ある映画の試写会で久しぶりに他局の若手アナウンサーに会い、軽く挨拶をかわした。
別れ際に「今度またゆっくり・・・・ラーメンでも」と言われた。
ゆっくりラーメン食べたら伸びるよなー。それとも彼は売れっ子ちゃんだから私と飲みに行くほどの時間がなくて、一緒にラーメンを食べるぐらいが精一杯ということなのかしらん。
私は彼ほど忙しいわけではないが、外で麺類をすすることは多い。
名古屋に来た当初は年に一回食べるくらいだった味噌煮込みうどんも最近よく食べるようになった。
先日、会社帰りにフラリと寄ったうどんやで味噌煮込みうどんを注文したら、注文を取りに来た50歳代と思しき女性店員さんがいきなりドドドッとテーブルに倒れこんだ。
ええーっ!とあっけにとられていたら、ムクッと顔を上げて「味噌煮込みは今やってません」とおっしゃった。どうやら私が変なものを頼んだからずっこけたということらしい。
メニューを見たら、たしかに味噌煮込みのところには「冬」と書いてあった。味噌煮込みうどんの写真だけ見てよく読まず注文してしまった私のミスだが、あんなコケ方しなくてもいいのに・・・・。
「劇団員の方ですか?」と聞きたくなるほどのコケっぷりだった。
気を取り直してかき揚げ丼とうどんのセットとビールを注文すると、その女性が「ビールは瓶ビールですけど、グラスは?」と聞いてきた。
こちらは一人だから一個に決まっている。一体何を聞きたいのか?ものすごく怪訝な表情をしていたら、その女性は「お持ちしますか?」と続けた。
ええええーっ!!!「グラスお持ちしますか?」って、500mlの中瓶に口つけてグビグビ飲むお客さんいるか?思い切りつっこみたかったが、見ず知らずの人にそんな激しい言葉をぶつけてはいけないと自分にストップをかけた結果、何も言えなくて・・・・夏。沈黙の時間が訪れた。
女性店員だって、明らかに自分が意味のない質問をしていることに気付いているはずなのだが、それでもこのまま無視されて帰るわけにはいかないと思ったのか、必死に言葉をつなげる。
「いつ?」
「グラスをいつお持ちしますか?」って、そんなのビールと一緒に決まっている。
それともビールのことか?ビールを「食後に持ってきて」っていう人がいるか?
「(何だかよくわからないけれど)すぐ持ってきてください」と答えたところで、やっとこの不毛なやりとりは終わった。
一体なんだったのだろう?あのやりとりは。翌日もずっと考えていた。
もしかしたらあの女性店員は、私にコケてほしかったのかもしれない。
私の「味噌煮込みうどん」発言に対して激しくコケたお返しを求めていたというわけだ。
あんなに粘ったのも私がなかなかコケなかったからだと考えれば納得できる。
しかし、もしそうだとしたら、最後までコケなかった私は、あの女性に「お笑い失格」の烙印を押されていることになる。・・・だとすればとても悔しいが、考えすぎだろうか?
うどんやさんでは他にもびっくりさせられたことがある。
その店は讃岐うどんの店だった。
私は讃岐うどんが好きなので看板に「讃岐」の文字が書かれているのを見かけたらとりあえず入ってみることにしているのだが、その店はただの讃岐うどんの店ではなかった。
「店長が讃岐出身」の店なのだった。
なぜ私がそんなことを知っているかというと、立て看板に明記されていたからだ。
日曜日の昼下がりだった。
男性客が「生ビール!」と注文したところ、年配の女性店員が「瓶じゃダメ~ん?」と聞き返した。それでも男性客が「うん、ダメ」というと女性店員はあっさり「はい、生一つ」と答えたのだった。
生ビールちゃんとあるんじゃん!
どうやらその女性店員は生ビールを注ぐのが面倒くさかったらしい。
続いてその女性店員は私のテーブルに注文を取りに来た。私がうどんと、カボチャと芋の天ぷらを注文すると、「かき揚げはどうですか?おいしいですよ」とすすめてきた。・・・・生ビールはイヤ、かき揚げは食え!・・・わりと自分の意志を押し付けようとするタイプのようだった。私がいらないと言うと、「おいしいのに・・・」と言いながら去っていった。
そして5分後、その店員は「はい、お待たせ」と言いながらかき揚げを持ってきたのだった。
努めて冷静に「かき揚げじゃなくて、芋とカボチャ頼んだんですけど」と指摘すると「あ、そうだった」と言って、かき揚げを持っていってしまった。
作っちゃったんなら置いていけばいいのに。
その後うどんが来て、すっかり食べ終わったところで芋とカボチャがやっと出てきた。
どうすんの?このタイミングで天ぷらが二つって。
嫌がらせに生ビール頼んだるか?