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2007年05月14日

しゃべれどもしゃべれども

先日、映画『しゃべれどもしゃべれども』の試写会の司会をしてきました。会場は名古屋で唯一の寄席、大須演芸場でした。なんでそんなところが会場に選ばれたかというと、この映画が落語をテーマにしているからです。上映の前に、主役の落語家を演じた国分太一さんを舞台上にお迎えしてあれこれ伺いました。

相澤(以下、相)「いかがですか、老舗の寄席での試写会というのは?」
国分さん(以下、国)「外は相当風が強いんですけど、この中にいてもそれが感じられたんですよね。スクリーンが隙間風で前後に揺れたりして。やっぱり老朽化というか・・・ヒシヒシと伝わりますね」
相「1962年に建てられたものだそうです」
国「力道山が頑張ってるくらいの時代からあるわけですね」
相「昭和と共に生きてきた感じでございます」
国「洗濯機、カラーテレビ、えー・・・・・・・・・、などなど」
相「・・・・あと一つが出ませんでしたね」
国「残念です」
相「さて国分さんは今回映画の中で初めて落語に挑戦されたわけですけど、もともと落語に興味はお持ちだったんですか?」
国「全くなかったですね。一番最初に聞いた落語が長瀬君の落語でしたからね。タイガー&ドラゴンで・・・なんて話をしつつ今もまたスクリーンが揺れてるんですけど。・・・きょうは映画が見づらいかもしれません」
相「大丈夫です。・・・たぶん」
国「たぶんなんですね」
相「長瀬さんのほかにも山口さんも「林家三平ものがたり」というドラマに出てますし、TOKIOの皆さんは落語と縁があるんですよね」
国「5人中4人が落語しゃべっているという、不思議なバンドなんです。楽屋でも落語はやっぱり大変だ、なんて話が出てましたね」
相「皆さんどんなところに苦労されるんですか?」
国「お芝居と違って、一人で全部演じなきゃいけない・・・」

風の音が場内に響く。

国「すごい音でしたねー。ガタガタいってましたね」
相「今の音は二階席の方からでしたね。うわっ、ていう声も客席から出てましたけど」
国「一瞬みんなが僕の話を聞いていないのがわかりました」
相「皆さん、舞台上に集中して頂きたいと思います」
国「お願いします」
「えーと・・・・・、何の話、してましたっけ?」
国「あれっ!一番近くにいる人が僕の話を聞いてませんでしたね。驚きですよ、それは!」
相「すいません」
国「お客さんならまだわかりますけど」
相「すいません、すいません。あ、そうそう。お芝居と違う面があってという話で・・、落語では顔の向きを変えていろんな人物を演じわけますよね」
国「かみしもを切るっていうんですけど、それは相当苦労しましたね。ずっとやってるとどっちの役がどっちの顔の向きかわからなくなったりするんですよ」
相「全部憶えるのにどのくらいかかりましたか?」
国「半月ぐらいですね。お風呂に入っている時や車で移動してる時もしゃべってみたり、とにかく頭にずっと落語を入れてましたね」
相「映画の撮影では実際にきょうのように寄席にお客さんを入れて落語のシーンを撮ったんですよね」
国「普段寄席で落語を聞いている人たちにエキストラとして来てもらったんですけど、その時点でハードルがあがってるわけですよね。その噺のどこが笑う場所かわかってるわけですから。相当プレッシャーになりましたね」
相「逆にその人たちの笑い声に乗せられたりはしなかったですか?」
国「前半は緊張してほとんど覚えてないんですけど、後半は『ちょっと笑わせてみようかな』っていう欲がやっぱり出ましたね。これがたぶん落語なんだろうなって、演じながらわかってきましたね」
相「じゃあ、今後も落語を続けていこうと?」
国「勘弁して下さい」
相「それだけ苦労した作品ですから、完成したものはもちろんご覧になったんですよね?」
国「ギリギリまで見たくないと言ってたんですけど」
相「それはどうしてですか?」
国「自分がこんな大きなスクリーンでお芝居をしてるのは恥ずかしいなあという気持ちが強かったんです」
相「初めての単独主演映画でしたよね」
国「(耳を手でふさいで)やめて下さい、その言葉!なかなかそういう言葉に慣れていないので」
相「慣れていきましょうよ」
国「いや、無理ですよ。失禁しそうです」
相「舞台上ではやめて下さい」
国「じゃあ、舞台袖で・・・・」

2007年05月29日

うどんのあとにビール

ある映画の試写会で久しぶりに他局の若手アナウンサーに会い、軽く挨拶をかわした。
別れ際に「今度またゆっくり・・・・ラーメンでも」と言われた。
ゆっくりラーメン食べたら伸びるよなー。それとも彼は売れっ子ちゃんだから私と飲みに行くほどの時間がなくて、一緒にラーメンを食べるぐらいが精一杯ということなのかしらん。

