翌日も朝から潜り、夜はサイパンの繁華街、ガラパンに一人で行った。
目的の場所はシーフドレストラン「アビス」である。
半年前この店で食べた「シーフードの鉄板焼き」がまた食べたくなったのだ。
「マッサージ、ドーデスカー」ガラパンの街は客引きの中国系の女性たちばかりだった。
男一人の私は格好のターゲットである。
方向音痴の私はなかなか「アビス」の場所を見つけられずに同じところをグルグル回ってしまい、「マタ来タネー、オニーサン」とたびたび言われるはめになった。
かなり高い確率で「オニーサン、格好イイネー」とも言われたので、「大陸では俺の顔は結構かっこいい方に分類されるのではないか?日本を飛び出してアジアに目を向ければモテるんじゃないだろうか?」と自分の新たな可能性を感じていたりもしたが、フィリピン系のカラオケバーの女の子が私を見てポソッと「Mrビーン」とつぶやいたのが耳に入り、夢から醒めたのだった。
何とかアビスにたどり着いた。
メニューを持ってきてくれたのは「小麦色の江口ともみさん」だった。私にとっては懐かしい顔だが、向こうは覚えているはずもない。
メニュー表の「カリホルニア巻き」の「ホ」が気になったりしたが、予定通り「シーフードの鉄板焼き」を注文した。
店内の大型テレビではずっとバスケットの試合を放映していたので、見るともなしに観ていたら、男性店員に「どっちのファンだ?」と訊かれた。
「レイカーズ・・・・」
嘘をついてしまった。
バスケットコートのまん中に大きくレイカーズのエンブレムが書かれていたので、それを読んだだけである。
それなのに男性店員は「俺もさ!」と満面の笑みを浮かべた。
よかった。もし敵チームのファンだったらどんな目にあっていたか・・・・。