映画「かぐや姫の物語」でかぐや姫の声を演じた朝倉あきさんと西村義明プロデューサーにインタビューしてきました。
相澤「かぐや姫の声を誰が演じるかは、オーディションで決められたそうですが、朝倉さんが選ばれた理由は?」
西村プロデューサー「『かぐや姫の物語』って映画は、
高畑監督は『真の悲劇である』と言ってるんですね。
かぐや姫が月に帰ってしまうところは変えてませんから。
その悲しみ方が大事になってくるんですよ。
悲しみ方っていろいろありますけど、朝倉あきさんの悲しみ方の中には、違う感情があるんです。
悲しいだけじゃなく、悔しいって感情があるんですよね。
悔しいって感情ってね、一生懸命生きてる人間にしか出せないんですよ。
彼女の声の中には、悲しみの中に悔しさ、
つまり、懸命に生きた一人の女性の声が乗り移ってるんですよね」
相澤「というお話を聞いて、朝倉さんは自分ではどう思われますか?」
朝倉さん「すごくビックリしましたね・・・・・・そうですね、確かにそういう部分があるかもしれません」
西村プロデューサー「あるんです!!!」
朝倉さん「ある、あります。いろいろ私も悩んだり、苦しんだりしますけど、あんまりそういうのは出したくなくて・・・・。そういう部分を見抜かれてるかと思うと・・・・今ものすっごく恥ずかしいです」
西村プロデューサー「(笑)」
朝倉さん「本当にすごく短いオーディションだったんですね。
私の中では『落ちた・・・・』と思ったくらい、あっさりしたオーディションで。
その中でそこまで見抜かれていたかと思うと、何て言うか・・・・・恐ろしいですね」
相澤「見抜けるものなんですね」
西村プロデューサー「彼女の声だけ違ったんですよ。
彼女にたどり着くまでに、高畑さんと、おおげさじゃなく数百人の声を聴いていたんですよ。
有名無名問わず。
その女性の声の多くが一つは甘えた声だったんですよね。
もう一つは芝居とか声が全部受け身だったんですよ。
かぐや姫って女性を描くときに高畑さんが大事にしていたのが、『自分の考えを持っている女性』。
そういうものを描こうとしているのに、声が受け身だったり、
男性におもねる声だったりしたらダメだろうと。
オーディションやっても全然見つからなくて、最後に彼女の声にたどり着いたときには即決でしたね。『彼女だ!』って。
彼女の声には一生懸命生きている一人の女性の意志ってのが感じられたんですよ」
つづく
相澤 伸郎 @ 2013年11月23日 17:16
☆☆☆柴田勝家役の役所広司さんと共演した感想は?
大泉さん「人を受け入れる力がすごいというか、
演技しててもホントに心地いいんですよね。
セリフをきちんと受け止めてくれるというか。
・・・・対決してるシーンなんですけどね。
何だろう、この不思議なやりやすさは?っていう・・・・。
勝家は今回すごくチャーミングな役で、
台本の中でも非常に面白いんですけど、
それをさらに役所さんは自分のお芝居の力でさらに面白くしちゃうから
そこがすごいというか・・・・。
僕なんかホントにもう三谷さんに言われることをこなすのに精一杯で、
自分から監督の演出以外で何かをする余裕ってないんですけど、
役所さんはやってくるんですよねー。
そこがやっぱりすごい。実際面白い。
☆☆☆例えばどんなシーンで?
大泉さん
「清須会議の前に佐藤浩市さん演じる池田恒興が
秀吉と勝家どちらにつくかっていうのが大きなポイントなわけですよね。
勝家も秀吉も自分の側に取り込みたいわけですよ。
で、同じ日の朝にどちらからも声がかかって、
恒興が朝飯を食わされるってシーンがあるんですよね。
まず勝家に呼ばれて、勝家とめしを食ってお腹いっぱいなのに
秀吉ともつきあわなきゃいけないって面白いシーンなんですけど、
勝家がごはんを食べて、歯茎のあたりに何かはさまってるんでしょね、
ものすごい勢いでボリボリボリボリ口の中に指を入れて掘ってるんですよ。
今回の勝家ってのはくさいし、汚いし・・・みたいな役なんで
非常に勝家らしいわけですけれども。
その掘った指で恒興の肩に手をまわして
「おいっ、味方につけ!」ってやるわけですよ。
これやられたらやだなってことをやるわけですよ。
監督がそのシーンを見て、そのあと僕のシーンを撮ったんですけど、
『大泉くん、ちょっとこれを見てごらん』って言われて、
役所さんのその芝居を見せられて、『同じことやってほしい』って言われて、
で、秀吉もガリガリガリガリ指をなめてから恒興と肩を組むっていう・・・・。
だから、役所さんのお芝居でその2つのシーンが
さらにまた面白くなっちゃったわけですよねー」
おしまい
相澤 伸郎 @ 2013年11月 1日 11:11
大泉さん
「ビジュアルにものすごくこだわるかと思えば、
セリフ回しなんかはそこまで強く昔の言葉使いに対してのこだわりはなくて、
僕のセリフで『なんだかなー』ってセリフがありましたから。
何となくですけど、戦国時代に『なんだかなー』って言う人はいなかった気がするんですよね。
アドリブで足してましたからね。
タイミングがどうしても合わないって言って。
三谷監督は一連の流れでいろんなものをカットを割らずに撮るんで、
セリフを言ってる途中で人と出会うところがあって、
今のセリフだとちょっと時間的に足りなくて
『大泉くん、セリフ足そう』って言って、
『なんだかなー』って(笑)。
なかなか時代劇じゃ言えないですよね」
☆☆☆『ぶっちゃけ』ってセリフもありましたよねー
大泉さん
「ありましたねー(笑)
そのへんがなんかこう気持ちのいいうっちゃり方と言いますか・・・・。
歴史が好きな人も『ぶっちゃけ』とか『なんだかなー』で
そこまで嫌悪感を抱くとは思わないし、
逆に三谷さんの歴史の知識はすごいから、
いろいろなところで歴史ファンがうなるところがあると思うんですよね。
そのへんのバランスが面白かったですね。
歴史を知らない方にも、各キャラクターがわかりやすいし、
話が難しくってついていけないみたいなことは絶対にないんで、
相当幅広い層が楽しめるっていうのが、
さすが三谷さんのエンターテイメントだなって、改めて思いましたけどね」
つづく
相澤 伸郎 @ 2013年10月31日 09:00
☆☆☆歴史マニアの三谷さんのこだわりを感じたことはありますか?
