AIが人々の生活に欠かせない存在となった2030年の日本。突如暴走したAIは、人間の生きる価値を選別し、殺戮を始めた…。10年後の近未来を描くサスペンス映画「AI崩壊」より、主演の大沢たかおさんと監督の入江悠さんにお話を伺いました!
――AIのぞみを開発した天才科学者であり、家族を全力で守るお父さんでもあり…と、どのシーンも「桐生」を演じる大沢さんがとにかく男らしくて格好良かったです。そんな「桐生」を演じる上で気を付けたことは何ですか?
また、監督が指示したことがあれば教えてください。
こちらから役作りをお願いしたことは実はなくて…。普段、俳優さんと撮影前に話すことはあまりないんですけど、今回大沢さんとはその時間を設けさせてもらいました。
脚本の段階から話し合っていて、なんとなく大沢さんなら大丈夫かなという気持ちになっていたので、ほとんど指示とかはしませんでした。
桐生を演じるにあたり、単純に「普通の人」がいいなと思っていたんです。実際に皆さんの近くにいる誰かになれたらいいなと。
確かに彼はAIにおいては天才かもしれないけど、それ以外は皆さんの周りにいるような方と何も変わらない、普通の男性なんです。そういった部分を桐生の中に込められたらなと思っていました。
賀来賢人くんや岩田剛典くんなど若い俳優さんも、大沢さんの芝居を見て「この映画はこのくらい本気でやっていかないといけないんだ」と学んでくれているので、僕は後ろから見てたまに指示するくらいで大丈夫でしたね。
僕ら俳優の仕事は、自分の役を最大限演じること。それを最終的にジャッジするのが監督。
入江監督は、いつも大きな受け皿で聞いてくださっていたので、みんなそこは甘えて「ここをこうしたらどうですか?」「こんなことトライしたいです」と相談しながら作り上げていきました。
――アクションシーンのスピード感があって印象的でした。
でもかなり大変だったのでは…?
みなさん「アクションシーン」っていうんですけど、ほとんど走ってるだけなんですよ。(笑)
――飛んだり、逃げたり…。
いや、ほとんど逃げてるだけですよ。(笑)
――疲れますよね…?
そりゃ疲れますよ。(笑)
(笑)
前半の逃亡劇のシーンは、場所が一つ一つ違うんですよ。このシーンのこのカットまでは千葉、ここからは前橋…って、一回一回、新幹線や車で移動するんです。だからそこに予算をほとんど使っちゃって。(笑)
今日のお弁当でひつまぶしを食べられたのが嬉しいです。(笑)
やはり近未来の話なので、説得力のある場所を探すと、点々と移動しないと見つからなくて。
警察もAIを使って操作してくるという設定なので、監視カメラがあったりドローンが飛んでいたり、いろんな条件を重ねていくと、日本全国移動しながら撮るというスタイルになったんです。
移動は正直大変でしたね。(笑)
でも、そういう大変な状況や過酷なロケが、追い詰められて孤立していく「桐生の心境」と重なる部分があって。演じる上で逆に良かったような気がします。
――そんな大沢さんの、思い入れのあるシーンはどこですか?
物理的にどう考えても撮影できないだろうと思ったシーンがあって。桐生が日常から転落し、テロリストと疑われ追いかけられるきっかけとなるところなんですけど。
ただその撮影を、名古屋という場所が可能にしてしまったんですよ。(笑)
朝、名古屋の現場にきたら、ささしまの道路にぎっしり車が駐まっていて。名古屋の人たちがボランティアで来てくれて…名古屋が名古屋じゃなかったんです。映画の中でもかなり大切なシーンだったので、強く印象に残っています。
あのシーンが撮影できたのは、日本全国、名古屋のあの場所しかなかったと思います。
新しい道で近未来感もありますし、それだけのスケールで車を駐めっぱなしで、何日間も撮影させてくれる、そんな無茶なことをさせてくれるなんて、あの場所しかありませんでした。
――最後に、視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
AIとか近未来とかテクノロジーの問題だけでなく、大沢さん演じる桐生という人の家族に対する思いとか、仲間に対する思いとか、人ってどんな感情を持つ動物なのか、というところも描いている作品だと思います。
ぜひ、主人公桐生と一緒に映画にどっぷり入っていただいて、衝撃のクライマックスまでみていただけたら嬉しいです。
私たちが生きている間に、この映画のようなことが起こるかもしれません。
だから見ていただくときも、遠い未来の話の映画と思わずに、出ている役者の方たちに自分を投影して、この事件を体感してもらえたらと思います。
映画「AI崩壊」は1月31日(金)公開です。