やがて最後の参加者、制作部・宮田(♀)が合流した。
そろそろヨン様が登場しやすい雰囲気を作り出さなくてはいけない。会話をそちらの方に誘導することにした。
「SEX and the CITYが映画化されるんだよね?」
私以外の4人がかなりはまったドラマである。アメリカのテレビドラマで一しきり盛り上がったところで、「ところで韓国ドラマなんかも見たりするの?」という流れに持っていく。そして山川の口からヨン様への愛が語られたところで変身するというのが私の目論見だった。
「山川は冬ソナとか見てたんだよね?」
「あたし見てないです」
「ええっ!!見てないの?!」
「はい、見たことないです」
えええええええーっ!すげええビックリ!!!サプライズ企画でサプライズさせるはずの私がサプライズしていた。ものすごく驚いたのにその驚きを口に出すわけにもいかない。
「何でヨン様なの?」とナプキンにしたためて、隣の大久保にチラッと見せたが、まるで見ないふりをされた。
今ごろこんなとこで聞くなという感じである。
「よくわかんないけど、やる」
私は悲壮な覚悟を決めた。
つづく