大泉さん「セットも豪華ですごかったですし・・・・。
映画を観ている人には全くわからない細かいところ、たとえば屋根とかも緻密に板を何枚も重ねて作られていたりですとか・・・・。
・・・・わからないですよね、観てる人には・・・・。
あと登場人物のビジュアルへのこだわりはすごかったですね。
よく教科書なんかに出てくる肖像画になるだけ似せて作りたいっていう、ものすごいこだわりを見せるわけですよ」
☆☆☆その結果、秀吉の頭も・・・・
大泉さん「時代劇史上一番細いマゲじゃないでしょうかねえー。風鈴みたいですもんね。
三谷さんはそこにも並々ならぬこだわりがあったんです。
秀吉がハゲネズミと呼ばれていたということに。
信長が秀吉の妻の寧にあてた手紙の中で『お前のような素晴らしい女性は、あのハゲネズミにはもったいない』って書いている・・・・その一言に三谷さんはすごくこだわって僕をあんな風にしてしまったんですけど・・・・。
うーん・・・・そこまでハゲネズミにこだわる必要があったんだろうか?って、私、今になって思うわけですけどね。
今までの秀吉のイメージのサルっていうことでねー、よかったんじゃないのか?って思うんですけどねえー」
☆☆☆ハゲてるうえにネズミですもんねー
大泉さん「実際今回僕のカツラを作ってくれた人って、僕が『ゲゲゲの鬼太郎』でねずみ男やったときと同じ人なんですよね・・・・・」
つづく
相澤 伸郎 @ 2013年10月30日 11:44
三谷監督初の時代劇映画「清須会議」で羽柴秀吉を演じた大泉洋さんにインタビューしてきましたよ。
☆☆☆撮影にはどんな気持ちで臨まれたんですか?
大泉さん「三谷さんって人はすごく細かく演出して頂けるので、僕に出来ることはセリフを完璧に覚えていって、現場で三谷さんにつけられる演出にいかに柔軟に答えられるかって気持ちのほうが大きいと言いますかね。
現場に向かうときは割と“無”の感じで行って、その場でバッと言われたものに対して瞬発力で応えるっていう気持ちのほうが強いかもしれないですね」
☆☆☆現場での三谷監督の演出で「あ!そう来ますか!?」と驚いたことは?
大泉さん「正直それの連続だったような気もしますね。
自分でもどう演じるか考えては行くわけですけど、常にそれの上を行かれると言いましょうか。
これは強く言うんじゃないの?ってセリフを強くしなかったりとか・・・。
さっき三谷さんとお話ししたときには『それは一つのテクニックで、大泉くんが言ったことの逆をやってればいいんですよ』みたいなこともおっしゃってましたけど・・・」
☆☆☆例えば?
「いよいよ清須会議当日の朝になったときに『会議の前にやり残したことはないか?』って話を秀吉と(参謀の)黒田官兵衛がするんですけど、僕の中では脚本を読んでて、シリアスなシーンと捉えていたんですけど、監督から『ここは朝、官兵衛と歯を磨きながらのシーンにしたい』って言われて、『ここ歯磨いてんすか!』って。
急遽、枝かなんかを切って作られた歯ブラシが用意されまして、僕と(官兵衛役の)寺島さんが歯を磨きながらしゃべって撮ったんですけど・・・驚きましたね、こんなほのぼのとしたシーンになってしまうんだっていう・・・・・。
挙句の果てにそれが丸々カットになってたっていう・・・・・。
結局みなさんが見ることはないんですけど・・・・」
つづく
相澤 伸郎 @ 2013年10月29日 12:08