子供がいる家庭では、妻は夫のことを「お父さん」と呼ぶ。
日本では普通のことだが、外国の人たちにとってはホワイ ジャパニーズ ピーポー案件の一つらしい。
自分の父親ではない人間を「お父さん」と呼ぶのは、家庭内にとどまらない。
先日街なかでモデルルームの呼び込みをしていた男性に「お父さん、見ていきませんか?」と呼びかけられて、とても腹が立った。
私には子供がいない。
人生で初めて「お父さん」呼ばわりされたのだ。
30歳のころ、迂闊にも写真撮影をしていた高校生の前を横切って「おじさんが写っちゃった」と言われた時の何倍もショックだった。
私のように普段「お父さん」と呼ばれていない人間は、「お父さん」と呼ばれることにものすごく抵抗を感じる。
そのあたりに配慮してか、先日テレビの街頭インタビューでディレクターが年配の男性に「お兄さん」と呼びかけているのを見たが、あれもちょっと違和感があった。
日本語には、名前も知らない初対面の年配男性に呼びかける適当な言葉がないのだ。
その点、中国が羨ましい。
年上の男性に呼びかけるときには「先生」と言うらしい。
「先」に「生」まれた人だから、もともとの言葉の意味通りだ。
それなのに日本では教師や医師など、ごく一部の人に対してしか使えない。
せっかくちょうどいい言葉があったのに、勿体ないことをしたものだ。
そういえば以前、ケバブ店の前を通りかかったときにトルコ人の店員にこう呼びかけられた。
「そこのイケメン!」
悪い気はしなかった。
相澤 伸郎 @ 2025年7月 9日 14:17
目の調子が悪いので眼科に行った。
平日の眼科はかなりご年配の患者ばかりだった。
患者を呼び出すとき、名前を大きな声で3回も繰り返すのがここではデフォルトになっていた。
それだけ耳の遠い方が多いのだろう。
自分はまだそこまで年を取っていない。
「あいざ・・・」
「はいっ!」
「あいざわ」と言い終える前に返事をしたことで、自分はまだ若いとアピールできた気がした。
誰に向けてのアピールなんだか・・・。
検査の結果、目は病気などではなかった。
医者にはこう言われた。
「老化ですね」
相澤 伸郎 @ 2025年7月 7日 11:38
7月5日に日本に大災害が起きるという話をすっかり信じている若手スタッフがいる。
「それじゃ、今のうちにやりたいことやらないと。何する?」と聞いてみた。
「前から行きたかったお店に行きます」
ささやかなり。
相澤 伸郎 @ 2025年7月 2日 10:17
ジャンケンを「最初はグー」で始める意味あるだろうか?時間の無駄に感じてしまう。
コーヒーショップで「コーヒー」と注文するとたいてい「ホットですか?」と確認されるのだが、これも無駄に感じる。「アイスコーヒー」というメニューが別にあるのだから、「コーヒー」=「ホット」と理解してもらえないだろうか?「ブレンド」と注文した時にすら「ホットですか?」と確認されてしまった。
先日コーヒーショップで「アメリカン、アイスで」と頼んでいる人がいた。どんだけ薄いのが好きなんだ!と驚愕の眼差しを向けていたら、店員に「アメリカンのアイスコーヒーはありません」と断られていた。
・・・ということは「アメリカン」って頼めば、ホットかアイスか確認されずに済むのではないか?試してみる価値はありそうだ。
後日、その店でアメリカンを注文してみた。目論見通り「ホットですか?」と確認されずに済んだ。やったぜ!
問題は、アメリカンがあまり好きじゃないことだ。やっぱ薄いな。当たり前だが。
コーヒーのサイズは小さいものを頼むことが多い。
私がよく利用するチェーンではそれを「ショート」と表現しているのだが、ある日入った別のコーヒーチェーンでは「S」と表記されていた。
メニュー表には「S・M・L」と並んでいたので、「おっと!ここのSはShortのSではなく、SmallのSだな。危うく『ショート』と言ってしまうところだったぜ。危ない、危ない」と瞬時に見抜いた自分に酔いしれつつ、元気に「スモール!」と発声したところ、「Sですね」と確認されてしまった。
「S」と書いてあるものをわざわざ「スモール」と言う必要はなかったな。痛恨のミスだ。
シアトル系のあるコーヒーチェーンでは、積極的に客に話しかけることが奨励されているらしい。
先日、店員に「仕事帰りですか?」と話しかけられた。
「はい」と答えたら、「・・・・・・よかったです」と言われた。
何が?
相澤 伸郎 @ 2025年7月 1日 16:39
8月の第一土曜の夜8時。
松本駅に降り立つと人がやたらに多い。
何か特別な日のようだ。
改札を出たところにはこんな横断幕があった。
「響かせよう 松本ぼんぼんの歌と踊りを」
一体何なんだ?松本ぼんぼんって!
城下町に人があふれていた。
「松本ぼんぼん」は夏祭りだった。
揃いのTシャツやはっぴを着た人たちが
♪ボンボン松本 ボンボンボーン
という歌声に合わせて大通りを踊りながら練り歩いていた。
運動量の多い盆踊りのような振り付け。
昔のアニメの主題歌に演歌が混じったような曲調。
おお、この歌声には聞き覚えがある!
魔女っ子メグとかキューティーハニーの主題歌を歌っていた前川陽子さんだ。
♪シャランラシャランラヘイヘヘイヘヘイとかハニーフラッシュ!と歌い上げていたあの声が
♪ボンボン松本 ボンボンボーンと熱唱しているのだ。
同じ曲が繰り返し流れ、踊り手たちはほぼ休みなく踊り続けている。
すごい熱気だ。
松本市の人口は24万人。見物客はそれと同じくらい。
2万人を超える人が踊り手として参加するそうだ。
松本市民の1割が踊っていることになる。
ぼんぼんが終わったところで、「日本酒」という看板の出ていた店に入った。
店のメニューには全国の銘酒が並んでいたが、肝心の信州の地酒が見当たらない。
仕方なく、長野とは関係のない日本酒をちびちび飲んでいたら、酒瓶を抱えた店のご主人が私の前に座り、こう言った。
「うちは信州の地酒はわざわざメニューに書いていないんですよ。これ、御代は頂ませんから、どうぞ」
信州の地酒はないんですか?などとは一言も言っていないのに、なぜ?
「お客さんの顔を見れば、大体のことはわかりますよ(ニヤリ)」
すごい!何でもお見通しだ。これぞ接客のプロだ。
ご主人は私のテーブルに腰を落ち着け、自分のおちょこにも酒を注ぎはじめた。
2人でとりとめもない話をしながら呑んでいたら、
お店に出ていたご主人の奥さんがご主人に声をかけた。
「あんまりいたら、おじゃまだよ」
「いいんだよ!この人はさびしいんだから!」
さすがご主人、何でもお見通し。でもそんな大きな声で言わなくても・・・・
相澤 伸郎 @ 2016年8月12日 19:08