松本ぼんぼん

2016年8月12日

8月の第一土曜の夜8時。

松本駅に降り立つと人がやたらに多い。

何か特別な日のようだ。

改札を出たところにはこんな横断幕があった。

「響かせよう 松本ぼんぼんの歌と踊りを」

 

一体何なんだ?松本ぼんぼんって!

城下町に人があふれていた。

「松本ぼんぼん」は夏祭りだった。

 

揃いのTシャツやはっぴを着た人たちが

 

♪ボンボン松本 ボンボンボーン

 

という歌声に合わせて大通りを踊りながら練り歩いていた。

運動量の多い盆踊りのような振り付け。

昔のアニメの主題歌に演歌が混じったような曲調。

 

おお、この歌声には聞き覚えがある!

魔女っ子メグとかキューティーハニーの主題歌を歌っていた前川陽子さんだ。

♪シャランラシャランラヘイヘヘイヘヘイとかハニーフラッシュ!と歌い上げていたあの声が

♪ボンボン松本 ボンボンボーンと熱唱しているのだ。

 

同じ曲が繰り返し流れ、踊り手たちはほぼ休みなく踊り続けている。

 

 

すごい熱気だ。

松本市の人口は24万人。見物客はそれと同じくらい。

2万人を超える人が踊り手として参加するそうだ。

松本市民の1割が踊っていることになる。

ぼんぼんが終わったところで、「日本酒」という看板の出ていた店に入った。

店のメニューには全国の銘酒が並んでいたが、肝心の信州の地酒が見当たらない。

仕方なく、長野とは関係のない日本酒をちびちび飲んでいたら、酒瓶を抱えた店のご主人が私の前に座り、こう言った。

 

「うちは信州の地酒はわざわざメニューに書いていないんですよ。これ、御代は頂ませんから、どうぞ」

 

信州の地酒はないんですか?などとは一言も言っていないのに、なぜ?

 

「お客さんの顔を見れば、大体のことはわかりますよ(ニヤリ)」

 

すごい!何でもお見通しだ。これぞ接客のプロだ。

 

ご主人は私のテーブルに腰を落ち着け、自分のおちょこにも酒を注ぎはじめた。

2人でとりとめもない話をしながら呑んでいたら、

お店に出ていたご主人の奥さんがご主人に声をかけた。

 

「あんまりいたら、おじゃまだよ」

「いいんだよ!この人はさびしいんだから!」

 

さすがご主人、何でもお見通し。でもそんな大きな声で言わなくても・・・・

 

 

 

相澤 伸郎 @ 2016年8月12日 19:08

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