私は彼ほど忙しいわけではないが、外で麺類をすすることは多い。
名古屋に来た当初は年に一回食べるくらいだった味噌煮込みうどんも最近よく食べるようになった。
先日、会社帰りにフラリと寄ったうどんやで味噌煮込みうどんを注文したら、注文を取りに来た50歳代と思しき女性店員さんがいきなりドドドッとテーブルに倒れこんだ
ええーっ!とあっけにとられていたら、ムクッと顔を上げて「味噌煮込みは今やってません」とおっしゃった。どうやら私が変なものを頼んだからずっこけたということらしい。

メニューを見たら、たしかに味噌煮込みのところには「冬」と書いてあった。味噌煮込みうどんの写真だけ見てよく読まず注文してしまった私のミスだが、あんなコケ方しなくてもいいのに・・・・。
「劇団員の方ですか?」と聞きたくなるほどのコケっぷりだった。

気を取り直してかき揚げ丼とうどんのセットとビールを注文すると、その女性が「ビールは瓶ビールですけど、グラスは?」と聞いてきた。
こちらは一人だから一個に決まっている。一体何を聞きたいのか?ものすごく怪訝な表情をしていたら、その女性は「お持ちしますか?」と続けた。
ええええーっ!!!「グラスお持ちしますか?」って、500mlの中瓶に口つけてグビグビ飲むお客さんいるか?思い切りつっこみたかったが、見ず知らずの人にそんな激しい言葉をぶつけてはいけないと自分にストップをかけた結果、何も言えなくて・・・・夏。沈黙の時間が訪れた。
女性店員だって、明らかに自分が意味のない質問をしていることに気付いているはずなのだが、それでもこのまま無視されて帰るわけにはいかないと思ったのか、必死に言葉をつなげる。
「いつ?」
「グラスをいつお持ちしますか?」って、そんなのビールと一緒に決まっている。
それともビールのことか?ビールを「食後に持ってきて」っていう人がいるか?

「(何だかよくわからないけれど)すぐ持ってきてください」と答えたところで、やっとこの不毛なやりとりは終わった。

一体なんだったのだろう?あのやりとりは。翌日もずっと考えていた。
もしかしたらあの女性店員は、私にコケてほしかったのかもしれない。
私の「味噌煮込みうどん」発言に対して激しくコケたお返しを求めていたというわけだ。
あんなに粘ったのも私がなかなかコケなかったからだと考えれば納得できる。
しかし、もしそうだとしたら、最後までコケなかった私は、あの女性に「お笑い失格」の烙印を押されていることになる。・・・だとすればとても悔しいが、考えすぎだろうか?

うどんやさんでは他にもびっくりさせられたことがある。
その店は讃岐うどんの店だった。
私は讃岐うどんが好きなので看板に「讃岐」の文字が書かれているのを見かけたらとりあえず入ってみることにしているのだが、その店はただの讃岐うどんの店ではなかった。
「店長が讃岐出身」の店なのだった。
なぜ私がそんなことを知っているかというと、立て看板に明記されていたからだ。

日曜日の昼下がりだった。
男性客が「生ビール!」と注文したところ、年配の女性店員が「瓶じゃダメ~ん?」と聞き返した。それでも男性客が「うん、ダメ」というと女性店員はあっさり「はい、生一つ」と答えたのだった。
生ビールちゃんとあるんじゃん!
どうやらその女性店員は生ビールを注ぐのが面倒くさかったらしい。

続いてその女性店員は私のテーブルに注文を取りに来た。私がうどんと、カボチャと芋の天ぷらを注文すると、「かき揚げはどうですか?おいしいですよ」とすすめてきた。・・・・生ビールはイヤ、かき揚げは食え!・・・わりと自分の意志を押し付けようとするタイプのようだった。私がいらないと言うと、「おいしいのに・・・」と言いながら去っていった。


そして5分後、その店員は「はい、お待たせ」と言いながらかき揚げを持ってきたのだった

努めて冷静に「かき揚げじゃなくて、芋とカボチャ頼んだんですけど」と指摘すると「あ、そうだった」と言って、かき揚げを持っていってしまった。
作っちゃったんなら置いていけばいいのに。
その後うどんが来て、すっかり食べ終わったところで芋とカボチャがやっと出てきた。
どうすんの?このタイミングで天ぷらが二つって。
嫌がらせに生ビール頼んだるか?

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プロフィール

【最近面白かった漫画】
「三月のライオン」
「とめはねっ!」
「宇宙兄弟」
「モテキ」
「へうげもの」
「もやしもん」
「こさめちゃん」
「犬のジュース屋さん Z」

【好きな言葉】
「振り向くな、振り向くな、後ろには夢がない」(寺山修二)
「しゃかりきコロンブス」(光ゲンジ)

【担当番組】
ニュースデータで解析!サンデージャーナル、特番など

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