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2009年11月 バックナンバー


2009年11月04日

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 その1

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佐野元春さんの曲に「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」という作品がある。

歌詞の中には海のことなんか一言も出てこないのだけれど、タイトルだけ聞くと真っ青な海でのんびりフワフワと泳いでいるイメージがパアアーッと広がる。とてもキャッチーな名コピーだと思う。

「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」

私はダイビングを始めたときから、そんな日が来ることをずっと夢見ていた。

そして、その夢を叶えてくれる場所こそが、オーストラリアの北東岸に広がる世界遺産・グレートバリアリーフだった。 

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つづく

2009年11月05日

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 その2

11512.jpg10月の末、私はケアンズへと旅立った。

グアム経由のため、グアムの空港でも入国審査などを受けなければならなかった。
グアムの係官は相手が日本人だと結構日本語を使ってくれるのだが、その日本語がちょっとおかしい。
例えばX線検査のときには、50歳くらいのいかつい男性が「くちゅ脱いで」などと言うのだ。
容姿と言葉使いのギャップにちょっと笑ってしまった。

一方、指紋認証のときの30代と思しき女性係官は、いかにも熟女という感じの言葉使いだった。

「右よ~ん」

この色っぽい語尾は、一体どこで身につけたんだろう?
昔流れていた「聚楽よ~ん」というコマーシャルを思い出した。(わかんない人はお父さんに聞いてください)
でもこれは私の誤解だった。
「右よ~ん」というのは「右手の親指以外の4本の指をセンサーに乗せて」、つまり「右4」のことだったのだ。
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つづく

2009年11月06日

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 その3

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ケアンズに到着したのは深夜。

翌朝ケアンズの港から高速ボートに乗り、ノーマンリーフというダイビングスポットへ向かう。

船室は2階建てで、40人ほど乗れるそこそこ大きなボートだったが、風が強かったためかなり揺れた。
ボートの中では最も揺れが小さいという一階後部デッキは船に弱い人々のたまり場になっており、どよーんとした雰囲気が立ち込めていた。

私もかなり気持ちが悪くなっていた。
こんなに船に弱いのにダイビングするなんて、趣味の選択を間違ったなーという気になってくる。

私の隣では日本人男性が席にもつかず、支柱に捕まって仁王立ちしていた。
なるべく遠くを見たほうがいいということだろう、眉間に皺を寄せながらずっと水平線を睨み付けていたが、すでに気持ち悪くなっていたらしく表情はとても切なげで、南太平洋に来ているのに、顔だけ見ると「津軽海峡冬景色」が聞こえてきそうだった。

日本人だけではない。
斜め前ではアメリカの青春ドラマなんかでいじめられっ子役を演じそうな金髪のポチャッとした若者がエチケット袋を片手にものすごく気持ち悪そうな表情をしていた。
その表情を見てるだけでこっちまで吐きそうになってくる。

んっ!ちょっと待て!

ダイビングツアーのスタッフTシャツ着ているじゃないか!

彼は仕事の選択を誤ったようである。

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つづく

2009年11月07日

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 その4

一時間半ほど船に揺られて、やっと目的地に着いた。

早速サンゴ礁の海に飛び込む。

海底にはホワイトチップリーフシャークがいた。いわゆる一つのサメである。
サメと言っても日本名が「ネムリブカ」といって、まさに眠っているようにおとなしいサメなので近寄って写真をパシャパシャ撮った。

でもどうしたことだろう?やたらと画面が青い。
ホワイトバランスがおかしいようだ。
修正しようにも初めて使うデジカメなので操作に手間取ってしまう。
結局あきらめて顔を上げたら、まあビックリ!

ナポレオンフィッシュが目の前に!

