ハンケチや 昭和は遠くなりにけり
19年前、私は早稲田大学の一年生だった。
初めて早慶戦を見に行った夜、酔っ払って高田馬場界隈で大騒ぎした。
私だけではない。
あちらこちらで早大生が輪になって肩を組み校歌や応援歌である「紺碧の空」を大声で歌っていた。
30人ほどのグループが円陣を組んでこれから歌い出す雰囲気だったので輪に加わった。
リーダーらしき人が「じゃあ次、アイトメ!」と叫んだ。
アイトメ?何の略だ。応援歌であることは間違いないが、そんな曲あったっけ?
♪優しくしな~いで~ 君はあれ~から~・・・応援歌ではなかった。
アイトメとはオフコースの『愛を止めないで』の略だった。
その集団は早稲田大学オフコース研究会の皆さんだったのだ。
それが昭和63年。
その年に生まれたのがハンカチ王子だ。
同級生には平成生まれだっているのだ。
そう考えると平静ではいられない。
昭和は遠くなりにけり。
先日も昭和との距離を感じる出来事があった。
ある若者に「石原軍団って、何で石原軍団っていう名前なんですか?」と聞かれたのである。
もはや石原裕次郎さんのことをよく知らないという若者が出てきているのだ。
石原裕次郎さんといえば刑事ドラマ「太陽にほえろ」のボスだ。
あのドラマの刑事たちにはみなニックネームがついていた。
ゴリさん、マカロニ、ジーパン、ボン、テキサス、スコッチ・・・・。
小学生の頃、私の周りでは小野寺昭さん演じるデンカ刑事の人気が高く、太陽にほえろごっこをするとみんなデンカの役をやりたがった。まさにオールデンカの時代であった。
さて、ここで問題です。このドラマには石原良純さんも刑事役で出ていました。何というニックネームだったでしょう?
正解はマイコンでしたっ!
マイコンの場合は完全に死語だが、ジーパンだって危ういものだ。
もし、今太陽にほえろが放送されていたら、ジーパン刑事もジーンズ刑事もしくはデニム刑事になっていたかもしれない。
・・・・なんて言いつつ、私は今でも結構ジーパンって言葉は使っちゃいます。使い慣れた言葉を変えるのはなかなか難しいもんですな。
そういえば他局のある超ベテランアナウンサーは、ハンカチ王子のことをハンケチ王子って呼んでいましたよ。