃんにすごくぴったりきたのが嬉しかったですね、本当に。


宇野

良い意味で裏切られた?


細田監督

そうなんです。

だからもうこの人だって思ったあと、帰りの車の中で

「あ、この映画ってこういう映画なんだ」って。

主役っていうか主演を務めるのが18歳の美少女だけど、

そういう風な映画になるっていうのを初めて知って、

3年間作っていたくせに初めてこの作品の本質がわかったような感じでした。


宇野

それを聞いていかがですか?


上白石さん

いや、なんか、私も実は監督の作品の大ファンで、

毎回最新作が発表されるごとに劇場に足を運んでいて、

今回の作品も去年の冬に情報が公開になって、

わ、こんなまた面白そうなものやるんだ、

絶対観に行こうって思っていた身なので、

またこうやってお会いできるのが夢のようですし、

実は6年前に1度「おおかみこどもの雨と雪」のオーディションにも行かせて頂いて、

また今回こうやってお会いできることが不思議ですね。


宇野

そこから役作りはどんな風になさいましたか?


上白石さん

まず4歳の男の子っていうのが自分の中でぼんやりしていたので、

自分の足で保育園に足を運びました。

4歳の男の子と遊んだり、おしゃべりしたり、実際に触れ合うことで、

こんな話し方するんだ、とかこんな表情とか動き方するんだって、

自分の目で確かめられたことが

お芝居をする上で1番のヒントになったので、自分でそういう研究を重ねました。


宇野

そうやって役作りをして臨んだアフレコ、

声優陣が横並びになってアフレコをするのと、

おひとりおひとり録るスタイルとあると思うんですが。


細田監督

聞くところによると、

今劇場アニメは1人1人録るのが主流になってきているみたいで。

でも僕は1回もやったことがないんですよ。

っていうのはやっぱり一緒に演じているその空気っていうのまで、

何かこう録音されちゃうっていうのかな、音の成分に含まれていて、

ある役者さんがこういう風に演じたから萌歌ちゃんはこういう風に演じようとか、

萌歌ちゃんがこういう風に演じたから例えば星野さんはこういう風に芝居が変わって、とか。

何かそういう風にね、その場の相乗効果的な表現ってものすごい沢山あるので。

やっぱりね、別々だとないじゃないですか。

演じても先に録った人が変わらない、みたいなことになっちゃうと、

空気が生まれないんですよね。

それをすごく大事にしたいなあっていうことがあって、

一緒に録るようにしていますね。


宇野

現場の空気感というのは?


上白石さん

私もてっきり1人で録ってあとから繋ぎ合わせるものだと思っていたのすが、

同じブースの中で皆さんと一緒にお芝居を作っていくのは、

実際にコミュニケーションも生まれるし、

何かもうブースの中がおうち、みたいな感じでその場の空気感とか、

生の生活感みたいなものが映画の中にも生まれたんじゃないかなって思います。


宇野

アドバイスや声掛けなどはありましたか?


上白石さん

ずっと尊敬していた俳優の方々ばかりだったので、

ずっと勉強というか、何かを先輩方から吸収しようと。

例えば、自分が出演していないシーンでもブースの中に入らせて頂いたりだとか。


細田監督

あ、でもそうでしたよね。してましたね。やっぱりそれがすごいなあっていう。

普通はね、普通はっていうとあれだな(笑)

あの、シーンが終わるとね、次の自分のシーンに向けてね、

イメージを作っていくのにはけるものなんですけど、

でも萌歌ちゃんは結構空気っていうか流れっていうか

そういうものをつぶさに見てるっていうかね、

こう広いアフレコブースの椅子のはしっこで

邪魔にならないようにっていう配慮がありながらちゃんと見学しているっていうのが。

それってすごく大きいですよね。作品に臨む姿勢として、と思いますね。

この前ほら、はたなか君もしてたし、ほんださんもそうしたかもしれないね。


上白石さん

他の声優の皆さんも出演なさっているので。


細田監督

そういう方々もね、

結構自分の出番じゃなくても見ているっていうようなのはあったよね。

星野さんもそういう瞬間あったね。


上白石さん

そうですね、私のクランクアップの日に最後まで残って下さって。


細田監督

そうそう。


上白石さん

本当に素敵な方々ばかりだったので。


宇野

あそこがホーム、家状態で声を吹き込めたと。

後編に続く☆

宇野 名都美 @ 2018年7月 9日 12:07

ページトップへページトップへ