体長1mを越す大物なのに、まるでペットの猫や犬のようにダイバーに頭を撫でられ、なんだかうっとりしている。
慌ててカメラを向けるが、あまりに近すぎて画角に収まりきれない。
そして画面はやたらと青いまま・・・・。

出会いはいつも突然ね。

完全に不意をつかれた。
まさか潜ってからわずか20分で登場するとは!
主役の自覚なしである。
この連載もこの先どうやって盛り上げていけば・・・・・

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つづく

2009年11月10日

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 その5

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2回潜ったところで、宿泊用の船に乗り換える。
全長35、7m、48人が泊まれる船である。
このままグレートバリアリーフの上で眠るのだ。
「津軽海峡冬景色」の人を含め、日帰りダイビングの客は乗ってきたボートで帰ってしまったので、日本人客は私ともう一人だけになった。
インストラクター見習いの二人、スタッフ2人をあわせても日本人は6人、そのほかの30数名は外国人である。
このあと午後一回、夜一回、翌日の午前中に3回、計5回潜ったのだが、そのうち3回はオーストラリア人インストラクターだった。
「どうせ海の中で使うのはボディランゲージだから、言葉が通じなくても問題ないでしょ?」と思われるかもしれないが、いろいろ勝手が違うのだ。
まず日本人インストラクターと比べ、泳ぐペースが早い。
そしてあまり後ろを振り向いてくれない。
エアータンクにはエアーの残りを示す残圧計というのがついていて、大体200からスタートして、50になる前に水から上がるのが目安とされているのだが、私の残圧計が50になっているのに、先を行く女性インストラクターにちっとも気づいてもらえなかったこともある。
そもそも私はエアの消費がかなり早い。
肩に力が入っているうえに、やたらあたふたするからだ。
ガンガンエアーを消費して、ガンガンCO2を排出する、地球に優しくないダイバーなのだ。
「おおーいっ!もう50だよっ!こっち向いてー!」
振り向いてもらおうと手足をバタつかせて懸命にアピールしても全く気づいて貰えず、ジタバタしたぶん、さらにエアーを消費してしまう。
くそうっ、何てこった!
海の中でも女の子に振り向いて貰えずに苦しむなんて!
一人で相当焦ったが、バカみたいだった。
船まではまだ遠いと思い込んでいたが、実はもう目と鼻の先だったのだ。
サンゴ礁など海底の地形に合わせて水中であちこち方向転換したので、私はすっかり船の位置を見失っていたのだが、基本的にこのダイビングは船の近くをグルグル回っているだけだった。
そして、そういうことは潜る前のブリーフィングで説明されていたはずなのだけれど、・・・・英語だったからねえ・・・。

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つづく

2009年11月11日

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 その6

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女性は一人で映画を観に行くだけでも「おひとりさま」と敬称をつけて呼ばれるらしいが、今回一緒になった日本人女性ダイバーなどはあちこちの海に一人で潜りに行ってるし、3ヶ月間ヨーロッパをバックパッカーとして旅したこともあるそうだ。

「おひとりさま」どころではない。
「おひとり殿下」と敬意を込めてお呼びしたい。

インストラクター見習いの男性は、ワーキングホリデーでオーストラリアに滞在中なのだが、バナナ農園で働いたり、ベトナム人船長のエビ漁船に乗り込んだり、その船が遭難したりと、波乱万丈の人生を送っている。

そして彼の友人にいたっては、ギター一本を片手に世界中を無銭旅行しているという。
上には上がいるもんだ。

「おひとり陛下」とお呼びしたい。

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つづく

2009年11月12日

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 その7

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「おひとり殿下」の女性は、旅を安くあげる名人でもあった。
今回の旅も私より何万円も安い予算で収めている。
私は大体サイパン旅行一回分ぐらいのお金を損してしまったことになる。
これは痛い。
取り返しのつかないミスをしてしまった。

