水城せとな原作の人気コミックス『窮鼠はチーズの夢を見る』を恋愛映画に定評のある行定勲監督が映画化。リモートにて、インタビューさせていただきました。
――男性同士の恋愛ということで衝撃だったんです、どんな映画なのかなって。
でも想像以上に美しくて、どんどん引き込まれていきました。率直に、今回の映画を制作し今のお気持ちは?
二人の恋の、恋路・恋情の移り変わりを、ものすごく丁寧に描けた作品になったんじゃないかと思います。
世の中にはいろんなことを言う人がいる。差別的なことをいう人もいるかもしれないけど、人が人を想う気持ちはどんな形であれ、同性同士であれ、関係ないんだと。そこにおける顛末が描かれるラブストーリーは、たぶん今までにあまりないものだと思うし、映画の中での新しいラブストーリーの形を堪能していただきたいと思っています。
――人気漫画を実写映画化した今作ですが、原作とは異なるシーンもあるそうですね。
映画と漫画ってすごく似てるようで、違うと思うんです。映画なりの時間とかリズムとかが必要で、この二人の心情みたいなものを観客に考えさせる。言葉じゃない部分で、あぶりだす。そういう部分を大切にしなきゃいけないんじゃないかと思って。
――主演に、大倉忠義さん、成田凌さんを選んだ理由は?
ラブシーンもあるから、俳優さんたちにとってもなかなかハードルは高いと思うんですけど、成田にシナリオを見せた時に、今ヶ瀬であれ恭一であれどちらの役でもいいから参加したいですって言っていたんです。成田に今ヶ瀬をやってもらうとしたら恭一って誰なんだろうって考えていたんですけど悩んでいて。
脚本の堀泉に、だれを想像して書いてたのか聞いたら、関ジャニ∞の大倉忠義ですって言っていて。彼のこれまで演じてきた役の雰囲気や、彼の本質が恭一に合うんじゃないかと考えていたと言っていたので、オファーをしてみたら案外早い段階でやってくれることになりました。
――お二人のお芝居、本当に素晴らしかったです。特に成田さんのあのキラキラした瞳や可愛い仕草、びっくりしました。
彼自身、きっといろんな人を観察し、交流し、直接話を聞いたりして役作りの糧にしていたと思います。僕自身も考えていたんですけど、「なんであの人たちはあんなにきれいな目で相手を見るんだろう。」って話が出て。あのうるんだ目って作ろうと思っても作れない。目にすごく純粋性を感じる。それがいいからそれがやりたいよねって。
最初、「目薬でもさす?」って話も出ていたんだけど。(笑)
でも、演じる上で、だんだん心情が伴っていくと、目も自然にそうなっていくのが分かった。ここが素晴らしかったですよ。
――最後に、皆さんにメッセージをお願いします。
人が人を想うっていう気持ちは、どんな形であれ、同性同士であれ、関係ないんです。
観ていただくと、いろんな発見があると思います。
愛知県の人って特別なもの好きでしょう。(笑)
だから、この映画を見ると何か響くものがあると思う。この映画を見て、新しい愛の形を感じていただければと思います。
映画「窮鼠はチーズの夢を見る」は全国公開中です。