再びバスに乗り、キュランダ村に戻った。
野鳥園や蝶々園、フリーマーケット、見所はいずれもこぢんまりとしていた。
メインストリートを2往復してしまい、それでも自由時間を持て余した私は、地図にも載っていないような細い路地を歩き始めた。
すると一軒の民家から犬がワンワン吠えながら飛び出してきた。
怪しいヤツとみなされたようだ。
私はすぐさま踵を返し、一目散に逃げた。
久々の50m全力疾走だった。
逃げ切った。
40になっても俺、結構走れるじゃないか!
ももも高く上がっていたし、腕もよく振れていた。
逃げたくせに、まるで勝利を収めたような充実感を覚え、ガッツポーズをしながら自分の家に戻っていく犬の後姿を見送った。
猫くらいの大きさの小型犬を。
つづく