暗い気持ちでいっぱいの私の前を水着姿の西洋人の女性が横切った。
腰のところに刺青を施している。
漢字で「愛」。
ただし、左右反対であった。

親から貰った大事な体に誤字。

これこそ取り返しのつかないミスだろう。
この子に比べれば、俺のミスなんてちっぽけじゃないか。
ちょっと明るい気持ちになれたのだった。

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つづく

2009年11月14日

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 その8

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2日で7回も海に潜りヘトヘトになってケアンズに戻った。

夕方のケアンズの街では魔女や悪魔の格好をした女の子や、海賊の格好をした若者、マハラジャに扮した夫婦などとすれ違った。
ちょうどハロウィンだったのだ。

大きな通り沿いの一軒のレストランの前で女性店員さんと目があい、そのまま入ってしまう。

・・・はい、そうです。キレイな人だったんです。

席についたところで気がついた。
以前ガイドブックを読んだときに「この店はちょっと高いな。やめておこう」と思っていた店だった。

メニューにはカンガルー、エミュー、クロコダイルなどが並んでいた。
私はローストカンガルーを食べてみることにした。

むむっ!これは・・・・

肉は柔らかいのだけれど、噛み切れず、ひと噛みごとにけものの風味が広がる。
そして何度も咀嚼しているうちに歯の隙間に肉の繊維が挟まっていく。

・・・・ちっともおいしそうな描写ができないけれど、でもまあまあうまかったですよ。

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つづく

2009年11月15日

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 その9

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翌日はケアンズの誇るもう一つの世界遺産、世界最古の熱帯雨林・キュランダをめぐるツアーに参加した。
ケアンズからレトロな観光列車に乗って1時間45分、キュランダ村へと向かう。
熱帯雨林の間を山肌を縫うように走る観光列車の最後尾の車両は、30数名の日本人ツアー客で貸切になっていた。

日本人にとってこの列車の車窓に映る景色のいくつかは馴染み深いものである。
中でも列車が大きく右にカーブするポイントは有名だ。
列車がひらがなの「つ」が左右逆になったような形になるので、我々の乗っている車両からは前の方の車両が右方向に走っていく姿が見える。
このシーンは「世界の車窓から」のオープニングを10年もの間飾ったそうである。
そのほか、某蚊取りマットのCM撮影で河童が流れた川や某ファイト一発の橋などもあった。
日本人ガイドが乗り込んでいるのでこういう情報を知ることが出来たのだが、そのガイドさんが線路の脇に生えていた黄色の竹を指差して「この竹はゴールデンバンブーといって、この竹にお祈りするとお金持ちになるといわれています」と紹介したものだから、この竹が現れるたび、最後尾の車両だけ「パン・パン」とかしわ手が鳴り響くという、ちょっと変てこな光景が展開されたのだった。

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つづく

2009年11月16日

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 その10

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キュランダ到着後、バスでレインフォレストネイチャーパークへ向かった。
パーク内には小さな動物園があり、コアラやカンガルー、ウォンバットなどオーストラリア固有の動物たちを間近に見ることが出来た。
16ドル払えばコアラを抱くこともできたが、一人旅の40男に許される行為ではないと思い、歯を食いしばって断念した。

コアラは有料だが、カンガルーは自由に触ることができた。
園内の芝生の上にはカンガルーが何頭も寝そべっていた。
いかにも眠そうである。
「やる気が感じられない」と憤る観光客もいたが、もともと夜行性なのだから、昼間眠いのはしょうがない。
カンガルーにとっては午前5時のカラオケボックスみたいな状態なのだろう。

広く知られていることだが、カンガルーは、元々は「知らない」という意味の言葉だったという説がある。入植してきた西洋人に「あの動物はなんというのだ?」と訊かれた原住民が「知らない」と答えたのが動物の名前と勘違いされて広まったというのである。

果たして本当だろうか?

その当時はそこらじゅうでみかけたであろうカンガルーの名前を原住民が知らなかったなどということがありえるだろうか?
実は訊ねられた原住民はひねくれ者、あるいは反骨精神の塊のような人で「お前なんかに教えてやるか!」という気持ちで「カンガルー(知らない)」と答えたのではなかろうか。
それが思わぬ形で広まってしまい、原住民たちは困惑し、こんな会話を交わしていたのではなかろうか?

「どうすんだよ!おまえがカンガルー(知らない)なんて言うから広まっちゃったじゃねえか」

カンガルー(知らないよ)」

「どうすんだよ?!」

カンガルー(知らない)って言ってんだろ!」

カンガルー(知らない)で済むか!責任取れよ」

カンガルー!(知るか!)」

「じゃあ、俺だってカンガルー(知らない)」

そこへ西洋人のおエライさんがひょっこり現れるのだ。

「何だ、さっきからお前たちはカンガルー、カンガルーって。そんなにあの動物が好きなのか。ハッハッハ」

こう言われてしまい、とても訂正できなくなってしまったのだ。

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つづく

2009年11月17日

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 その11

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このネイチャーフォレストパークのメインアトラクションは水陸両用車アーミーダックだった。
ジャングルの中を突っ切るスリリングなアトラクションである。
恐竜が生きていた頃から姿を変えていない植物や着生植物など熱帯雨林ならではの植物をたくさん見ることができたが、動物はちっこいカメ2匹とトカゲ2匹しか見られなかった。

