8月26日
どまつり2日目。
余裕を持ってうちを出たのに、鳴子を忘れてしまった。慌ててタクシーを捕まえる。
「お客さん、どまつり出るの?」
運転手さんに話し掛けられた。
「実はうちの息子も踊ってるのよ。お客さんみたいに若けりゃいいけど、もう38にもなってさ・・・・・。いい年していつまでそんなことやってんだって言ってるんだけどね」
「私も38歳なんですよねー」
「あ、そうですか・・・。失礼しました。いや、でもうちの息子まだ独り者ですからねー。踊ってるヒマあったら嫁さん見つけろって・・・・」
俺に向かって言ってるのか!というぐらい息子さんと自分の姿が重なる。
そんな息子さんをフォローしようと「どまつりで踊っていれば出会いの機会もあるかもしれませんよ」と言いかけたが、我が身を振り返ると全く説得力がないのでやめた。
「息子が踊るのはあんまりだけど、私もどまつり見るのは好きなんですよ。あれがいいんですよねー、踊り子さんたちが踊り終わってお客さんに『ありがとうございましたー』って言うでしょ?あれを見るとね・・・・・・・ごめんなさい・・・」
えー!!!!泣いちゃったよ、この人!
まあ、気持ちはわからないでもない。踊り終わってお辞儀をする時ってのは、踊り終えた充実感と、お客さんとの一体感、そして緊張からの解放で、みんなとてもいい表情しますからな。
「最近涙もろくって・・・・あ、あれもどっかのチームの車ですねー」
前方から大きな招き猫を載せたトラックが走ってくる。大きなスピーカーを積んで、各チームのパレードを先導する「地方車(じかたしゃ)」だ。招き猫ということは、常滑か瀬戸のチームの地方車ということになるが、きのうテレビ愛知の中継に登場した瀬戸っ子舞遊ではないようだ。ということはおそらく常滑のチームだな。
「これはたぶん常滑のチームですね」
「ああ。そうですか、そういえばきのうの夜のどまつりの生中継に出てましたよ」
運転手さんはたぶん瀬戸っ子舞遊と勘違いされている。あのチームは衣装もメイクも招き猫でかなりインパクトがあったからなーと思ったが、一応どこのテレビで見たのか確認してみる。
「それはテレビ愛知ですか?」
「ええ、そうです。石原良純さんがゲストでしゃべってましたよ」
ちなみにうちの番組の男性ゲストは真島茂樹さんだ。
石原良純さんはその30分前に他局の旅番組に出演していたはずだが・・・。まあ、いいや。
きょうも大津通りパレード会場で4回、そのあと柳原商店街でパレード。ここでも4回踊らなくてはいけない。大丈夫か?俺・・・・。
柳原でのパレードの直前、整列して待機していたときだった。ふと気付くとみんなが大騒ぎしていた。
大須笑店街☆21がファイナルコンテストへの出場権を獲得したという報告があったのだった。
気付くのが遅れたせいで、みんなの盛り上がりにいささか乗り遅れてしまった。
そんなに大事なお知らせがあったというのにまるで耳に入らなかったなんて、どれだけボーッとしていたのか?・・・・私の意識は、電波が届かないところにあったのか、あるいは電源が入っていない状態だったということになる。
それぐらい疲れきっていたはずなのに、人間というのは現金なものですな、そのあとの演舞はもう異常なハイテンションで元気に乗り切りましたとさ。
おしまい