豊橋自然史博物館に行った。ここで今、去年の愛知万博で展示されていた冷凍マンモスが見られるのだ。
ついに見ましたぞ、マンモスを。結局万博の時は見られずじまいだったも んなー。決して口にはしないが、心の中で「マンモスうれピー」と叫んだのだった。
豊橋自然史博物館は豊橋総合動植物公園の中にある。5月の動物園は遠足の幼稚園児でいっぱいだった。
「キリンさーん、こっち向いてー!」
アフリカの動物たちを集めたアフリカゾーンでは、ちっとも顔を見せてくれないキリンに子供たちが大声で何度も呼びかけていた。
キリンが全く反応しないので、園児たちの言葉使いが変わっていく。
「キリンのバカ!」
やがて罵詈雑言を浴びせ始める。この子たちはきっと将来名古屋ドームや名古屋競輪場で選手に野次を飛ばすようになるのだろう。
「キリンのジジイ!」
ジジイって、それだけで悪口になるのか。近くのベンチに座っていたおじいさんが微妙な表情を見せた。
「キリンのブタ!」
キリンに向かってブタ!って、かなりシュールである。
「キリンのベンジョムシ」
もっと斬新なのも出てきた。しかし、ここで園児たちのボキャブラリーは尽きたようだ。あとは「バカ」「「ジジイ」「ブタ」「ベンジョムシ」の4つを何度も繰り返すばかりだ。
「キリンのバカジジイ」
一人の子が言葉と言葉を組み合わせることを思いついた。これが新しい流れとなる。
「キリンのブタジジイ」
ブタジジイって意味がよくわからないが、子供たちの世界にはルールなどないのだ。
「キリンのベンジョムシジジイ」
いや、どうもルールはあるらしい。組み合わせられるのは必ず「ジジイ」なのだった。ベンチに座っていたおじいさんはどんな気持ちで聞いていたのだろうか。
動物を見るのもいいけれど、子供たちを見ているのもなかなか面白い。そう思っていたら、この動物園には人間の檻もあるのだった。この檻には自由に出入りできるようになっていて、中のベンチに座って休憩できるようになっているのだが、檻の外には他の動物の檻と同じように「分類・霊長目ヒト科」とか「学名・ホモサピエンス」、「英名・M AN」などと書かれていて、「お願い・夕食が食べられなくなるので、おやつを与えすぎないで下さい」「お願い・働かなくなるのでお酒を飲ませすぎないで下さい」というボードが張 られているのだった。なかなか洒落が利いている。
あと、これは洒落なのかどうか定かではないのだが、「ダイアナモンキー」というサルのうちの一匹には「チャールズ」という名前がつけられていた・・・・。