話をグアムに戻す。
『ハチハチ』の意味はわからなかったが、どうやら『ハチハチ』という言葉に合わせて腰をクイクイと動かすのが決まりのようだった。
私もダンサーたちの動きに合わせて、クイクイさせていたが、急に恥ずかしくなって席に戻った。
残念ながら年々ノリが悪くなっているのである。
一方、B女史はいつのまにかステージに上がり、ダンサーの列に加わっていた。
素晴らしいはじけっぷりだ。
B女史は昼間、全く泳げないのに果敢にもシュノーケリングに挑戦し、案の定怖い思いをし、泣きながらホテルの部屋にもどったそうである。
その憂さをここで一気に晴らしていたのだった。
やがてIZAMたちはステージを降り、別のバンドが登場した。
このバンドのボーカル2人もフィリピン人だった。今度は2人とも女性だったけれど。
2人とも日本に滞在していたことがあるらしく、また日本語で呼びかけてくる。
何しろ客はほとんど我々だけなのである。
この店は大丈夫なのか?
ぼったくられたりするんじゃないか?
気になったAさんはメニュー表で飲み物の値段だけでも確認しようとしたが、店員が「メニュー表などない」と男らしく言い切るので、ますます疑念が募り「今の段階で一人当たりいくら?」と聞いたところ「37ドル」という答えが返ってきたのだった。
「えー、まだ一杯しか飲んでないのに37ドルっすかー・・・・。とりあえずおかわりっ!」
酔っ払うとおおらかになってしまう私。踊ってノドも乾いていたし。そして、ステージから戻ってきたB女史は、値段の見当が全くつかないテキーラを注文したのだった。
最初のIZAMたちより、二組目のバンドのほうがかなりレベルが高かった。
演奏も、そしてルックスも。
特に右側の女性はわりかしタイプだった。
そんな彼女が「私ハ昔福岡ニ住ンデイマシタ。知ッテマスカ?」などと言うものだから、私は「明太子!」「とんこつラーメン!」「大宰府!」などとありったけの福岡情報をステージ上の彼女に向かって叫んだのだった。好意を精一杯表現したのだ。
さっきIZAMに「知るかいっ!」という言葉を浴びせた同じ人間とは思えない。
さて、気になるお値段の方だが、全然大したことなかった。ライブバーなので、最初に席代として30ドル取られるだけで、飲み物は普通の値段でしたとさ。
めでたし、めでたし。