やっぱりねえ・・・・。
世界遺産に指定されているような大自然の中でも、陸の上では野生動物の姿はあまり見られないのだ。
だからこそ、私はダイビングを始めたのだ。
海の中だったら潜ってほんの10分で数十種類、数百匹の生き物を間近に見ることができますからな。

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つづく

2009年11月18日

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 その12

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再びバスに乗り、キュランダ村に戻った。
野鳥園や蝶々園、フリーマーケット、見所はいずれもこぢんまりとしていた。
メインストリートを2往復してしまい、それでも自由時間を持て余した私は、地図にも載っていないような細い路地を歩き始めた。
すると一軒の民家から犬がワンワン吠えながら飛び出してきた。
怪しいヤツとみなされたようだ。
私はすぐさま踵を返し、一目散に逃げた。
久々の50m全力疾走だった。
逃げ切った。
40になっても俺、結構走れるじゃないか!
ももも高く上がっていたし、腕もよく振れていた。
逃げたくせに、まるで勝利を収めたような充実感を覚え、ガッツポーズをしながら自分の家に戻っていく犬の後姿を見送った。

猫くらいの大きさの小型犬を。

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つづく

2009年11月19日

ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 その13

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帰りはスカイレールという世界最長のゴンドラに乗って、熱帯雨林を上から見下ろしながら下山する。
日本人のカップルと乗り合わせるハメになった。
女の子は高いところが苦手らしく、顔をハンカチで覆い、か細い声で彼氏に「窓は開けないでぇ」と懇願していた。
窓を開けないといい写真が撮れないんだけどなー、と思いつつ、元々少しだけ開いていた細~い隙間からカメラのレンズ部分だけ出して写真を撮ったのだった。
「何で関係ない俺までこんな肩身の狭い思いをしなくちゃいけないんだー!」と若干腹も立ったが、おかげで「彼女の面倒見るのも大変だなー。その点一人旅は気楽でいいなあー」と一人旅の素晴らしさを改めて実感することができたのだった。

・・・・・まあ、負け惜しみですけど。

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おしまい

2009年11月21日

阿部サダヲさん インタビュー その1

現在公開中の映画「なくもんか」主演の阿部サダヲさん、水田伸生監督にインタビューしてきました!その模様を敬称略でお届けします。

相澤「竹内結子さんの“蹴り”が見られるとは思いませんでした」

監督「ハハハハ、言っちゃいますか・・・」

相澤「言わないほうが?」

監督「大丈夫です。大丈夫です。あれは当然ト書きにはなかったんですよねー。・・・・テストの間もなかったですね?」

阿部「なかったですね」

監督「本番でいきなり出てきちゃったりするんですけど」

相澤「じゃ、本番でいきなり喰らっちゃうほうはたまんないっていうか・・・」

阿部「いやいやいや。予想してないほうがやりやすいですね」

相澤「ああ・・・・、予想しちゃうと身構えちゃいますもんね」

阿部「そうですね」

相澤「でも結構いいとこに当たってたんじゃないですか?」

阿部「股間のほうに入ってきましたけど・・・・。でもその股間も本当の股間じゃないところ・・・・あの・・・あの・・・あそこには絶対入ってこないという・・・・・だからちゃんとわかってるんですね、位置を」

相澤「すごいですね!」

阿部「すごいですよ。そんなに痛くないし。・・・いいですよね・・・そういうの」

相澤「竹内さんと共演した感想は?」

阿部「本当面白いと思いましたね。イメージとしてあんまりああいう竹内結子さんってなかったんですけど、それがいくらでも出てくるんですよね。瑛太くんのこともいきなり蹴ったりとかしてましたもんね」

