「何でこんな腹になるんだよっ!」
これこそ逆ギレというヤツだろう。
怒りに任せて腹の脂肪をギュウギュウと握りつぶしても、痛いのは自分だ。
そんな腹の持ち主である私に、入浴グッズのレポーターの仕事が回ってきた。
裸をさらさなくてはいけない。
もちろん、腰にタオルは巻くけれど。
「これを使って下さい」
バスタオルではなく、普通のサイズのタオルを渡された。
今回の撮影現場は担当の女性記者の自宅マンションだったのだが、この家にはバスタオルがないという。
小柄な彼女は、普通のサイズのタオルで十分全身を拭けるらしい。
「そんなサイズのタオルで隠しきれると思っているのか!」
威勢よく一喝した。
今回は水着も持ってきていたので、おかしなものがタオルの隙間から顔を出すことはないのだが、ちょっと言ってみたかったのだ。
最初の入浴グッズは、お子様用のお楽しみ入浴剤だった。
油で何かを揚げているような、シュワーという音と泡を出しながら入浴剤が溶けていき、中から小さなドーナツが出てくるというものである。
「おーっと、中から何かでてきましたー。えーと、ちょっと待って・・・これ何?」
茶色の丸い固まりが出てきた。
アンドーナツらしい。
ドーナツというからにはやはりリング状になっていてほしいので、撮り直しである。
ドーナツの種類は8種類あり、溶かしてみるまでどれが入っているかわからない。
「おーっと、中から何か出てきましたー。・・・・アンドーナツです」
また取り直しである。
元々子供用にかなり甘いにおいの入浴剤だったが、それを3個も入れたことで、浴室内はおそろしく甘いにおいに包まれた。
続いて電動シャンプーブラシの体験レポート。
まずシャンプーを髪につけて泡立てる。
シャンプーは女性記者の浴室にあったものを使った。
「これでキミと同じニオイになるわけだねえ」
またセクハラまがいの言葉を若い女性記者に投げかける私。
どうしてこういうことを言いたくなってしまうんだろう?
しかし、意外な答えが。
「いえ、私は普段違うシャンプーを使ってます」
なんで?