いよいよその日が来た。
金曜の夜、我々絆のメンバーは名古屋市内のファミレスに集合した。まずここで腹ごしらえしてからみんなで8人乗りミニバンに乗り、夢と魔法の王国を目指すのだ。
最近のファミレスのメニューの充実ぶりには目を見張るものがあり、食事に関してはおおむね満足した我々だったが、この後交代で車を運転することになっていたのでビールを飲めないのが辛い。
「ううー、飲みてええ」
うめき声をあげるものもいた。最初からディズニーランドに行くなんて面倒くさいことはせずに、名古屋で飲み会にしといたほうがよかったかもしれないという思いもよぎり出す。
誰が運転するかはサービスエリアなどで休憩するたびジャンケンで決めることになっていた。若葉マークの私がどんな運転を見せるのかというのもこのツアーのお楽しみの一つになっていたのだが、私は負けなかった。もともと夜道は苦手な上に、「首都高速は恐ろしい」と「中高年のためのドライブ教室」という本に書かれていたので、とくに関東圏に入ってからは真剣に勝ちに行った。
ジャンケンというのは考えてやれば結構勝つ確率が高くなるということを今回初めて実感した。
「チョキは2回続けて出してこないだろう」などまだごくごく初歩的な読みしかできないが、今後より研究を重ねシンキング・ジャンケンを確立したいと思う。
午前2時過ぎに東京に入った。私はいつも東京へは新幹線で行くのだが、車で行った方がより東京の大きさが実感できると思った。林立する巨大なビル、その間にボオッと赤く浮かぶ東京タワー。
「オカンにも見せてやりたい」
もこみち化する我々。
さらに一時間ほどしてディズニーランドのすぐそばにある健康ランドに到着した。各種入浴施設を備えているだけでなく、リクライニングソファで仮眠もできるという大変有難い施設だ。でも眠りについたのは午前4時過ぎ、起きたのは7時であるからして眠いことこの上ない。ボオーっとした状態でヒゲを剃っていたらアゴから血が大量に噴き出した。血の出所を鏡で確認したらそこにあるはずのホクロがなくなっていた。キャー!
つづく