相澤「瑛太さんはビックリしてませんでしたか?」

監督「ビックリというよりも、そこでまた瑛太さんの芝居がそれに呼応すると言いますかねー、そこが見てても本当にドキドキ、嬉しくてしょうがない」

相澤「嬉しくてしょうがないということですけれども、監督は本番中もよく声を出して笑っちゃってたそうですね?」

監督「ハハハハハ!名古屋地域にもこの話が届いてますか!」

阿部「届きますね」

監督「撮影所で俳優以外が声を出すっていうのはご法度ですね。常識的には・・・・・・・ほんっとにすいません」

阿部「いつもそんなに大声があがるような撮影現場ではなかったんですけど、唯一『黙れっ!』みたいな怒られている声が聞こえたとしたら、監督が笑ってることに対しての・・・・」

監督「黙れって言われる監督ってねえ」

相澤「一番笑いをこらえ切れなかったシーンはどのシーンですか?」

監督「いくつもあるんですけど・・・・これから観て頂くお客様に期待して頂きたいのは石田あゆみさんですね。あゆみさんの面白さはこらえ切れなかったです。阿部さんも・・・」

阿部「笑ってますもんね。本番中に。完全に笑っちゃってるシーンがあります」

相澤「笑い声がスクリーンに乗っちゃってますか?」

阿部「いや、そこまでは行ってないと思いますけど、恐怖から笑いに変わってってるな、これっていうぐらいはわかりますね」

相澤「ああ、あのシーンですね(観た人はわかると思います。ネタバレになるのでここでは書きませんが)・・・・。石田さんをああいう役で起用されるというのは、もちろん面白くなるという確信があったわけですよね?」

監督「もちろん、石田さんの女優としての実績は確固たるものがありますし、竹内さんや瑛太さんと同じように宮藤さんのシナリオ、世界観を初めて体験される方に少しでも参加して頂いて・・・・。ほんっとに面白いシナリオなんですよ。我々は懸命にその活字の面白さを映像で超えていこうとするわけですね。映像って何なのかっていうと風景を撮ってるわけじゃなくて、お芝居を撮っていることでしかない。お芝居が生き生きと、あるいは皆様の期待を超えられるかってところにかかってると思うんですよね。そのために極力新鮮に演じて下さいと。あゆみさんにいろいろお願いするのに勇気は必要だったんですけど・・・。なぜそんなことを私がしなければならないんだって目できょとんと見つめ返すんですよ。そこを一つ(深々とお辞儀して)お願い致しますと・・・」

相澤「阿部さんは宮藤さんの脚本を初めて体験される方を何回も見てらっしゃると思うんですが、楽しんでらっしゃる方が多いんですか、それとも戸惑っている方が多いんでしょうか?」

阿部「楽しんでる方のほうが多いと思いますけどねー。セリフをずっとしゃべっていくと心地よくなっていくって方が結構いらっしゃるんですよね。僕もそういうタイプですけどだんだんしゃべっていくうちに面白くなってきちゃうっていう・・・。瑛太くんも覚えやすいって言ってましたね。しゃべりやすいし」

相澤「それはやはりリアルっていうか、自然なセリフってことなんでしょうね?」

阿部「宮藤さんも役者の部分ありますからね。しゃべりながら書いてるのか・・・・?書いてるとこ見たことないんでわかんないですけど・・・・あっ、見たことあるか・・・・・でもちょっとそのへんはわかんないですけど」

つづく

2009年11月22日

阿部サダヲさん インタビュー その2

相澤「今回演じられた祐太という役は究極の八方美人ですけど、阿部さんにも八方美人的な要素はありますか?」

阿部「ありますよ、やっぱり。俳優って職業で、いろんなとこに気を張ってますからね。お客さんに対しても、スタッフさん、共演してるキャストの人に対しても・・・。やっぱり人のいるところは全部。悪い印象与えたくないってのはすっごいありますから」

相澤「それから・・・(監督が口を開いたので)あっ(どうぞ)」

監督「宮藤さんのセリフにやっぱりいいセリフありますもんね。『嫌いな人に好かれたい。好きな人にはもっと好かれたい』」

阿部「それですね」

監督「人間の本音じゃないかと思うんですけどねー」

相澤「・・・・・・・・・・ふうむ」

監督「・・・・求め・・・てた答えと違った???・・・・」

阿部「あれ?違ってました?」

相澤「いやいやいやいや!今のは深くうなづいていたんです!」

監督「あ、そうですか・・・?」

阿部「あれあれあれ?」

相澤「いやいやいやいや!もうありがとうございますっ!」

阿部「『そうかな?』みたいな感じでしたよね・・・?」

相澤「いやいやいやいや!」

監督「人間ってそうじゃないんじゃないか?ていう感じがありますよ」

相澤「いやっ!そんな・・・まあ・・・・・アナウンサーだってみんな八方美人ですから!」

実は「・・・・・・ふうむ」のところは「それから・・・」と質問しかけた話題にどうやって戻そうかとか、今の監督の話からどう次に展開しようかを考えていたのです。それが微妙な表情と間を生んでしまったんですね。そこを突っ込まれて必死にごまかそうと「アナウンサーなんてみんな八方美人ですから!」と言い切った私。監督から「そちらの顔を撮るカメラがないのが残念です」と言われました。

つづく

2009年11月24日

阿部サダヲさん インタビュー その3

相澤「阿部さんが演じられた祐太は女装して全く別の人格になったりしますが、阿部さんにも変身願望はありますか?」

阿部「役者やってること自体変身願望で始めたようなもんなんで。普段の自分でいるよりは違う人になってたほうが楽みたいなところがあるんですよ。強いかもしんないですね、変身願望」

相澤「パアアアってハイテンションで演じているとやっぱり気持ちいいですか?」

阿部「気持ちいいです。違う人になれたりとか・・・・、セリフって僕に責任がないものじゃないですか?人が書いたものですから。人が書いたものを大声で言ってるってすごく気持ちいいんですよね

相澤「大声で演じるシーンとしては、今回は舞台の上で漫才をするシーンなんかもありましたけど、阿部さんは今まで舞台でスベったことありますか?」

阿部「それはあるでしょうね。ありますよ・・・・。劇場行ってわかることですけどね、それは。稽古場ですっごい面白いなって思ってやってんだけど、劇場で全くウケないっていうね。・・・それは別にウケなくてもいいって顔しないといけないですけど。別に笑わせてるわけじゃないよっていう、そういう素通りをしますけどね。で、次の日からそのセリフは全くなかったかのようにカットされてますね。宮藤さんが脚本・演出の舞台の場合」

相澤「スベることもあるということですけど、阿部さんはスベらない人っていうイメージがあるんですよね。何かスベらない秘訣みたいなものはあるんですか?」

阿部「何かわからないけど、確固たる自信!・・・があったほうがいいんじゃないですか。不安でやってると絶対伝わっちゃうと思うんで。何か自信あるぞっていうほうが笑っちゃうじゃないですか。そんな気がするんですけどね」

つづく

2009年11月25日

阿部サダヲさん インタビュー その4

相澤「最後にテレビをご覧の皆さんにメッセージをお願いします」

監督「では、なくもんかの“な”」

阿部「泣いて笑える映画ですっ」

監督「なくもんかの“く”」

阿部「宮藤官九郎書き下ろし!渾身の人情劇ですっ!」

監督「なくもんかの“も”」

阿部「もーのすごいスピード感でねっ、もーうもーう、も・・もちろん泣けますしね、もうやんなっちゃうっすね」

監督「やんなっちゃう?」

阿部「やんなっちゃ・・・やんなってないです」

監督「なくもんかの“ん”」

阿部「んー・・・、んーと豪華なキャストが出てますよ。妻役に竹内結子さん、弟役の瑛太くん、伊原剛志さん、石田あゆみさん、片桐はいりさ・・・」

監督「全員言わなくていいです」

阿部「あぁ、全員言わなくていいですか・・・」

監督「なくもんかの“か”」

阿部「片桐はいりさんっ!」

監督「それもう言ったから!」

阿部「あ、言いましたっけ・・・」

監督「“か”」

阿部「かっくじつに面白い。格別面白い映画ですので、是非劇場でご覧下さい」

アナウンサーの動画を見る!

プロフィール

【最近面白かった漫画】
「三月のライオン」
「とめはねっ!」
「宇宙兄弟」
「モテキ」
「へうげもの」
「もやしもん」
「こさめちゃん」
「犬のジュース屋さん Z」

【好きな言葉】
「振り向くな、振り向くな、後ろには夢がない」(寺山修二)
「しゃかりきコロンブス」(光ゲンジ)

【担当番組】
ニュースデータで解析!サンデージャーナル、特番など

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